信号機器室における接地方式の有効性の再検証
背景と目的
現在、JR東日本における信号機器室の雷害・地絡対策は仮想接地方式が採用されており、一定の効果が認められている。一方で仮想接地方式は仮想接地系機器と建屋間の絶縁において高い信頼性が求められるが、絶縁抵抗や耐電圧性の測定方法も確立されていないため、それを達成するのは容易ではない。また仮想接地の不備による地絡電流侵入に起因する大きな障害も散見される。そこで本研究では、現在の仮想接地方式の問題点を踏まえ、直流電化区間における雷害・地絡対策に有効な接地方式を提案した。
開発前の問題点
仮想接地方式は、機器側の接地線を大地接地に接続せず、放流形保安器により回線~機器筐体間の等電位化のみ行う方式を言う。
一方、電源側のサージ電圧は耐雷トランスにより数百ボルト以下に抑制する。
仮想接地方式は、雷害対策として一定の効果が認められているが、仮想接地と建屋間を完全に絶縁状態にする必要があるため、以下課題がある。
- 施工への信頼性要求が高い
- 施工不備による弱点箇所ができやすい
- 耐電圧性能の確認を正しく行う方法がない
- 雷サージによる仮想接地の電位上昇で電子装置が破損する
- ※過去岡部駅や籠原駅で仮想接地の施工不良が原因の大規模障害が発生
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雷害・地絡対策に有効と考えられる方式の提案
仮想接地方式の他には、一点接地方式による改善が考えられるが、一点接地は建屋および接地系統から地絡電流が侵入するリスクがあるため、実現に至っていない。そこで本研究では地絡対策に実績のある信号地絡保護装置(Signal house Ground fault Protective discharger以下SGP)を適用した一点接地SGP方式を考案した。
SGPとは
SGPはレール電位が所定の値を超えたときにA種接地とレール(インピーダンスボンド中性点)間を短絡する。これにより大地からレールへの低抵抗の地絡電流経路が形成されるため、機器室への地絡電流流入を防止できる。
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一点接地SGP方式
従来の仮想接地系と大地接地系を接続して一点接地とし、さらに建屋とA種接地を接続し建屋も含めた等電位化を図る。
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雷害・地絡対策に有効と考えられる方式の提案
提案方式により、雷サージは対地電位が抑制されると共に、建屋とレールと機器室内の全ての信号機器は等電位化される。また地絡についてもSGP経由でレールに流れるため、雷害、地絡両方に対して有効である。
開発パートナー:株式会社サンコーシヤ