鹿革と漆が織りなす日本の美


客室の一角に配された文具などを収納するステーショナリーボックス。艶やかな漆塗りの上蓋には美しい印伝模様が施され、見る角度によってさまざまな光彩を放つ。印伝は江戸中期、甲斐の国(現在の山梨県)で独自に考案された技法だ。柔らかな黒地の鹿革を木地に貼りつけて、その表面に黒の漆を塗り込み、最後に細かな模様を施す。小桜、青海波(せいがいは)、蜻蛉など、その模様の数は300にもおよぶという。
「TRAIN SUITE 四季島」のステーショナリーボックスには吉祥・万徳の印である卍字くずしの模様「紗綾形(さやがた)」が配列され、なんとも縁起がよい。職人たちがひとつひとつ約半年をかけて製作したという特別なボックス。特別な旅の友として、存分に愛で、活用したい。