「TRAIN SUITE 四季島」を支える想い
Vol.122017/08/16
素朴ながらも武家の豪奢さを受け継いできた会津漆器。
旅の思い出とともにお持ち帰りいただきたい。
- 福島県会津若松市で天保3(1832)年の創業以来、会津漆器をつくり続けている老舗、鈴善。
「TRAIN SUITE 四季島」の1泊2日(春~夏)コースでは、漆器の見学や蒔絵(まきえ)を体験する時間が設けられている。
中村光彩(こうさい)さんは会津若松に生まれ育った、この道40年のベテランの蒔絵師。
体験教室でも伝統の技術を丁寧に指導してくれる。
会津漆器は会津の歴史が育んだ大切な文化

会津の漆器づくりは、木地師(きじし)、塗り師、蒔絵師などによる分業で行います。冬は豪雪に見舞われるこの土地で、皆に仕事が回るよう、氏郷公が分業化してくれたおかげです。戦前は住民の10人に1人は、会津漆器の関係者だったといいます。漆器づくりは漆が乾くのを待つなど、待つ工程が多い仕事です。仕事の合間に一杯やろうと町に繰り出す職人が、当時はたくさんいたものです。私も会津で生まれ、21歳で弟子入りし、今年でこの仕事を始めてもう40年になりました。
暮らしの中で使う、旅の思い出
ご自身で蒔絵を描かれた漆器は、お持ち帰りいただきます。きっと素晴らしい旅の思い出になるでしょう。そのお手伝いをさせていただけるのは、本当に嬉しいことです。

会津での体験を一生の思い出に
私は「いえいえ、ぜひ使ってください」と申し上げています。
会津漆器は生活漆器です。会津の武士たちに愛され、そしてお客さま用のおもてなしの食器として、どの家庭にも一式はあるものでした。
実際に使うことで、その美しさや良さを感じていただきたい。
そして、旅のあとも会津のことを思い出していただけたら光栄ですね。
中村 光彩 [ 文=野村麻里 写真=新居明子 ]