仙台箪笥

宮城県仙台市近郊

木地づくり、漆塗、飾り金具。
仙台藩の伊達な文化を今に伝える

モダンな空間と調和する、凛としたティッシュボックス

「TRAIN SUITE 四季島」の四季島スイート、デラックススイートに備えつけられているティッシュボックスは、宮城県の伝統工芸、仙台箪笥の伝統工法に則って制作された特別の品だ。ケヤキを用いた木地づくりから上質で透明な漆を何度も塗って仕上げる木地呂(きじろ)塗、そして最後に最大の特徴である重厚感溢れる「飾り鉄」を取り付けるまで、それぞれの作業を熟練の職人たちが丁寧に仕上げていく。長年にわたり、この地で継承されてきた技術の粋が活かされたその凛とした佇まいは、車内のモダンなデザイン、インテリアとも見事に調和する。仙台伊達家が大切にしてきた、武家の誇り。それはその小さな木箱にもしっかりと根づいている。

デラックススイートのティッシュボックス。木地呂塗りで仕上げられたケヤキの杢目が美しい。
堅牢に仕上げられた指物、丁寧な塗り、重厚感溢れる飾り鉄。仙台箪笥のエッセンスがこの小さな箱に息づく。

受け継がれる伊達の気概と伝統

仙台箪笥の起こりは江戸末期、仙台藩が下級武士たちの内職として箪笥づくりを奨励したことに始まる。以来、武家や商家などで貴重品や衣服を収める家財として重宝されてきた。主にケヤキやクリを用い、杢目(もくめ)が美しく浮かび上がるように木地呂塗を施す。最後に引手や錠前に唐獅子や竜、牡丹などをモチーフにした、重厚かつ華麗な飾り鉄を取り付けるのが特徴だ。明治期には、塗の種類や飾り鉄のデザインも多種多様になり、海外に輸出されるようになった。戦後、国内の伝統工芸の多くが途絶えてしまうなか、現代のインテリアにも調和する箪笥づくりなど、協同組合に参加する企業や工房を中心に、新たな試みにも挑戦している。上方にはない、独自の絢爛豪華な文化をみちのくの地でつくり上げた伊達の気概と伝統は、時を超えてもなお受け継がれている。
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