安全性と運行の柔軟性を高め、地上設備のスリム化も実現する
新時代の列車制御システムを首都圏へ。

列車内に搭載した車上装置で自列車の位置を検知し、双方向の無線通信により他の列車との間隔制御や踏切のコントロールを行う新時代の列車制御システム「ATACS(アタックス)」。JR東日本が長年にわたって研究開発に取り組んできたこのシステムの運用が2017年11月、埼京線(池袋~大宮間)で始まった。2011年の仙石線への導入に続くもので、念願の首都圏での展開に一歩を記したことに大きな意味があり、踏切制御機能までを含めたトータルシステムとしては世界で初めてである。
首都圏の輸送システムの変革を進め、将来の自動運転に対応したATACSを山手線・京浜東北線(大宮~東神奈川)への導入を推進中である。
※内容は取材時のものです。

【ATACS(アタックス)とは】

Advanced Train Administration and Communications System

従来の列車制御システムの多くは、レールに電流を流して列車の位置を検知し(軌道回路)、信号機によって後続列車の運転士に走行可能な区間と速度を指示する仕組みになっている。このため信号機で区切られた1つの区間に1列車しか入ることができない(閉塞方式)。また、線路の周りに軌道回路や信号機、ATS(自動列車停止装置)、ケーブル類など多くの地上設備を設ける必要がある。
これに対してATACSは、無線を使って自列車や前の列車の位置を知り、車内信号機で運転士に状況を伝えるとともにブレーキを制御。ヒューマンエラーによる速度超過を防ぐとともに、閉塞方式に縛られない柔軟な安全運行が可能で、地上装置もシンプルなものとなる。

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