JR五所川原駅に到着すると「いよいよ立佞武多の街にやってきた」という気持ちで、ワクワクとしてきます。駅舎を出ると右手にあるのが、ストーブ列車でお馴染み「津軽鉄道」の駅舎。その向かいに「コミュニティカフェ でる・そーれ」があります。
扉を開けると、にこにこ笑顔の“津軽のお母さん”たちが迎えてくれました。今年4月で14年目になるという同店は駅のそばという立地柄、オープン当初は観光客の利用が主でした。しかし、その居心地の良さと地元馴染みの味わいが評判を呼び、今ではのんびりと地元客が憩うコミュニティースペースとしても知られています。店内では、ストーブ列車でも販売されている「石炭クッキー」、赤いリンゴ「御所川原」のジュースやジャムなどが販売されています。
イートインスペースでは、青森特産の青森シャモロックを使ったオリジナルメニュー「津鉄汁」や1年昆布でご飯を包んだ郷土料理「若生(わかおい)おにぎり」などを味わうことができます。このおにぎりは文豪・太宰治も好んでいたそうで、「津軽北部地方で愛されてきたふるさとの味なんです」と教えてくれたのは、でる・そーれ代表の澁谷さん。同店ではガス釜で炊いた青森県産米まっしぐらを、薄く柔らかい昆布で包みます。おにぎりを待っている間に話をしてくれたスタッフさんは、「子どもの頃は海苔で巻いたおにぎりに憧れがあったけれど、今ではこの昆布のおにぎりがなんだかホッとする」と笑みをこぼしました。握りたてのおにぎりを頬張ると、磯の風味が口いっぱいに広がりました。程良い塩気も相まって、大きめのサイズながらペロリと完食。「昆布の旨みがご飯に馴染んで冷めても美味しいんですよ」との話に、旅のおともにテイクアウトする人が多いのも納得です。
おしゃべり好きの津軽のお母さんたち。やさしい語り口と長く愛されてきた郷土の味わいに、ほんわかと心が和みました。覚えたての津軽弁で言うならば、“なんともあずましい(とっても心地良い)”カフェなのでした。