秋田から津軽へ トレイントラベル「リゾートしらかみ」乗車リポート【前編②】秋田から津軽へ トレイントラベル「リゾートしらかみ」乗車リポート【前編②】

25周年を迎える観光列車「リゾートしらかみ」
秋田-津軽をのんびり巡るとっておきの列車旅を

風光明媚な五能線を走る観光列車「リゾートしらかみ」は、2022年4月1日に運行開始から25年を迎えます。そんな記念すべきアニバーサリーイヤーに、「リゾートしらかみ」で秋田から津軽へ旅に出ました。乗車したのは、いまだ雪景色が広がりながらも徐々に春へと季節が移ろい始めた2月下旬。車窓越しに日本海や津軽平野の景勝地を眺めながら、目的地を目指しました。おもてなしのあたたかさに包まれた快適なクルーズ列車の魅力と、今こそ食べたいグルメや足を延ばしたい注目スポットをご紹介します。

新たな歴史を刻み始めたにぎわいの拠点

弘前れんが倉庫美術館
©Naoya Hatakeyama
弘前れんが倉庫美術館
©Naoya Hatakeyama
〈記憶の継承〉をコンセプトに、弘前の街に息づいてきた歴史ある煉瓦倉庫を改修したシンボルスポット。修復された外壁は、一見どこに手を加えているのか素人目にはわからない。
ミュージアムショップ
Tシャツや文具、特注アップルパイクッカーなどのオリジナルグッズや青森ゆかりの作家作品、工芸品が並んでいる。リンゴジュースやシードルも人気。
書籍
アート作品集のほか、津軽や弘前を題材にした書籍も販売。
小野さん
おしゃれな空間にテーブル席をゆったりと配したイートインスペース。「ゆっくりしていってくださいね」とやさしく声を掛けてくれた、店長の小野さん。
アップルチーズ
あきおあきお
弘前で人気の「OSTERIA ENOTECA DA SASINO」の笹森シェフが監修したデザート「アップルチーズ」990円は、ゴロッと入ったリンゴのコンポートとクリーミーなチーズがたまらない一皿。オリジナルブレンドのアップルティー「H-MOCA BLEND TEA」600円と一緒にぜひ。

JR弘前駅から向かったのは、2020年に開館した「弘前れんが倉庫美術館」。
建築家の田根剛氏が再生を手掛けた美術館には、地元ゆかりのアーティストや現代アートを手掛ける芸術家の作品を展示。市民ギャラリーやライブラリーを備えるほか、ワークショップなども盛んに行われ、県内外から多くのアートファンが足を運んでいます。もともとこちらの建物は、近代日本の始まりとともに建てられた吉野町煉瓦倉庫。明治・大正期に酒造工場として建設され、日本で初めてシードル製造が行われた場所なのだそう。シードル製造工場としての役目を終えてからは政府備蓄米倉庫として使用されていました。
しかし2000年代に、弘前出身の現代美術作家が展覧会を開催したことを機に話題を呼び、弘前市がこの建物を取得。芸術文化施設への整備が始まり、高度な耐震補強と既存の煉瓦壁を内外無傷で保存する設計により、美しい姿に生まれ変わったのです。
また、別棟では、「CAFE & RESTAURANT BRICK」が“弘前のファミリーレストラン”をコンセプトに青森県産の食材を使った料理などを提供しています。美術館でのんびり鑑賞を楽しんだ後にホッと一息つくのにピッタリの落ち着いた雰囲気の館内です。ミュージアムショップを併設するほか、ガラス越しに「A-FACTORY 吉野町シードル工房」の酒蔵を見られるのも魅力のひとつ。レトロな趣を生かしながらもスタイリッシュに生まれ変わったこの空間では、ウエディングパーティーが開かれることもあるそうです。

データ

  • 弘前れんが倉庫美術館
  • 住所:青森県弘前市吉野町2-1
  • TEL:0172-32-8950
  • 営業時間:9:00~17:00
  • 定休日:火曜(祝日の場合は翌日休)、年末年始
  • CAFE & RESTAURANT BRICK
  • 住所:青森県弘前市吉野町2-11 弘前れんが倉庫美術館 カフェ・ショップ棟
  • TEL:0172-40-2775
  • 営業時間:9:00~22:00(LO/21:00)
  • 定休日:火曜(祝日の場合は翌日休)、ほか美術館の休館日に準じる

津軽の魅力が詰まった選りすぐりの逸品を

展示会
シール
「A-FACTORY 弘前吉野町シードル工房」で造られたシードルがずらり。
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ジャムなどの加工品やスナックが充実。あれこれ迷う時間も楽しい。
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とうじくんとうじくん
ふじとジョナゴールドを使った「アオモリシードル弘前吉野町31 DRY」と、キレがあり爽やかな「 GARUTSUクラフト生サイダー」。1種500円、2種800円。
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シードル入りのシロップで上品な味わいに仕上げたオリジナルの「アップルパイ」330円。

アートと建築を楽しんだら、再びJR弘前駅へ。津軽の産物・地域文化を発信するコンセプトショップとして、昨年オープンした「BRICK A-FACTORY」。先程訪れた「弘前れんが倉庫美術館」の別棟にある「A-FACTORY 弘前吉野町シードル工房」より直送する天然発泡の生シードルや、弘前の老舗洋菓子店ボンジュールが監修したオリジナルスイーツを販売しています。オススメはオリジナルの「アップルパイ」。仕上げにシードル入りのシロップをたっぷりと塗って、オーブンで焼き上げているため、店内に一歩足を踏み入れるとバターとリンゴの甘い香りに包まれて幸せな気分に…♪ 販売以来その味わいが評判を呼び、ショーケースに並んだそばから買い求める来店客の姿が次々と見られました。
「A-FACTORY 弘前吉野町シードル工房」で造られた商品をはじめ、店内には驚くほど種類豊富なシードルが並んでいます。食品に限らず特産品のリンゴにまつわる商品が多く、手のひらサイズのリンゴ型オイルランプやリンゴ茶、こぎん刺しといった工芸品まで実にさまざま。シードルやアップルパイを購入した際は、隣接する待合スペース「津軽ラウンジ」で味わうことができます(津軽ラウンジ利用時間/6:00~23:00)。乗り換えの待ち時間や発着前のひとときに、シードルやアップルパイを味わえば旅気分がさらに盛り上がるはず。気軽に利用してみてはいかがでしょうか。

データ

  • BRICK A-FACTORY
  • 住所:青森県弘前市表町1-1 JR弘前駅2F
  • TEL:0172-55-0271
  • 営業時間:8:30~19:00
  • 定休日:無休

弘前が誇るあの“桜の名所”へ足を延ばそう

くにまつ
きりたんぽちゃんきりたんぽちゃん
山海堂
「弘前さくらまつり」の期間は、ボートや観光舟に乗ってお堀から桜を眺めることができる。

弘前市の中心部に位置する弘前公園は、岩木山と並ぶ弘前市民のシンボル。広々とした敷地内には、弘前城天守(現在は石垣の老朽化による修理工事のため仮天守台に移動)をはじめ、市立博物館、市民会館などの施設があります。「弘前さくらまつり」で広く知られ、桜の時期になると園内には約50種の桜が次々と咲き誇り、開花から満開、そして花びらが散ってお濠を覆う花筏(はないかだ)と見頃が長く、訪れる人々を楽しませてくれます。
園内には、春から秋まで季節の花を楽しめる植物園があるほか、秋には「弘前城菊と紅葉まつり」が開催され、年間を通して訪れる楽しみに溢れ、冬の期間は、日没から外濠をピンク色の明かりで照らす「冬に咲くさくらライトアップ」を実施。桜の枝に着雪があり、お濠が雪で覆われていると、まさに夜桜を見ているような不思議な感覚に包まれました。
雪解けが進み、春の訪れとともに迎える桜のシーズン。今年の桜の開花は早いそうですが、今から満開の姿が待ち遠しいですね。

「リゾートしらかみ」での秋田から津軽への旅、いかがでしたか。さまざまな景勝地の景色を眺められる列車の旅は、ゆったりと心が満たされるひとときが過ごせます。車内に響き渡る津軽三味線の音色に、ますます旅情がそそられました。
弘前はリンゴの名産地ということもあり、まち歩きをしているとあちらこちらにリンゴのモニュメントやモチーフが散りばめられていました。“アップルパイの街”としても知られているので好みのお店を探すのも楽しそう。話題を集めているシードルの種類も年々増え、列車旅のおともにはもちろん、お土産としても喜ばれそうですね。
復路では、ローカルの魅力にしみじみと触れました。津軽から秋田の旅もお楽しみに。

津軽から秋田へ トレイントラベル「リゾートしらかみ」乗車リポート【後編】はこちら

※営業時間や定休日などは、2022年3月末時点の情報です。感染症拡大の防止により、変更になる場合があります。

※写真は一部、紹介施設などに提供協力をいただいています。

記事作成:あきたタウン情報

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