当社は1987年の会社発足以来、通勤・通学需要を支える高密度の輸送サービスを行う都市圏輸送や、新幹線に代表される高速輸送サービスを行う都市間輸送、地域の生活基盤を支える輸送サービスを行う地域輸送など、広範な鉄道ネットワークによる多様な輸送サービスを提供することで、鉄道事業者としての使命を果たしてまいりました。
また、安全性とサービス品質の向上を実現し、鉄道のネットワークの拡充を進めることで、ご利用の増加につなげるとともに、生産性を向上させることで、財務体質を改善し、「鉄道の再生・復権」に取り組んでまいりました。上記のような経営努力を積み重ねることにより、会社発足後、これまでの間、運賃改定に依存することなく、現在の運賃水準を維持してまいりました。
消費者物価指数の推移

(1989年を100とした場合)
しかしながら、コロナ禍を経て当社を取り巻く社会環境の変化が加速し、オンライン会議やテレワーク等の新しい生活様式の定着に伴って鉄道のご利用は減少しており、さらに昨今のエネルギー価格や物価の高騰による経費の増加、沿線人口の更なる減少や人材の流動性が高まる中での人材確保・定着に向けた待遇改善等、今後も厳しい経営環境が継続する見込みです。
旅客輸送量と負債の推移

鉄道を安全に運行させるためには、安全投資や技術開発のほか、車両の点検・整備や線路・信号等の鉄道設備の適切な改良・保守作業が不可欠であり、多くの労力と費用が必要です。加えて鉄道設備の老朽化が進んでおり、その修繕費や安全投資は年々増加しています。
安全投資と修繕費の推移



このように鉄道事業の収益確保は厳しさを増しており、多様化するお客さまニーズ、鉄道に求められる社会的な役割を踏まえた安全やサービスの維持向上、老朽化した車両・設備の更新、激甚化する災害やカーボンニュートラル等に対応する設備投資や修繕等に必要な資金を安定的に確保することが困難な状況となっております。
つきましては、当社の経営努力を前提として、今後も鉄道事業を健全に運営していくため、鉄道の旅客運賃の改定を実施させていただきます。