トクしてラクしてオフピーク。

SPECIAL TALK オフピーク通勤で変わる働き方と暮らし方

鉄道利用者、企業、鉄道会社のみんなにメリットが生まれるオフピーク通勤

枡田さん JR東日本では混雑緩和の取組みの一環として「変動運賃」の導入を検討しているそうです。通勤ラッシュ時の利用者を減らし、混雑の少ない時間帯の乗車を促進する「オフピーク通勤」のために今何が必要なのか、パックンことパトリック・ハーランさんに伺います。
 このコロナ禍でたくさんの人が通勤のあり方を見つめ直したと思います。私も会社員時代には「絶対に9時に出社しないといけないの?」「この業務はオフィスに行かなくてもできるのでは?」と疑問を持ちながらも、ルールだからと仕方なく受け入れていました。けれどもリモートワークが推奨され、自宅でも仕事ができることにみんなが気づいたことで、働き方や通勤のあり方は変わったような気がします。
 ウィズコロナでも混雑緩和が実現されれば、通勤電車がただ人を運ぶだけの乗り物から、有意義な時間や空間を提供できるものに変わると思います。
 また、母親という視点で考えても混雑が緩和されると、子どもたちとの外出時の精神的負担がぐっと軽くなると思います。

パックン オフピーク通勤は企業にとっても重要な課題ですね。
 社員が出社してきた時点で、すでに疲れている。それでは良いパフォーマンスは発揮できないから効率も生産性も落ちてしまう。日本の企業は勤務開始時に社員全員が揃っていることを重視するみたいだけど、実はあまりメリットがないですよね。
 それよりも「ウチは出社時間自由。座って通勤できる会社です。」とPRした方が生産性は高いし、優秀な人材確保のためのアピールにもなる。
 もうひとつ、鉄道会社が持続的に高品質なサービスを提供できるようになることもオフピーク通勤の大きなメリットだと思います。需要のピークに合わせていた投資を安全や快適なサービスのために振り分けることができる。利用者、企業、鉄道会社の三者がWIN-WIN-WINの関係になる取組みですね。

変動運賃の導入で期待する効果 イメージ

ワークライフバランスを考えることが混雑緩和のきっかけに

オフピーク通勤によるワークライフバランスの変化の一例

枡田さん 私が会社に勤めていたときは通勤に1時間ぐらいかかっていたのですが、まさにピークの時間帯で、通勤電車に乗っている間は満員で押し合う車内でただただ耐えるだけの時間でした。ですが、時々出演する番組の都合でピークの時間帯からズレた電車に乗ると、座席に座ることができるし、ゆっくり本を読んだり、その日の仕事に必要な情報を頭に入れたり、自分をアップデートできるすごく有意義な時間になっていました。体力的にも疲れていないので仕事もいいパフォーマンスが発揮できたと思います。
 満員の通勤電車では楽しそうな顔をしている人が1人もいなかったことが印象的でした。

パックン 日本人はもっと自由に自分の時間をマネジメントしていいと思います。例えば混雑を避けて早朝から出社し、仕事をテキパキこなした上で早めに帰宅すれば、学校帰りの子どもをパパやママが家で出迎えるなんてこともできます。
 ニューヨークの地下鉄ではコロナ禍による制限が緩和されても、以前のようなラッシュはありません。企業も社員が揃うコアタイムを設定して出社や退社時間はフレックスにし、オフピーク通勤を実現しています。
 いま、日本でも働き方改革とかワークライフバランスを推進しようという声が高まっていますが、通勤スタイルを変えるだけでも仕事に集中できる環境を整えられたり、自分や家族との時間をもっと多く取れる毎日が実現できるはずですよね。

枡田さん コロナ禍による制限で電車に乗り慣れていない人たちが増えて、車内マナーなどが忘れられてしまう心配はありませんか。

パックン その点は心配しなくても大丈夫だと思っています。混雑してきたらカバンを前に抱えるとか、ヘッドホンからの音漏れに気をつけるとか、一時的に気が付かないことがあるかもしれませんが、自然に身につくことです。
 混雑が緩和されることでみんなに余裕が生まれ、お互いを思いやる気持ちも増えていくのではないでしょうか。

オフピーク通勤によるワークライフバランスの変化の一例

変動運賃の導入は通勤定期券から

パックン JR東日本ではピーク時間帯以外に利用可能なオフピーク定期券を10%程度値下げで設定し、通常定期券を1~2%程度値上げするというプランを考えているそうです。値上げになる利用者が多いと思えますが、企業や働く人がオフピーク通勤を推進することで、コスト削減や節約につながります。

枡田さん 需給に応じて料金が変動する「ダイナミックプライシング」の考え方ですね。航空業界やイベント、テーマパーク、最近ではコンビニエンスストアにも導入されていますね。おトクなのにラクに通勤できるのはうれしいです。

パックン 混雑緩和という観点以外にも、鉄道が持続的に運行を続けていくためにもみんなで議論していかなければならないテーマですね。
 我々利用者は混雑緩和のメリットと価格のバランスをしっかり考えたいですね。

変動運賃導入後の定期券価格のイメージ

鉄道のサービス向上にも期待

枡田さん 現在はオフピーク通勤をするとポイントをもらえるサービスがあります。このように利用者がメリットを感じられるサービスや快適な車内の時間が増えていくとオフピーク通勤を楽しむことができますよね。

パックン 私は日本に来て電車に乗ったときにとても感動しました。時間に正確で、治安もよくて、快適に過ごせる。車窓を流れていく景色を眺めたりゆったりと本を読む時間はかけがえのない経験でした。そんな素晴らしい日本の鉄道を残していくためにも、みんなで一緒にオフピーク通勤の広げ方を考えていきたいですね。

JR東日本「オフピークポイントサービス」イメージ
枡田絵理奈さん 神奈川県出身。常に明るい笑顔で3児の母とフリーアナウンサーの仕事を両立。食育実践プランナーをはじめ多数の資格を保有。 パトリック・ハーランさん 1970年生まれ、アメリカ出身。「パックン」の愛称で親しまれ、ハーバード大卒の豊富な知識と流暢な日本語を活かし多方面で活躍中。