自然湧出量日本一を誇る草津温泉は、下呂温泉、有馬温泉と並ぶ「日本三名泉」。シンボルである湯畑を中心ににぎやかな温泉街が広がり、街歩きが楽しい。特に滝下通りには、「せがい出し梁造り」と呼ばれる白壁に黒い梁が映える江戸時代の建築様式を再現した建物が立ち並び、風情たっぷり。その一角に立つ大阪屋旅館は、江戸時代末期に創業した。

　宿で楽しめるのは、毎分およそ4000ℓが湧く湯畑源泉の湯。pH2.1ほどという強酸性の温泉で、草津温泉の源泉の中で最も温泉成分のバランスが優れているのだとか。この湯を求めて、定期的に療養に訪れる常連客もいるという。男女別の大浴場には御影石造りの内湯や檜ひのき造りの露天風呂があり、源泉から木の樋を伝って引かれる間にほどよくもまれた湯がたっぷりと注がれている。立ち上る湯けむりに包まれて浸かる湯の肌ざわりは、思いのほかやわらか。山肌をくり抜いて造った屋外岩風呂「岩戸の湯」もあるので、趣向を凝らした空間で草津の湯を堪能しよう。

　標高約1200mの地にある草津温泉は関東圏の中でも秋が早く、冬は雪景色を楽しめる。キリリと冷えた空気に季節の移ろいを感じ、天下の名湯でじっくり温まろうか。