事業等のリスク
当社グループでは、各事業に共通・特有のリスクの回避・低減に取り組んでおります。具体的には、毎年事業全体のリスクを外部の知見や社内の意見等をもとに洗い出し、発生頻度及び影響度を踏まえた分析・評価を行ったうえでその年度の重要リスクを定め、回避・低減策を検討・実施しております。このように、PDCAサイクルを回してリスクの見直し等を図り、取締役会でリスク回避・低減に向けた取組みの達成度・進捗をモニタリングするとともに今後の方針について検討を行い、リスクマネジメントの実効性を確保しております。
今後、当社グループが収益力の向上や構造改革に取り組むためには、リスクを損失回避等のマイナス要素を減らす観点から捉えるだけでなく、リスクテイクも含め、当社グループの価値を積極的に向上させる観点を含めた「幅広いリスクマネジメント」が重要です。
これにより、安定的で適正な業務の運営の確保に加えて、当社グループ社員の成長に向けた果敢なチャレンジを支援・促進してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
Coming soon
鉄道事業において事故等が発生した場合、当社グループに対するお客さまの信頼や社会的評価が失墜するだけでなく、お客さまへの補償や事故等の影響による事業の中断等により経営に重大な影響を与える可能性があります。
当社グループは、安全を経営のトッププライオリティと位置づけ、ハード、ソフトの両面から安全性の高い鉄道システムづくりに取り組み、会社発足時から8回目となる安全5ヵ年計画「グループ安全計画2028~本質をふまえ、想定外も想像して安全を先取る~」に基づき施策を着実に実施しました。
具体的には、当社グループに起因する鉄道運転事故を防止するため、自動列車停止装置(ATS-P)整備などの列車脱線事故等の対策や、駅や車両基地等の屋根の落下対策などの基幹設備の強靭化を進めました。
踏切事故対策については、踏切の整理統廃合、踏切支障報知装置の増設や障害物検知装置の高機能化等を進めるとともに、警察や道路管理者等と連携し「踏切事故0(ゼロ)運動」として踏切通行者等への啓発活動を行いました。
また、ホームにおけるお客さまと列車の接触や線路への転落を防止する対策として、東京圏在来線の主要路線330駅758番線へのホームドアの整備を進めており、2025年度末現在、線区単位の162駅345番線に整備が完了しました。また、他の鉄道社局と合同で「プラットホーム事故0運動」等の啓発活動を実施しました。
当社グループを取り巻く環境は、自然災害の激甚化・頻発化、人口減少、DXの進展など、激しく変化しています。これらの変化に対応するために、築いてきた「安全文化」や安全の「しくみ」「設備」など、安全の基盤を強固にし「これまでは想定外であったリスク」を本質の理解により想像し、安全を先取る取組みを進め「究極の安全」を追求してまいります。
Coming soon
近年、集中豪雨や大型化した台風などの異常気象リスクが高まっております。これらの集中豪雨や台風だけでなく、大規模地震・津波、洪水、火山といった自然災害等によって、当社グループの鉄道及び関連施設等が損壊し、大きな被害を受ける可能性があります。また、自然災害等に起因する大規模停電により、鉄道の運行を継続できない可能性があります。さらに、大規模災害時においてサプライヤーの被災や配送網の寸断により事業継続に必要な物品の安定的な供給を受けることができなくなることも考えられます。
自然災害に対するリスクの低減として、当社グループは次の取組みを進めています。大規模地震対策として、高架橋柱や電柱等の耐震補強を進めるとともに、走行中の列車を早く止める早期地震検知システムを導入しています。また、新幹線は脱線後被害軽減を目的に車両の逸脱防止対策の整備と改良を進めています。局地的大雨に対しては、詳細に雨を把握し運転規制を行う「レーダ雨量規制」を従来の運転規制に追加して在来線全線区に導入し、浸水対策としては「車両疎開判断支援システム」を浸水の可能性のある車両留置箇所に導入しています。また、各種自然災害発生時の対応力を向上するための訓練を定期的に実施しています。今後も「グループ安全計画2028」に基づき、自然災害に対するリスク低減の取組みを進めてまいります。
一方、自然災害等による大規模停電に備えて、主要なターミナル駅などにおける非常用発電機の運転時間の長時間化を進めております。さらに、安定した調達を継続するため、複数のサプライヤーから調達できるように取組みを進めております。
Coming soon
重大な感染症が国内外において流行した場合、経済活動の制限やお客さまの外出自粛、社員の罹患等により、当社グループの事業が継続できなくなるおそれがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に多大な影響を与える可能性があります。
コロナ禍では、鉄道の輸送量の大幅な減少、当社グループの商業施設の休業や利用者の減少等が発生したほか、海外からの入国制限等によりインバウンド需要が減少し、当社グループの業績は大きな影響を受けました。
今後も社会に影響を与えるような感染症の発生・拡大に際しては、政府・自治体等と連携しながら、当社で定める「新型インフルエンザ等対策業務計画」に基づき、お客さまの安全・安心の確保を最優先に、適切な輸送を確保するため必要な措置を講じてまいります。
Coming soon
当社グループは、鉄道事業において他の鉄道及び航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合関係にあるほか、生活ソリューションにつながる事業においても、既存及び新規の事業者と競合しております。これらに加え、外部環境の変化の加速や、当社グループではコントロールできない要因などにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
鉄道事業においては、格安航空会社(LCC)の路線拡大、高速道路の拡充、自動運転技術の実用化などによる交通市場の競争激化や人口減少、少子高齢化の進行、在宅勤務などの働き方改革の浸透等により、輸送量が減少し、同事業の収益等に影響を与える可能性があります。また、採用難による人材不足や資材の供給不安などにより、事業の正常な運営に影響を与える可能性があります。
このような中、当社グループは、グループ経営ビジョン「勇翔2034」を策定し、鉄道を中心としたモビリティと生活ソリューションの二軸それぞれの成長と、二軸を有するからこそ可能となる、様々なシナジーの創出を通じて、ライフスタイル・トランスフォーメーション(LX)の実現をめざしています。「モビリティ」においては、モビリティ中長期成長戦略「PRIDE & INTEGRITY」のもと、列車内でしか味わえない特別な体験や新たな夜行特急列車の運行など楽しくなる付加価値の高い移動空間を届け、出かけたくなる魅力的な目的地を創出するほか、海外向けプロモーションの強化や海外メジャー予約サイトとの連携を通じて訪れたくなる東日本の魅力を世界に発信するなど、多様化するお客さまの移動ニーズにきめ細かくお応えします。「生活ソリューション」においては、中長期ビジネス戦略「Beyond the Border」のもと、当社グループの強みであるリアルとデジタルの接点を活かしながら、ヒト起点のマーケットインによる「移動の目的地づくり」や「Suicaを軸としたDXによる個客との接点強化」、「魅力的なまちづくり」等を推進していきます。経営環境の変化を先取りした新たな社会的価値や経済的価値をステークホルダーに提供していくことをめざして取り組んでまいります。また、ワンマン運転の拡大、将来の自動運転やドライバレス運転の実現、ウォークスルー改札の開発・導入、メンテナンス業務の仕組みの見直しといった、技術革新・生産性向上に取り組むことにより、モビリティをより強靭なシステムへと進化させていきます。そのほか、安定した人材確保に向けたグループ全体での採用活動や、安定調達を継続するための新たなサプライヤーの開拓などにも取り組んでおります。
Coming soon
犯罪・テロ行為の発生により、当社の鉄道事業等における安全性が脅かされる可能性があります。
当社グループでは、鉄道のセキュリティ強化に向け、車内の防犯カメラの増設や、鉄道施設におけるカメラの増設・ネットワーク化による集中監視を実施しているほか、新幹線・在来線のすべての車両や主要駅等に防犯・護身用具を配備する等の対策を実施しております。
また、当社グループは、モビリティに関する事業と生活ソリューションにつながる様々な業務分野で、多くの情報システムを用いております。当社グループと密接な取引関係にある他の会社や鉄道情報システム株式会社等においても、情報システムが重要な役割を果たしております。サイバー攻撃や人為的ミス等によってこれらの情報システムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。さらに、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等により情報システム上の個人情報等が外部に流出した場合やデータが改ざんされた場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、近年のAI技術の進展により、AIの予期せぬ動作や機密情報の漏えいなど、AI特有の新たなリスクが発生する可能性があります。
当社グループでは、日常より情報システムの機能向上やセキュリティの常時監視、関係する社員の教育など、障害対策及びセキュリティ対策を講じるとともに、万一問題が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の厳正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。AIについてはグループ共通のポリシーを定め、生成AIを利活用するシステムのチェック体制を構築しております。
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当社グループは、モビリティに関する事業と生活ソリューションにつながる事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」及び「コンプライアンス・アクションプラン」を策定し、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を実施してまいりました。これらの指針等については、当社グループの事業領域が大きく変化していることをふまえ見直しを行い、コンプライアンス重視の健全な企業風土の醸成に向けて、グループ社員が法令・企業倫理等を遵守し誠実に行動するための「よりどころ」として、「JR東日本グループの『決意と約束』」を2026年6月10日に制定しました。また、社員教育では、当社グループの事業内容に即した事例を用いたディスカッションを取り入れるなどコンプライアンスを自ら考える場となるよう改善しており、今後も継続するとともに、全社員教育以外でもコンプライアンスの意味や重要性を「自分ごと」として考える機会を設けてまいります。また、外部機関との連携によるJR東日本グループコンプライアンス意識調査を実施しております。本調査で得られた結果をもとに課題等の抽出や改善策の検討などに活用することで、コンプライアンス施策のさらなる推進をめざしてまいります。さらに、2025年7月1日に設置した「グループ全体のガバナンスの強化と改善に向けた有識者委員会」報告書を受け、2026年3月18日に改善策を公表し、あわせて総務・法務戦略部担当役員を当社グループにおけるコンプライアンスの全体責任者に指定しました。今後、当社及びグループ会社において責任者や担当部署を明確にし、コンプライアンスの推進体制を改めて整備し、各職場のコンプライアンスに関する課題に応じた柔軟で主体的な取組みを強化することや、心理的安全性の高い職場づくりやハラスメント撲滅の取組みなど、改善策を推進してまいります。
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国内外の経済情勢の変化や、金利・為替・物価等の動向などにより、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性がある他、サプライチェーン上の問題により社会的評価が失墜する可能性があります。
日本経済及び世界経済の情勢は、経済的要因だけではなく、戦争やテロ行為等の地政学的リスク、世界的な感染症の流行及び大規模な自然災害等により影響を受ける可能性があります。このような事態が発生又は拡大した場合、経済の低迷が長期化し、当社グループのモビリティに関する事業と生活ソリューションにつながる事業などの様々な業務分野において、需要が減少する可能性があります。また、国内外の経済情勢の変化や金利・為替・物価等の動向などにより、物品調達コストや資金調達コストが上昇し、当社グループの収益に影響を与える可能性があります。さらに、グローバル化したサプライチェーンは様々な要因により寸断される可能性がある他、人権課題の多様化・複雑化により調達活動に影響が生じる可能性があります。
当社グループは、鉄道を中心としたモビリティでは安全安定輸送のレベルアップとさらなる増収に取り組み、生活ソリューションには既存事業の強化に加え、「成長のエンジン」と位置づけた不動産事業の加速や戦略的M&Aを推進し、「勇翔2034」で掲げた数値目標の達成をめざしてまいります。また、物品調達コストの上昇については、国内外を問わない幅広い調達やスケールメリットを活用した価格交渉等を通じて、調達コスト上昇を抑制しております。資金調達コストの上昇については、債務償還額の平準化及び債務の長期化、債務の円建払いや支払金利の長期固定化を行うことにより、将来の金利変動リスク・為替変動リスクを抑制しております。サプライチェーンを維持し、寸断を回避するため取引先とのコミュニケーションを強化するとともに、複数のサプライヤーから調達ができるように取組みを進めています。人権問題等については、当社グループ調達方針に基づき浸透を図る取組みに努めてまいります。
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海外での事業においては、政治体制や社会的要因の変動、投資規制・税制や環境規制等に関する現地の法令変更、商慣習の相違、契約の履行やルールの遵守に関する意識の違い及びそれらに起因する工期等の遅延、経済動向、為替レートの変動等様々なリスク要因があります。海外で政治リスクや遅延リスク等が顕在化すると債権回収に影響を及ぼすことがあるため、プロジェクトごとにきめ細やかな収支管理を行っています。現に、政変や紛争等によるリスクが顕在化していますが、予期せぬ情勢変化等が生じた場合に当社グループの財政状態及び経営成績、またグループ社員の身の安全に影響を与えることのないよう、これら様々なリスクについて、弁護士やコンサルタント等、専門家の助言を踏まえたリスク分析を行ったうえで、場合によっては日本政府の協力を得ながら対応に努めております。
Coming soon
当社は、「鉄道事業法(昭和61年法律第92号)」の定めに基づき事業運営を行っており、鉄道事業者は営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とされております。また、旅客の運賃及び新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。さらに、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。
これらの手続きが変更される場合、または何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。この考えに基づき、鉄道に求められる社会的な役割や多様化するお客さまのニーズにお応えし、今後も鉄道事業をサステナブルに運営していくため、2026年3月に運賃改定を実施しました。新幹線自由席料金の届出化やインフレにタイムリーに対応できるしくみの導入など、シンプルかつ柔軟な制度の実現や総括原価方式そのものの見直しも、引き続き国に要望していきます。
なお、当社は、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和61年法律第88号)」の平成13年改正により、同法の適用対象からは除外されているものの、同法の改正附則に基づき「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等が定められております。指針に定められた事項は以下の3点です。
- 会社間における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項
- 日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項
- 新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項
指針に定められているこれらの事項については、当社は、従来から十分留意した事業運営を行っております。しかしながら、鉄道を取り巻く環境は当時から大きく変化していることから、これらが経営に及ぼす影響を踏まえ、必要により柔軟な運用について関係者のご理解を求めていく考えです。
Coming soon
日本国有鉄道の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市~上越市)及び東北新幹線(盛岡市~青森市)の2路線の整備新幹線の営業主体とされ、1997年10月1日に北陸新幹線高崎~長野間が、2002年12月1日に東北新幹線盛岡~八戸間が、2010年12月4日に東北新幹線八戸~新青森間が、2015年3月14日に北陸新幹線長野~上越妙高間がそれぞれ開業しました。
「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条において、整備新幹線の貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税及び同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされております。このうち受益については、開業後30年間の需要予測及び収支予測に基づいて算定されることとなり、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は原則定額とされております。
貸付けから30年経過後の取扱いについては、施設の状態に見合った維持管理等に要する費用を支払うことを基本的な考え方としつつ、関係者間の協議により新たに定めてまいります。なお、貸付けを受けている整備新幹線区間と貸付終了年度は、次のとおりです。
- a.北陸新幹線(高崎~長野間)2027年度
- b.北陸新幹線(長野~上越妙高間)2044年度
- c.東北新幹線(盛岡~八戸間)2032年度
- d.東北新幹線(八戸~新青森間)2040年度