事故から学ぶ取り組み

事故の歴史展示館について

当社では、会社発足以降、安全を経営のトッププライオリティと位置づけ、安全の取り組みを推進してきました。鉄道の安全を確保するための設備やしくみ、ルールは多くありますが、これらは机上だけで出来上がったものではなく、過去に起きた事故の経験や反省に立って積み上げられてきたものです。このような問題意識のもと2002年11月にJR東日本総合研修センター内に「事故の歴史展示館」を設置して、過去の事故の概要や対策を当時の新聞記事と併せてパネルで展示し、「事故から学ぶ」という取り組みを全社員に対して、研修等の時間を利用して過去に起きた事故の悲惨さや社会的責任などを実感、さらに事故や安全について考える場として活用しています。
2018年10月には、JR東日本グループの社員が過去の事故を忘れることなく、より深く過去の事故の教訓を学ぶことを目指して「事故の歴史展示館」を拡充しました。

事故の歴史展示館入口(開館当時)の写真
事故の歴史展示館入口(開館当時)

事故の歴史展示館(本館)

テキストで事故を学ぶことに加え、事故の重大さや社会的責任を過去の事故の展示から実感・体感することにより、さらにプロ意識と自律的に安全に取り組む意識の向上を図ることを目指し、映像やスライドなどでより深く事故の教訓を学ぶこととしています。
「事故の歴史展示館(本館)」では、大きく取り上げる34件の事故と、それに関連する約80件の事故を取り上げ、事故の要因や対策の成り立ちをより理解するとともに、事故の対応などに携わった方々から、当時の経験とメッセージを聴くことで、事故防止に対する思いや事故の対策がより腑に落ちるようにしています。

事故の歴史展示館(本館)の写真
事故の歴史展示館(本館)
展示イメージの写真
展示イメージ

事故の歴史展示館(考察館)

2014年2月に京浜東北線川崎駅構内で脱線した車両と衝撃した工事用車両の実物を展示し、事故の状況を再現しています。実物車両の内部も見ることができるようにし、社員一人ひとりが事故の恐ろしさを肌で感じるとともに、事故を自分事としてとらえ、事故に至った要因を様々な面から考察し鉄道工事に関係する社員だけが学ぶ施設ではなく、どの立場の社員も、自分の仕事に置き換え深く考える場としています。

京浜東北線川崎駅構内脱線事故の概要

2014年2月23日、川崎駅構内で行っていた線路上の工事において、通常は列車が来ないことを確認の上、線路を閉鎖する措置(線路閉鎖)を講じてから工事用車両を線路に載せるところ、線路を閉鎖する措置を講じる前に工事用車両を線路に載せたところに、京浜東北線の回送列車が接近し、工事用車両と衝突した事故です。同列車は、先頭車両(10号車)と2両目(9号車)が脱線、先頭車両は進行左側に横転、2両目は進行左側に傾いた状態となり、乗務員2名が負傷しました。なお、同列車は回送列車であったことから、お客さまは乗車していませんでした。

事故当時の状況の写真
事故当時の状況
京浜東北線川崎駅構内列車脱線事故の再現の写真
京浜東北線川崎駅構内列車脱線事故の再現

事故の歴史展示館(車両保存館)

2014年4月に、事故等の実物車両を目の当たりにすることで、社員一人ひとりが事故・災害を改めて心に刻み、事故防止や、事故や災害が発生した際の被害を少しでも小さくするために、具体的な行動を起こすきっかけとすることを目指して開設した施設です。館内には、中越地震で脱線した新幹線車両(2004年10月)、羽越本線で脱線した車両(2005年12月)、東日本大震災で津波に襲われた車両(2011年3月)を展示しています。

車両保存館(外観)の写真
車両保存館(外観)
車両保存館で事故から学ぶ社員の写真
車両保存館で事故から学ぶ社員