【第2回JR東日本地域共創アワード最優秀賞】
鉄道文化遺産を活用した「碓氷峠廃線ウォーク」高付加価値化の取組み<一般社団法人安中市観光機構>

2025.7.15

「第2回 JR東日本地域共創アワード」にて最優秀賞を受賞した、一般社団法人安中市観光機構とJR東日本高崎支社、高崎統括センターの取組みをご紹介します。

信越本線の横川-軽井沢間は廃線後、立入禁止区間となっていた

信越本線の横川-軽井沢間は、1885年にドイツのハルツ山鉄道で用いられたアプト式を日本で最初に使用した場所であり、1893年から1963年までアプト式による鉄道運行を行ってきた歴史ある路線です。1963年のアプト式廃止後、旧線の煉瓦造りの隧道や橋梁は、碓氷峠の鉄道遺産群として国の重要文化財に指定されています。1997年まで活躍した新線は、廃線後に立入禁止区間として放置されていました。

「碓氷峠廃線ウォーク」のコンテンツ化による観光振興

活用されないまま放置されていた廃線跡地を活用し、碓氷峠の歴史をつないでいくため、2018年より一般社団法人安中市観光機構及び安中市が連携しコースを整備するとともに、ガイド付きウォーキングツアーとして「碓氷峠廃線ウォーク」をコンテンツ化しました。以後、「碓氷峠廃線ウォーク」は台風被害や土砂災害の影響を受けながらも、年間1,000名以上が参加しており、まもなく累計10,000人に到達する地域の主要なアクティビティに成長しています。

「廃線ウォークナイトコンテンツコンソーシアム」の設立と新たな観光素材の確立

そのような中で、「碓氷峠廃線ウォーク」はウォーキングツアーであるため冬季降雪時期でのコンテンツ利用ができず、また日中時間帯の活用が前提となるなど、季節波動の平準化及び日中時間帯以外の利活用が課題となっていました。また、実施回数やガイド人数の上限などの課題も合わせて解消していくため、2023年に「廃線ウォークナイトコンテンツコンソーシアム」を設立しました。そして、廃線ウォークで活用するウォーキングコース上に体験型のプロジェクションマッピングを常設で設置し、ナイトタイムツーリズムコンテンツ「光と音の体験型ナイトウォーク MELODIC LIGHT WALK」として2024年度より実装しました。参加者数は初年度で2,400名以上に上り、安中市の新たな観光素材として確立しています。

JR東日本の役割と連携施策

「廃線ウォークナイトコンテンツコンソーシアム」の一員であるJR東日本高崎支社と高崎統括センターは、これまでJR東日本グループの持つアセットを活用した様々な連携施策を行ってきました。ECサイト「JRE MALLふるさと納税」での「廃線ウォーク」の出品や㈱びゅうツーリズム&セールスによる団体向け旅行商品の造成を通した商流の拡大、「大人の休日倶楽部」会員誌などを通した広報支援に加え、廃線を「保全する体験」を体験商品として「JRE MALL」で販売するなど、「廃線ウォーク」のサステナブルな実施に向け、体制づくりでも連携してきました。今後も、「廃線ウォーク」を地域の「宝もの」として磨き続けるため、JR東日本グループとして地域の皆さまと共と取組んでいきます。

今後の展望

地域のお客さまのご参加が約半数の廃線ウォーク。地域の歴史を知り、さらに好きになってもらうコンテンツとして成長してきました。今後、より多くのお客さまに碓氷峠の歴史や地域の魅力を知っていただくため、JR東日本高崎支社と連携し、海外プロモーションにも注力していきます。
「峠の鉄道の歴史は、これからも人の歴史だ」。第二の故郷として、大切にしたい場所として、ファンになってもらい、「いま」の地方創生の在り方を実現したい。そんな想いで取り組みを続けていきます。

【関連リンク】
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