PROJECT 首都圏ATACS

PROJECT 首都圏ATACS

02

INTERVIEW 2
無線式列車制御システム「ATACS」
埼京線導入プロジェクト

02 INTERVIEW 2 無線式列車制御システム「ATACS」埼京線導入プロジェクト 内山 大輔 2004年入社(エリア職)

INTERVIEW2

無線式列車制御
システム「ATACS」
埼京線導入
プロジェクト

内山 大輔

DAISUKE UCHIYAMA

  • 電気ネットワーク部
  • ATACSプロジェクト グループ
  • 2004年入社(エリア職)

MISSION

列車の位置や速度を検知し、地上設備と相互に通信しながら列車の運転および踏切の制御を行う車上装置の開発を担当。ATACSはさまざまな装置が連携することで成り立つシステムなので、地上設備や無線設備の担当者、製造を担うメーカーなどと協議・調整を重ね、最善の車上装置に仕上げるのが内山の役割である。埼京線のプロジェクトでは、JR東日本の31編成にATACSの車上装置を搭載した。

仙石線へのATACS導入で初めて経験した、保安装置。

仙石線へのATACS導入で初めて経験した、保安装置。

生活に身近で社会的な影響力も大きい鉄道分野で「ものづくり」に携わりたい。それが内山の入社動機だった。最初に配属された三鷹車両センターで約5年、車両の検査やメンテナンス、修繕を担当したのち、社内公募を通って「技術アカデミー」に参加。鉄道や車両に関する総合的な知識を身につけるための社内研修で、仕事を離れ1年間にわたって勉強に専念できる。その第1期生24人の1人に選ばれたのである。
「技術的な知識を学んだのはもちろんですが、JR東日本の鉄道システムはどうあるべきかという“思想”を得たことが技術アカデミーでの最大の成果だったと思います。実際のものづくりを行うメーカーさんに要望を伝える上で、思想という確かな軸を持つことは重要です」
技術アカデミーを終えた後に1年ほど車両改造の電気設計を担当し、初めてATACSとかかわったのは2011年11月。

仙石線での使用開始から間もない頃で、機能拡張に向けた車上装置の改良を担うことになった。新たに加わった機能はいくつかあるが、中でも大きかったのが「踏切制御」である。車上装置が自列車の速度などを元に踏切までの到達時間を計算し、最適なタイミングで警報開始を指示するもので、世界初の技術となる。
「私はそれまで踏切などの保安装置にかかわった経験がなく、列車による踏切制御は世界初。一から学びながらの仕事になりましたが、安全性の担保にはとくに注意しました」
豊富な知見を持つ周囲や先輩たちに助けられながら新システムを完成させると、すぐ次のプロジェクトが待っていた。首都圏での埼京線への導入が始まろうとしていたのである。

機能を盛り込むだけでなく、トラブル時の対処のしやすさにも配慮。

機能を盛り込むだけでなく、トラブル時の対処のしやすさにも配慮。

埼京線となると、ダイヤ本数や利用客数の多さだけでない複雑な要件もからんでくる。
「例えば、ATACSを導入するのは池袋~大宮間ですが、同じ列車が大宮の先の川越まで、池袋の先も大崎を経てりんかい線(東京臨海高速鉄道)と相互乗り入れをしており、ATACSの区間外も走るわけです。車両装置を切り替えて2種類の保安装置を使えるようにし、りんかい線の車両にも同じ車上装置を搭載してもらわなければなりません」
さまざまな調整作業を行う中、内山が最も腐心したのが「全体最適」だった。ATACSでは車上装置・地上設備・無線設備それぞれが重要な役割を担っているが、交わる要素も少なくない。この機能は車上と地上のどちらが担うべきか、といった問題である。

そんなとき、車上装置の主担当としてだけでなく、全体最適を考えるよう努めたと言う。
「また技術的な面で気を配ったのは、“どこまで機能を盛り込むか”でした。車上装置はソフトウエアの役割が大きいため、極端な話、機能をいくらでも詰め込めます。しかし、多機能で複雑になるほどトラブル時の復旧も難しくなる。その辺のバランスに悩みました」
2017年11月の切り替え当夜、内山は最前線の本部に詰めた。営業運転を終えて車両基地に戻った列車から順次、車上装置のシステムをATACSに切り替えていく。それまで夜間の試験を重ねて問題がないことを確認していたため、使用開始は一発勝負。翌日の始発から各列車は池袋~大宮間をATACSで走り始め、1年以上が経った今も順調に運行を続けている。

FUTURE

仙石線や埼京線への導入でゴールに至ったわけではなく、今もATACSプロジェクトチームの一員として、他の路線への展開を調査・検討しています。ATACSは列車制御システムという鉄道にとって最も重要なシステムにおける新技術なので、かかわり始めた当初は前例踏襲がベストだと思い込んでものづくりをスタートしました。でも、それで新しいシステムのメリットを削ぐより、変えることの目的と理由を丁寧に説明することが大切なんですね。その結果、必要な変化は受け入れてもらえることを学びました。ATACSの導入路線はまだ限られるため、このシステムの良さをより多くの人に体感してもらい、ATACSの応援団を増やすのが当面の目標です。ATACSの導入を広げることが、JR東日本の鉄道事業の進化につながると信じています。

FUTURE

PROFILE

三鷹車両センターでの車両の点検・メンテナンス・修繕などを5年間担当したのち、技術アカデミーの1期生に。1年の研修を終えて車両改造の電気設計(防犯カメラの設置など)を担い、2011年11月からATACSプロジェクトに加わり現在に至る。趣味はプロ野球観戦。阪神タイガースのファンで社内に20人ほどの仲間がおり、首都圏のスタジアムに集結している。

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