秋田から津軽へ トレイントラベル「リゾートしらかみ」乗車リポート【前編①】秋田から津軽へ トレイントラベル「リゾートしらかみ」乗車リポート【前編①】

25周年を迎える観光列車「リゾートしらかみ」
秋田-津軽をのんびり巡るとっておきの列車旅を

風光明媚な五能線を走る観光列車「リゾートしらかみ」は、2022年4月1日に運行開始から25年を迎えます。そんな記念すべきアニバーサリーイヤーに、「リゾートしらかみ」で秋田から津軽へ旅に出ました。乗車したのは、いまだ雪景色が広がりながらも徐々に春へと季節が移ろい始めた2月下旬。車窓越しに日本海や津軽平野の景勝地を眺めながら、目的地を目指しました。おもてなしのあたたかさに包まれた快適なクルーズ列車の魅力と、今こそ食べたいグルメや足を延ばしたい注目スポットをご紹介します。

いざ出発! ハイブリット車両「橅」へ乗車

リゾートしらかみ
車内
車内の天井や床まで木材を使用し、ぬくもりに溢れている。
車内
ボックスシートの中央にあるテーブルの上には、スタイリッシュなBUNACOのランプ。
車内
つがにゃんつがにゃん

1997年にデビューした観光列車「リゾートしらかみ」は、現在3編成で運行されています。白神山地に生息するクマゲラと五能線沿線の夕陽をイメージした「くまげら」、日本海の水平線と十二湖の青池をイメージした「青池」、そして今回乗車した世界自然遺産白神山地のブナ林をイメージした「橅」です。
最新の「橅」はグリーンをベースにしたボディに、生き生きと枝葉を伸ばすブナ林のデザインが施されています。車内に足を進めると、シンボルツリーの橅をはじめ、秋田県産の杉や青森ヒバなど、沿線の木材をふんだんに使った、あたたかみのある空間が乗客をお出迎え。赤やオレンジ、黄色といった暖色をアクセントにした座席がゆとりを持って配され、足元まで広々としているので、ゆったりとくつろげます。
運転席のある1・4号車には展望室があり、青森の木工品・BUNACOや曲げ木家具を専門とする秋田木工の椅子に腰を掛けて大きな車窓越しに景色が眺められます。今回は一人旅のため利用しませんでしたが、2号車はテーブル付きの4人掛けボックスシート。席は半個室のような仕様になっていて、座席をフルフラットにしてリラックスする家族の姿が印象的でした。子ども連れでもこれなら安心して楽しめそう!
「リゾートしらかみ」は全席指定席のため、乗車予約の際に座席位置やタイプを選びます。一部区間では進行方向がスイッチしますが、日本海沿いの景色をのんびりと眺めたいのなら海側のA席がオススメ。ちなみにボックスシートは、すべて海側に設置されています(海側はA席とD席)。しかしながら車両内はすべて開放的な大窓なので、山側の席であっても十分に景色を楽しむことができるのでご安心を。乗車中は展望室の利用が自由にできるので、譲り合ってぜひ利用してください。

列車旅のおともにモバイルオーダーを活用♪

展示会
JR秋田駅では、出発ホームで商品受け取りが可能。
シール
あきおあきお
オーダーできるメニューの一例。秋田市にある「イタリア食堂 ビランチャ」のお弁当。
※「ごのたび」は2022年4月から営業開始予定

のんびりと目的地を目指す列車の旅。移動中も旅の醍醐味のひとつ・グルメを楽しみたいという人は多いはず。そこで、地場食材を使ったお弁当からスイーツ、ドリンクまで、旅のお供にうれしいグルメをラインアップ。事前にスマホから予約と決済を済ませて、「リゾートしらかみ」の停車駅でオーダーした商品を受け取ることができて便利です♪

【オーダー方法】
五能線モバイルオーダー「ごのたび」のオーダー画面から、スマホを使って受け取りたい日の前日15:00までに予約。
https://lp.jreast-joyful.jp/gonotabi/
STEP① 購入したい商品を選択
▶商品選択 ※受け取る駅に注意
▶乗車する列車情報を入力

STEP② 選択した商品のチケットを購入
▶お支払い ※支払い方法を選択
▶購入チケットを確認

TEP③商品を引き換え
▶受け取り場所でチケットを提示
▶引き換え完了 ※引き換え済みになっていることを確認

港町や奇岩を眺められる日本海沿いを走行

車窓
能代駅
乗車客がゴールを決めると記念品がもらえるイベントを実施している。
※基本的には4月から11月まで実施。運行状況などに応じて変更する場合がありますので予めご了承ください。
観光駅長
車窓越しに手を振ったら、観光駅長がにこにこしながら振り返してくれた♪
仙北岩トンネル
仙北岩トンネルの後にもう1本トンネルが続くので、その短さが実感できる。
奇岩
八峰町から深浦町にかけて、面白い形をした奇岩が多く見られる。まるで西洋の鎧兜のよう。

JR秋田駅を出発し、「リゾートしらかみ」は奥羽本線を北上します。ガタンゴトンと心地良いリズムに乗って進む列車の車内にはモニターが設置されていて、沿線の観光情報が乗客に提供されます。
ふかふかの座席に身体をゆだねて、大きな車窓から眺める秋田の景色。時折、停車駅周辺の歴史や文化にまつわる車内アナウンスが流れ、窓の外に目を向けながら耳を傾けると秋田の魅力を再発見することができます。
JR東能代駅へ到着すると進行方向が変わります。ここには、くまげら編成を模したホーム待合室があり、中には運転台の一部が展示されているので、停車中に見学するのも良いかもしれません。〈木都〉や〈バスケットの街〉として知られている能代市。続いて停車するJR能代駅のホームには、なんとバスケットゴールが設置されていました。
ここからは世界自然遺産白神山地へと向かいます。途中停車するJRあきた白神駅では、観光駅長がお出迎えしてくれました。そして、県境を超えて青森県深浦町に入ると、いよいよ五能線ならではのオーシャンビューが続きます。JR岩館駅-大間越駅間では、景色をじっくりと眺められるようにと速度を落としてゆっくりと進みます。さすが日本海。うねる波が岩に打ちつける様子が迫力満点です。程なくして通過するのが、JR陸奥岩崎駅-十二湖駅間にある約9.5mのJR東日本で一番短い「仙北岩トンネル」。先頭車両で眺めると、まさに瞬く間に通過する様子が楽しめました。
小さな漁港やゴツゴツとした岩の海岸の景色が続き、春にはニッコウキスゲが黄色い花を咲かせるという景勝地・行合崎などを進んでいきます。そして現れたのは、広々とした岩棚が続く千畳敷。こちらは帰りの列車で停車タイムがあるので、復路でじっくり触れることにします。そして、JR千畳敷駅を過ぎると、数ある周辺の奇岩の中でも目をひく兜岩を車窓越しに見ることができました。

岩木山を眺めながら津軽の伝統文化にふれる

車窓
津軽三味線
津軽三味線
息を呑み、思わず聴き入ってしまう津軽三味線の生演奏。三味線の音色がジーンと響き、感動!
※車内イベントは、諸事情により演奏・実演ができない日もありますので、予めご了承ください。
岩木山
写真は岩木山麓の菜の花畑(鰺ヶ沢町)。津軽富士の愛称で親しまれている岩木山は、天気の良い日に眺められる。
岩木山
あきおとつがにゃんあきおとつがにゃん
愛らしいリンゴの花が咲く頃の様子。
スタンプ
ついつい集めたくなるスタンプ。設置場所は各編成1号車の展望室。

日本海沿いの景色を眺めていたら、あっと言う間にJR鰺ケ沢駅へ。列車は内陸の弘前方面へと進み、なにやら弦楽器のケースを担いだ人たちが乗り込みました。さっきまで景色を眺めていた展望室は、ステージへと早変わり。津軽三味線の生演奏が始まったのです。
弦をバチで弾く音に呼ばれたのでしょうか。気付いた時には乗客が集まっていました。時々、演奏曲の小話を交えながら、JR鰺ケ沢駅-五所川原駅間の約30分の中で3~4曲を演奏。「りんご節」や「津軽じょんがら節」などの代表的な民謡を聴かせてくれました。演奏者の代表を務める滝栄会・会長の佐々木さんにお話を伺ったところ、「現在7名の津軽三味線奏者が、代わる代わる乗り込んで演奏を披露しています。さまざまな観光施設で催し物があるので津軽三味線を聴いたことがある方も多いかと思いますが、 揺れる電車の中で演奏するのはベテランの為せる技。皆、津軽三味線の大会で賞を獲るレベルの素晴らしい演奏者です」と教えていただきました。強弱をつけながら、独特のリズムでバチで弦を叩きつけるように演奏する津軽三味線。ふいに加速するテンポに圧倒され、力強い音色が身体に響きます。演奏が終わると自然と拍手が起こり、車内はたくさんの笑顔と「ありがとう」「素晴らしかった」という声に包まれました。数々の絶景に出会えることで知られている「リゾートしらかみ」ですが、この津軽三味線の生演奏を1番の楽しみに乗車する観光客が多いことに納得です。
JR弘前駅までの区間はリンゴ畑が多く、春にはリンゴの花、木にはたわわに実ったリンゴを車窓から楽しめます。見通しの良い平野を眺めていると、雄大な岩木山を眺めることができました。これから桜のシーズンを迎えますが、桜が散る頃になると今度はリンゴの木が花を咲かせるそうです。
そろそろ観光の目的地に到着しますが、その前にあることを思い出しました。「リゾートしらかみ」の車内には、編成ごとに異なる乗車記念スタンプを設置しているのです。はりきって旅の記念にペタリ! 2022年4月1日~12月31日までは、25周年限定の特別デザインになるそうです。乗車の際は、ぜひ記念に捺してくださいね。

いま、弘前で注目されているスポットへ

ねぷた

車窓からの景色や車内イベントを楽しんでいるうちに、とうとうJR弘前駅に到着!ホームに降り立ち改札に向かっていると、構内にはリンゴジュースだけの自動販売機がありました。さすがリンゴの名産地です。改札の手前には、秋田・津軽の情報を発信するPRキャラクターのつがにゃんが!青森らしくねぷた仕様になり、金魚ねぷたの頭巾を被った姿で迎えてくれました。ここから、徒歩20分程の目的地を目指します。

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