JR東日本からのプレスリリースを年度別に掲載しています。(JR東日本広報部)
資料2
 
新潟県中越地震による被害類似箇所の対策について

 昨年10月の新潟県中越地震により、魚沼トンネルの覆工コンクリート崩落等や第3和南津高架橋の損傷等が発生したことを受け、類似箇所対策として「活断層に近接または交差する新幹線トンネル」と「柱の中間部付近が拘束されている新幹線高架橋」に対する耐震補強をすすめていくこととしました。

1. 活断層に近接または交差するトンネルの耐震補強
(1)活断層に近接または交差するトンネルの耐震補強
 昨年10月の新潟県中越地震を受け、昨年12月より社内に「新潟県中越地震鉄道トンネル被害原因調査等検討会(委員長:京都大学大学院 朝倉俊弘教授)」を設置し、トンネルの被害原因の究明及び耐震対策の検討を行ってまいりましたが、今回、結果がまとまりましたので、その検討会の提言をもとに、「新幹線トンネルの耐震補強対策」について検討を進めることといたします。

ア. トンネル被害の推定原因
 今回の地震で甚大な被害を受けたトンネルは、想定されている震源断層よりすべて水平距離で概ね5q以内に位置していましたが、同様な位置でも大きな被害を受けた箇所と無被害の箇所がありました。そこで、トンネルの被害箇所と無被害箇所においてボーリング調査をはじめ各種調査を行った結果、大規模被害は、距離条件、地質条件、構造条件の3条件が重なった場合に、地山及びトンネル覆工に大きな変形が生じたためと推定されました。
【距離条件】大規模被害は推定震源断層から水平距離概ね5km以内のエリアに集中
【地質条件】トンネル周辺地山の強度が低い地質等の「地山の悪い箇所」
【構造条件】覆工背面に空隙がある等の覆工が変形しやすい構造

  • 新潟県中越地震の被害
新潟県中越地震によるトンネルの被害分布
新潟県中越地震の被害
(推定震源断層から水平距離で概ね5kmの範囲内に被害が集中)

  • 魚沼トンネル変状展開図
魚沼トンネル変状展開図

イ. 新幹線トンネルの耐震対策
 新潟県中越地震と同程度の地震が発生した場合に、トンネルの覆工コンクリート崩落等の大規模被害を防止する目的で、以下の耐震対策を検討いたします。
  • 耐震対策検討トンネルの抽出
 存在の確実さと過去の活動度合いから選定した活断層から、水平距離で5Km以内に入る新幹線トンネルを抽出したのち、地質条件、構造条件等から対策区間を絞りこみます。
  • 耐震対策工の選定
 耐震対策工としては、背面状況による空隙への充填(裏込注入工)、ロックボルト工、内面補強工の3種類を考えており、当面、対策工検討のために必要な調査を進めてまいります。

(2)活断層と交差する新幹線トンネルの補強対策
 活断層と交差する新幹線トンネルについては、国土交通省の新幹線脱線対策協議会の中間とりまとめで報告されておりますが、トンネル覆工背面の状況を調査した結果、背面空隙への充填(裏込注入工)が必要な2トンネル(東北新幹線 蔵王トンネル、上越新幹線 塩沢トンネル)を特定し、今年度中に施工することにいたします。
  • 新幹線トンネルの耐震対策の考え方

【目的】新潟県中越地震と同程度の地震が発生した場合に、トンネルの覆工コンクリート崩落等の被害を防止する
補強対象トンネルの抽出1:存在の確実さと過去の活動度合いから選定した活断層から水平距離で5km以内に入る新幹線トンネルを抽出する
2:上記トンネルの地質条件、構造条件等から対策区間を絞り込む
3:1、2で抽出された箇所に対して電磁波探査等の調査を行い、対策内容を決定する
対策内容対策方法裏込注入工ロックボルト工内面補強工
略図
対策箇所背面に空隙があり、かつ土被りの浅い箇所インバードがない箇所アーチ部の覆工の補強が必要な箇所
効果トンネル覆工にかかる地圧を分散、均一化させ、局所的な応力集中による覆工の破壊を防ぐ打設したロックボルトがインバードの代わりとなってトンネルの構造強化を図る覆工を内面から補強し、覆工強度を増加させる
2. 第3和南津高架橋類似箇所対策
 上越新幹線浦佐・長岡間の第3和南津高架橋は、当初の耐震診断の結果ではせん断破壊先行型ではなかったため、当面の耐震補強の対象外となっておりました。しかし、消雪基地の基礎コンクリート等が高架橋の柱を拘束したことが原因して損傷を受けたことから、国土交通省の新幹線脱線対策協議会の中間とりまとめにもあるように、類似の高架橋について補強計画を策定し、2006年度末までに完了させます。
第3和南津高架橋類似箇所対策 上越新幹線燕三条・新潟間中川高架橋の例 【上越新幹線燕三条・新潟間中川高架橋の例】

補強対策柱本数
線名本数
東北新幹線22
上越新幹線69
合計91
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