「TRAIN SUITE 四季島」を支える想い

Vol.102017/06/16

割烹「田季野」女将 馬塲 由紀子の想い

小さな「曲げわっぱ」に、
会津の山のご馳走ともてなしの心をたっぷり詰め込んで、お迎えします。

会津の郷土のこころがたっぷりと詰まった、特別な朝ごはん

「TRAIN SUITE 四季島」1泊2日(春〜夏)コースの旅では、夜、姨捨を発った列車は、新潟を経て、翌朝、福島・会津若松の地に到着する。
そこで出迎えてくれるのは、会津の郷土のこころがたっぷりと詰まった、割烹「田季野」の特別な朝ごはんだ――。

250年続く陣屋と会津名物の「元祖輪箱飯(わっぱめし)」

250年続く、旧陣屋のお屋敷で福島・会津若松は、武家の伝統文化がいまも息づく土地。
町を歩けば、鶴ヶ城や武家屋敷をはじめ、そこかしこに会津の歴史の息吹を感じます。

私ども「田季野」では、参勤交代の時に大名の宿であった会津西街道沿いの豪壮な陣屋をそのまま移築したお屋敷で、お客さまをお迎えしています。
朝ごはんでご用意するのは、まず会津名物の「元祖輪箱飯(わっぱめし)」。天然木材で手づくりされた器「曲げわっぱ」に、会津のコシヒカリ、山菜などの山の幸、鮭、イクラなどを詰めて、蒸し上げました。このほかにも、にしんの山椒漬け、棒たら、栃餅など、会津伝統の郷土の味を楽しんでいただきたいと思います。

朝摘みの野菜の味わい

「そして、もうひとつは、季節ごとの会津の旬」の味です。「TRAIN SUITE 四季島」のお客さまのために、特別に栽培している野菜をご用意しました。 たとえば春ならば、市内の荒久田地区発祥の「荒久田茎立(あらくだくきたち)」のおひたし。厳しい冬を乗り越えた、甘みが強く柔らかな菜の味です。また瑞々しいアスパラガスの天ぷらも会津の味ならでは。朝早くにお見えになるお客さまに、朝一番に畑で採れたての野菜を味わっていただこうと、生産者の方たちとともに取り組んでいるところです。
またお食事の前には、「朝のひと口」として地元・末廣酒造のお酒の仕込み水を召し上がっていただきます。これも会津の自然が育んだ清らかな湧き水です。新鮮な会津をまず感じていただければと思います。

会津を感じる朝ごはん

お食事をお出しするスタッフも私も、会津木綿の着物姿です。器も、「曲げわっぱ」をはじめ、会津塗のお椀や箱膳など、会津の手づくり、伝統工芸尽くし。会津には、まだまだ知っていただきたい魅力がいろいろあります。
私自身、一組一組のお客さまと直にお話しさせていただくのが何よりの楽しみです。
ぜひこの「朝ごはん」の時間を通して、会津のこころを感じていただければと願って、日々、皆さまをお待ち申し上げております。
割烹「田季野」女将
馬塲 由紀子
[ 文=鈴木 伸子 ]