快適な都市
心豊かな生活の実現のための「Suica」の生活デバイス化
中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」では、お客さまと当社グループの接点である「Suica」について、「移動のデバイス」から心豊かな生活を実現する「生活のデバイス」として進化させていくことを掲げています。
JR東日本では、通信技術・クラウド技術の進展を取り入れ、Suica改札システムのセンターサーバー方式への転換と、その利点を活かしたSuicaでの新たな体験価値創造の検討を進めています。例えば、「駅ビルで一定金額以上お買い上げいただくと、帰りのきっぷがもらえ、お持ちのSuicaをタッチするだけですぐに利用できる」といった、ICチップにチケット情報を書き込む現在の仕組みでは実現が難しい「新しいSuicaサービス」を実現します。
2028年度にはSuicaアプリ(仮称)をリリースし、お客さまのさまざまな生活シーンにあわせたサービスを一括してご利用いただけるようにします。
シームレスでストレスフリーな移動の実現
JR東日本アプリでは、列車の時刻や走行位置、遅延状況、混雑状況、駅構内図など、鉄道をご利用になるお客さまがストレスフリーにご移動いただくためのさまざまな情報を提供しています。
この開発では、「①無駄なく小さな価値を積み上げる手法」「②お客さまを理解しながらプロダクトをデザインする『ユーザー中心設計』」「③品質を担保して素早く世の中に価値を提供するためのソフトウェア開発手法」の3つを採用することで、お客さまのニーズに即した価値をタイムリーに提供しています。
Suicaアプリ(仮称)の開発においても上記の手法・考え方に基づき、お客さまから高い評価をいただけるサービスをめざします。
JR東日本アプリ開発内容

デジタルサービスのCX向上(JRE ID)
当社グループのオンラインサービスは、リアルサービスの利便性向上を目的に、それぞれが独自に構築されてきました。
しかし、お客さまと幅広く、長い関係性を築くには、サービス間の距離を縮めて利用体験をシームレスにしていくことが必要です。その第一歩として、オンラインサービスのID統合を2025年2月より開始しています。
JRE IDの導入
統合IDの名称が「JRE ID」です。導入したサービスにおいては新規登録時にJRE IDを作っていただくことで、次のサービスからは新たなIDを作ることなくご利用いただけます。
また、JRE ID導入サービス間ではお客さまの情報を相互に照会し、各サービスの連携による新たなサービスを提供します。例えばえきねっとの予約情報をもとに、JR東日本アプリでその予約に合わせた乗換案内や乗換駅の情報提供を行う予定です。

環境・防災・コミュニティに配慮したまちづくり
広域品川圏のまちづくりをはじめとして、「環境、防災、コミュニティに配慮した多様な魅力あるまちづくり」をコンセプトに当社グループの収益基盤の確立と地域社会への貢献を両立します。持続可能な都市の実現に向けて、脱炭素や資源循環、生物多様性に寄与する取組みを進めます。また、地域コミュニティとのつながりの創出や、データや先端技術を活用したスマートシティの実践にも取り組んでいきます。
TAKANAWA GATEWAY CITYにおけるタウンマネジメント
TAKANAWA GATEWAY CITYにおけるタウンマネジメントの推進を目的として(一社)高輪ゲートウェイエリアマネジメントを設立しました。
ビールの原料でもあるホップを周辺地域の皆さまとともに育て、緑を通じて交流・連携を図るコミュニティ活動「TAKANAWA HOP WAY」や駅やオープンスペースを活用した取組みにより、まちのにぎわいの創出と更なる魅力・価値向上を進めています。
TAKANAWA GATEWAY CITYにおける地域に根差したまちづくり
TAKANAWA GATEWAY CITYでは、開発エリア内に緑あふれる空間が数多く存在します。緑を育てる取組みを通して、誰もが参加でき、交流できる場所をつくることで、地域の皆さまとのさらなる関係を構築すると共に、愛着を持っていただける地域参加型のまちづくりをめざすために2021年度よりTAKANAWA HOP WAYという開発エリアとその周辺で住民や周辺企業、学校の皆さまと一緒にホップを育てるコミュニティ活動を開始しました。
最初は9拠点で開始したコミュニティ活動ですが、担当者による地道な活動と参加者による口コミにより、現在は24拠点、個人参加の方は43名にまで広がりを見せています。TAKANAWA GATEWAY CITY周辺の高輪側のみならず、線路をまたいだ港南側にも栽培拠点を増やし、つながりを広げています。
また、採れたホップは年2回程度「TAKANAWA HOP WAY」として東京都内の醸造所にてビールを醸造しており、年間1,000本ほど、イベントで販売をしています。ビールのラベルはコミュニティに参加している学生がデザインしたり、醸造にコミュニティメンバーが参加しています。また、お酒が苦手な方や子どもたちとも乾杯できるようにホップを使ったソフトドリンクを作っています。
ホップというとビール原料ということもあり、大人のイメージがありますが、小中学生と一緒にホップの匂いがついた石鹸をつくったり、ホップのつるを使ったリースづくりをして、子どもたちも参加できる取組みになっています。色々なものに加工できるのもホップを選んだ理由であり、これらの取組みを通じて、年代を超えたコミュニティが形成されています。
TAKANAWA HOP WAYに参加していた学生から卒業後も参加したいとの声をいただいたり、コミュニティに参加していた学生がJR東日本に入社をするなど、未来ある学生にも高輪のまちに愛着を持ってもらえる取組みとなっています。将来的にはまちのトライブリーダーを育てていける取組みにしていきたいです。

