
列車位置情報を活用した変電設備スリム化
電鉄用変電所にある既存の複数の設備を回生電力貯蔵装置に置き換えることで、変電設備のスリム化によるメンテナンスの省力化をめざし、2017年10月から2018年8月まで大貫変電所で実証試験を行いました。実証試験では、変電所の機能がなくても回生電力貯蔵装置により電車が必要とする電力が供給可能かについて検証しました。
当社で既に導入している回生電力貯蔵装置は、架線電圧の値によって充放電を制御し、電車に電力を供給しています。その結果、実際は電車が電力の供給を必要としない場合でも架線電圧によっては充放電してしまうことがあり、蓄電池容量はこの不必要な充放電を考慮して決定される課題が生じていました。本件では、列車位置情報に着目し、GPSによる列車位置情報を用いて適正な位置に列車が在線しているときのみ充放電する制御を行うことも検証してきました。この技術により、蓄電池の小型化ならびに長寿命化の実現が期待できます。
実証試験では、隣の変電所のトラブルを考慮しても回生電力貯蔵装置による電力供給が可能であることや、列車位置情報を用いた制御で不必要な充放電を抑制することで蓄電池の使用量が減少し、蓄電池の小型化が見込めることがわかりました。