2021年3月26日

FUKUSHIMA MONO

|福島県|

生みの苦しみを喜びに変えて

JR東日本グループは地域と連携した産直市の展開、伝統工芸品の発掘、農産加工品の開発など、新たな雇用の創出や資源の活性化を測る、地方創生プロジェクトに積極的に取り組んでいます。今回は福島県における事例、「ふくしま桃シリーズ」を紹介します。

JRがつないだ福島のプライド

JR東日本グループでは地域の魅力ある素材(1次産業)を掘り起こし、優れた加工技術等(2次産業)を組み合わせ、消費者の視点を踏まえた商品開発と販売(3次産業)を実現していく6次産業化に特化した取り組みをグループとして進めています。

ふくしま桃シリーズは、JR東日本仙台支社が関わる第1弾の仙台きなこシリーズ、第2弾の山形ラ・フランスシリーズに続く第3弾としてスタートしました。掲げられた使命は震災後の風評被害で取引価格の下落にあえぐ、福島の桃農家のみなさんの助けになるような新しい地域産品つくること。その実現に向けJR東日本グループでは、世界に誇れる桃の生産に取り組む「ふくしま土壌ネットワーク」と、福島を代表する銘菓・家伝ゆべしを手がける「かんのや」に協力を仰ぎました。

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江戸末期1860年創業の「株式会社かんの屋」。東北でゆべしと言えば胡桃を入れた四角い餅菓子が一般的ですが、かんのやの「家伝ゆべし」は、うるち米のゆべし生地でこし餡を包み蒸しあげるのが特徴で、鶴が翼を広げた姿をかたどった見た目も印象的。梅、桃、桜の3つの春が同時に咲くことで知られる三春エリア、日本三大桜に数えられる三春の滝桜からほど近い場所に本店を構えています。

そのままでも十分おいしく食べられる桃を加工

「同じ県に暮らす者として、福島の農産物が深刻な風評被害を受けていることについては何とかしなければならないと感じていましたし、ふくしま桃シリーズにかかる商品開発の依頼も断る理由はありませんでした。しかし、開発のオーダーは傷みやすいことで知られる桃を、賞味期限が1カ月前後の和洋菓子にするという、なかなかハードルの高い内容。結果、生みの苦しみを味わうこととなりましたが、和菓子のほうは桃を煮詰めて果肉のかたまりをピューレ状にすりつぶし、餡になじませることで、ほんのり桃の酸味を感じるフルーティーな味わいを出すことに成功。洋菓子のほうは最終的にフィナンシェに行き着き、桃を生地に練り込んだほか、"福島県産あかつき"を贅沢に使用したオリジナルの白桃グミをトッピングすることで、これが桃を使った焼菓子の最適解! と自信をもって言える一品に仕立てることができました」(株式会社かんのや 企画開発室専任部長 橋本清美氏)

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桃の風味を最大限引き出すため、桃の果実を練り込んだ生地に自然由来の桃グミをトッピングして焼き上げた「ふくしま桃のフィナンシェ」。販売場所は福島県内の主要駅(福島駅・郡山駅・須賀川駅・新白河駅・会津若松駅)と仙台駅のおみやげ処およびNewDays各店、エスパル福島 かんのや、エスパル郡山 かんのや、エスパル仙台の東北めぐり いろといろ、かんのや直営9店舗および通信販売となります。

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桃の果実を溶かした白餡を桃山生地で包み、職人が一つ一つ丁寧に成形した「ふくしま桃の和菓子」。販売場所は福島県内の主要駅(福島駅・郡山駅・須賀川駅・新白河駅・会津若松駅)とかんのや直営店舗および通信販売となります。

今回のプロジェクトのため、そのままでも十分おいしく食べられる桃の最高級品種「あかつき」を相当数用意したのは、ふくしま土壌ネットワーク。前身の「ふくしま土壌クラブ」時代から放射線量測定、果樹の粗皮削り、高圧洗浄、各種メディアを通じたPRなどに取り組み、2015年2月、活動の枠をさらに広げようと組織を改編。県を代表する果実・桃のリブランディングを通して、福島のイメージ向上と農地の発展に寄与している生産者グループです。

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ふくしま桃シリーズは完成まで苦労した分、思い入れの強いものになり、また大事なことに気づかせてくれる商品になったと語るのは、かんのや 営業部部長の朝日秀樹氏。

「震災後、しばらくは『売れなくなるから福島の産品でもパッケージに福島と書くな』といった声が我々の業界にも届き、悔しい思いをたくさん味わいました。そうした自分たちにはどうすることもできない状況に光明をもたらしてくれたのが、このプロジェクトでした。少なくともエキナカや観光拠点で買われていくものは、福島のものが食べたいと思う人が買っていくもの。だったら堂々と福島と入れようじゃないか!という気づきを与えてくれたんですね。ふくしま桃シリーズのパッケージに記された"ふくしまプライド"という言葉。そこに込められた桃農家のみなさんの思い、福島の美味と元気を発信しながら、この地に再び大勢の観光客が戻ってくることを願う関係者の思いを、品物を手に取った方々に感じ取っていただけたらこれ以上の喜びはありません」

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そして2021年3月、ふくしま桃シリーズは、より濃厚に、より香り高くリニューアルされ店頭に並びます。

「リニューアルに関しては、東北デスティネーションキャンペーンを契機にいま一度プロジェクトの巻き直しを図りつつ、ふくしま桃シリーズを福島土産の代表的なブランドに昇華させていくため、我々からリクエストさせていただきました。今回は『もっと桃を見える化してほしい、あかつきブランドをより訴求してほしい』等抽象的なオーダーだったにもかかわらず、しっかり応えてくださった、かんのやさんには心から感謝しています。今後も福島を元気にしていくため、ともに知恵を出し合いながら協働させていただければ幸いです」(JR東日本仙台支社 事業部 企画・地域共創課 渡邊智憲)

以前にも増しておいしくなった、ふくしま桃シリーズ、みなさんもぜひ味わってみてください。

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右から株式会社かんのや 営業部部長 朝日秀樹氏、株式会社かんのや 企画開発室専任部長 橋本清美氏、JR東日本仙台支社 事業部 企画・地域共創課 渡邊智憲

株式会社かんの屋

  • 株式会社かんの屋 写真

    【かんのや 本店文助】
    住所 〒963-0911
       福島県郡山市西田町大田字宮木田39
    電話番号 0247-62-2016
    営業時間 9時~17時 (HP を参照ください)
    ※感染症対策のため、時短営業となる可能性がございます。予めご確認ください
    http://www.yubeshi.co.jp/