- 生産・商業
- ふるさと納税
- 東京都
2025.7.15
「第2回 JR東日本地域共創アワード」にて優秀賞を受賞した、VERTERE合同会社と奥多摩町(東京都)、株式会社ジェイアール東日本都市開発の取組みをご紹介します。
活用されていなかった町有地での、クラフトビールブランド「VERTERE」の新工場開発
奥多摩町は、東京都の最西端に位置し、都心まで約2時間で行ける距離ながら、全域が“秩父多摩甲斐国立公園”に含まれる豊かな自然に恵まれた地域です。そんな奥多摩町では、町が所有する未活用の土地や施設の老朽化等が、町の将来に向けて持続可能なまちづくりを進めていく上でとても大きな課題となっています。
本取組みは、遊休地となっていたうちの1か所を株式会社ジェイアール東日本都市開発が開発し、奥多摩発のクラフトビールブランド「VERTERE」の新工場としてオープンした事例です。【あらゆる境界を跳び越えて未来を切り拓き、新たな物語をつむぐデベロッパー】として、自らの事業領域やビジネスモデルを果敢に変革することを経営目標としている株式会社ジェイアール東日本都市開発にとって、鉄道用地の開発ではなく、市中開発を行った本取組みは、新たな挑戦でもありました。

VERTEREについて
VERTERE合同会社は、「誰とどこでどうやって飲むか」「飲んだ人の価値観を変えるビール」をコンセプトに2014年に奥多摩で始まったクラフトビールブランドです。JR青梅線奥多摩駅最寄りの醸造所で、年間100仕込み以上、50種類ほどのビールを醸造しています。スタイルに固執せず、トレンドからクラシックなスタイルまでVERTEREの解釈で醸造しており、その味だけでなく缶のデザイン性なども相まって多くのクラフトビールファンに愛されています。一方で新工場開発前には、生産量が限界に達し、新規取引を断念せざるを得ない状況に直面していました。
VERTERE新工場のオープン以降は、醸造量を大幅に増加させることができ販路を拡大したことに加え、オープンイベントなど、計3回の奥多摩のお酒と食の魅力を知っていただくイベントで延べ3,500名を集客しました。また、醸造所の工場見学には2024年度累計1,000名以上が来訪しており、地域の観光素材の1つにもなっています。さらに、スタッフの新規採用や奥多摩町の福祉支援NPO法人への業務委託など、雇用創出の面でも地域貢献が進んでいます。
提供:VERTERE合同会社
奥多摩町×VERTERE合同会社×㈱ジェイアール東日本都市開発で進める地域活性化
奥多摩町とVERTERE合同会社、JR東日本グループの連携は、本開発で始まったことではありません。2014年にVERTERE合同会社が設立されて以降、VERTEREのビールは奥多摩町のふるさと納税の人気商品になり、町内の様々な施設でも販売を行っています。また、2018年にJR青梅線(青梅-奥多摩間)に「東京アドベンチャーライン」の愛称がついた際にはオリジナルビールの製造をしたり、JR東日本八王子支社主催の「OKUTAMAFEST」のイベントに出店したりと、地域産業や観光事業の盛り上げのために連携した取組みを進めてきました。
VERTERE新工場の稼働が始まってからはさらに連携を強化し、KINOKUNIYA立川店(株式会社紀ノ國屋)やはちまるステーション(株式会社JR中央線コミュニティデザイン)でのビール販売や試飲会の実施、沿線まるごとホテルの「レストラン時帰路」等でのVERTEREビールの提供や株式会社JR東日本びゅうツーリズム&セールスでの工場見学・イベントツアーの造成など、商流拡大だけでなく流動創出による地域活性化に取り組んでいます。

今後の展望
VERTERE新工場のオープンを通し、より多くの方に奥多摩町の魅力を伝える機会が創出できています。今後は、都内直営店、都外への商品出荷、アジアを中心とした海外輸出でVERTEREの認知を広げ、奥多摩に興味を持ってもらい、工場見学、イベント開催や地域限定商品で足を運ぶきっかけを作ることで、地域経済の活性・魅力向上につなげたいと考えています。また、その先で「リピートしたくなる町へ」と地域の価値を向上していけるよう、継続的に連携をしながら地域共創の最大化を目指します。
第2回JR東日本地域共創アワード 開催レポートはこちらから