TRAIN SUITE
四季島を支える想い

2018/09/28

Vol.25:姨捨ラウンジ「更級の月」運営支配人

佐藤 昇の想い

旅の初日を満ち足りた気分で締めくくっていただく、
そのお手伝いができるのは嬉しいことですね。

「TRAIN SUITE 四季島」1泊2日の旅の初日の最後に立ち寄るのは、日本三大車窓の一つである長野県の姨捨(おばすて)駅。静寂の中、光を放つ善光寺平の夜景は、旅情あふれる絶景である。
「TRAIN SUITE 四季島」の運行に合わせて新設されたラウンジ「更級(さらしな)の月」は、長野の木材をふんだんに使った心地よい空間。
ここには旅人を地元のおいしい酒と肴、そして笑顔で迎えるスタッフがいる。

特別な夜景のために15分だけ、ホームの電灯を消す

夜、姨捨駅に到着する「TRAIN SUITE 四季島」のお客さまを最初にホームでお迎えするのは千曲市の有志の方々です。日本三大車窓の一つである姨捨駅の夜景を、地元の方が説明するという趣向で、千曲市の味噌蔵、高村商店さまの臨時売店も出ます。ふだんは無人の駅ですが、「TRAIN SUITE 四季島」が立ち寄る夜は、まるで夜祭のように華やぎます。
その後、お客さまには、標高551mの駅からのぞむ善光寺平の夜景を最高の環境で見ていただきたいと考えまして、特別な許可を得て15分だけ、ホームの電灯を消しています。

長野のぬくもりが感じられる木のインテリア

私どもがお客さまをお迎えするのは「TRAIN SUITE 四季島」のために新設したラウンジ「更級の月」です。味噌づくりが盛んな土地柄から、内部のデザインは黒い木材の味噌蔵の雰囲気をイメージしています。カウンターテーブルに使われている檜材は千曲市からの寄贈。木のスツールやソファ、ローテーブル、そして料理を入れる重箱は長野在住の木工作家、松木啓直(ひろなお)さんに作っていただきました。美しい重箱はお客さまからよく「譲ってほしい」とお声がかかります。直接お譲りすることはできませんが、松木さんの工房をご紹介しています。

生産者の想いを料理で伝えたい

姨捨に到着するときには、皆さまはすでに車内で夕食を召し上がっていらっしゃいますので、ここではお酒と肴をお出しします。長野は旬の野菜も果物もとびきり新鮮なものが手に入ります。ホテルメトロポリタン長野の上海(じょうかい)正博料理長が自ら農家に足を運び、地元の生産者の熱い想いを伝えたい、という意気込みで調理にのぞんでいます。

お酒も長野県産で個性的な銘柄を取り揃えました。お酒を召し上がらない方にもアンズ入りのハーブティなど、土地の特産を使ったお飲物をご用意しています。
ラウンジには調理施設はありませんので、ホテルで調理したものを運びます。忘れものがあっても取りに戻る時間はありせんから、毎回緊張します。そのせいか、いつも初心にかえったような気持ちでお客さまをお迎えしています。

笑い声の絶えない夜のひととき

お客さまをお迎えするスタッフは、ほとんどが「TRAIN SUITE 四季島」運行開始以来のメンバーです。チームワークとフットワークのよさが身上の我々ですので、どんなことでも気軽にお声をかけていただければと思います。
お客さまがラウンジで過ごされる時間はわずか30分ほどです。けれどその間、ラウンジの中はにぎやかで、毎回、笑い声が絶えません。
車中へ戻られるお客さまをお見送りするとき、「ありがとう」「もっといたかった」と声をかけていただくたびに、皆さまの旅のお手伝いができて、本当によかったと感じます。
姨捨駅は「TRAIN SUITE 四季島」の旅路において、初日の最後を飾るステージだと思っています。お休みになる前のひとときをロマンチックな姨捨の夜景を眺めながら、ゆったりと過ごしていただけるよう、これからも心を込めてお手伝いをさせていただきます。

姨捨ラウンジ「更級の月」運営支配人 佐藤 昇
[ 文=野村麻理 撮影=的野弘路 ]