イノベーション戦略
価値創造の実現に向けて
JR東日本グループの持続的発展には、最新のデジタル技術の積極的な導入が不可欠です。多様なパートナーと連携し、グループのノウハウや蓄積されたデータを活用して業務を変革し、高品質なデジタルサービスの提供をめざしています。加えて、イノベーションを通じた新たな価値創出が、グループの長期的な成長につながると考えています。
「Digital & Data イノベーションセンター(DICe)」では内製開発やデータ分析を進めており、2024年度からは「鉄道版生成AI」の開発に着手しています。生成AIが社員の業務を支援し、創出された時間を活用して新規事業の開発や地域活性化に取り組めるようにしていきます。また、最新技術の活用により肥大化したシステムを全体最適な構造へ刷新する「システムモダナイゼーション」を進めることで、グループ全体のセキュリティ強化とともに、経営を支えるシステムプラットフォームの実現をめざします。
生産年齢人口減少、環境問題、自然災害といった喫緊の課題に対して、オープンイノベーションを活用し、持続可能な鉄道事業の運営に向けた技術革新を進めます。
これらのイノベーションを収益化するためには知的財産が重要です。全社員が知的財産を意識し、知的財産活動指針に基づく価値創造を推進します。

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DX戦略
Digital & Data イノベーションセンターの取組み
内製開発
多様化するニーズにユーザー視点で素早く応えるため、2023年10月に設立した組織「Digital & Data イノベーションセンター(通称:DICe(ダイス))」では、システム・アプリの開発・実装・改善をアジャイル開発で取り組んでいます。DICeでは、自社の業務に精通した社員等による内製開発をすることで、スピーディーな対応、開発ノウハウの蓄積を推進しています。具体的には、生成AIを活用した訪日外国人向け旅行計画支援アプリや運行情報の電話自動音声アシスタント、設備リスク可視化ダッシュボード等を開発しています。

生成AI活用
これまで「生成AIチャットツール」や「生成AI文書検索システム」の導入を通じて、DXによる業務変革を進めてきましたが、新たに「鉄道版生成AI」を開発し、社員の日常的な業務遂行を生成AIがサポートできるようにします。生み出された時間を活かして、新規事業の開発や地域活性化、お客さまサービスの充実など、社員が人ならではの創造的な役割に注力できるようにしていきます。

データ活用
全社的な視点でのデータ活用に向けて、グループ全体のデータガバナンスの強化に取り組んでいます。共通情報基盤「KAI-TAK」によるデータの収集・提供をはじめ、社内データを網羅的に検索できるポータルサイト「JRE DATA STATION」、データの種類・属性・取得方法等を管理するデータカタログ、BIツール利用環境の整備、データマネジメントガイドラインの策定などを通じて、データを分かりやすく、使いやすい形でユーザーに提供する仕組みを構築しています。

システムのモダナイゼーションの取組み
長年にわたる改修の積み重ねにより肥大化・複雑化しつつあるシステム構造に対して、全体最適を実現する体系的なアプローチに基づき、最新のテクノロジーやアーキテクチャを適用することで構造を見直します。このビジネスの変化に柔軟に対応できるようにする「システムモダナイゼーション」をグループ一体となり中長期的な取組みとして推進しています。
ビジネスサイドとシステムサイドでワーキンググループを組成し経営とITの整合性を図りながら、中長期ビジネス成長戦略「Beyond theBorder」の実現、持続可能な輸送サービスの提供や新たな付加価値創出を、競争力の源泉であるシステムから強力に支えていきます。

知的財産戦略
知的財産活動についての理念・方針・行動指針
理念
グループ理念に基づき重要な資産である知的財産(無形資産)をグループ一体で適切にマネジメントし、ライフスタイル・トランスフォーメーション(LX)という価値を創造する知的財産活動を推進します。
方針
- 1.情報(データ)と技術、ブランドを活用してネットワークの力を高め、お客さまへの新しい暮らしの提案やイノベーションを支える知的財産活動を実施していきます。
- 2.第三者の知的財産(無形資産)を尊重するとともに、すべてのステークホルダー、地域社会や国際社会からの信頼に応えます。
行動指針
「誰もが」知的財産を意識して業務を進めます。
知的財産のマネジメント体制
当社に関する知的財産(特許・意匠・商標・著作権・技術情報)については、「イノベーション戦略本部 R&Dユニット 知的財産センター」が、事業共創等を目的とした知的財産戦略を策定し、実行するとともに、知的財産権の取得・活用・管理に取り組んでいます。

知的財産活動の具体的な取組み
知的財産センターは、「モビリティ」「生活ソリューション」に関する各事業について、知的財産に関する啓発・教育、特許権や商標権等の取得による知的財産のポートフォリオの構築、知財人材の育成等の活動を実施しています。
知的財産に関する啓発・教育については、前記の理念等を示す「知的財産活動指針」に則り、定期的な研修の実施等を通じて、知的財産の適切な取扱いについて周知・徹底を図り、社員の誰もが知的財産を意識して業務を進めることができるよう、知財リテラシーの向上をめざしています。
知的財産のポートフォリオの構築については、特許等の質を高めるという方針のもと、出願及び権利維持の要否を判断しています。ポートフォリオの構築の事例として、当社が取得した知的財産権の例としては以下のようなものがあります。

仙石線において初投入となる新型車両のデザイン(意匠登録第1792649号)

JR東日本グループのさまざまなデジタルサービスをシームレスにご利用いただけるIDのロゴ(商標登録第6867408号)
このように、事業に関連する知的財産権を積極的に取得することで、事業活動の保護を図っています。今後も、すべての人の心豊かな生活の実現に向け、知的財産の観点から貢献していきます。