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JR東日本からのプレスリリースを年度別に掲載しています。(JR東日本広報部)
平成13年5月16日


新幹線用の新しい自動列車制御装置(ATC)を開発

JR東日本では、2002年末開業予定の東北新幹線八戸延伸時に、従来と抜本的に異なるデジタル制御方式のATCを開発し導入します。
このシステムの導入により、滑らかなブレーキ制御となり乗り心地が向上するほか、やまびこ・なすの・こまちなどのようなタイプの異なる列車に対しても、その性能をフルに発揮した運転が可能となります。


 現在東北・上越新幹線で使用しているATC(自動列車制御装置)は、列車の速度制御や停止制御を司る装置であり、これまで長年にわたり新幹線の安全・安定輸送を支えてきました。
 しかし、このATCは東海道新幹線開業時(1964年)の技術をベースにした制御装置であり、安全・安定なシステムではあるものの、最もブレーキ性能の低い列車に合わせて、かつ階段状の速度制御を行うために、新しい形式列車に対してはブレーキロスが多く、必ずしも乗り心地や運転効率が良くない等の問題を抱えていました。

1. 新しいATC方式の仕組み

 今回開発した、デジタル制御方式のATC(DS−ATCと命名)では、地上側からデジタル送信される停止位置情報と車上で常時把握する列車位置及び列車速度の情報を基に、車上で最適なブレーキパターン発生させ、それに従って速度制御を行います。
 従来のATCは地上設備が重装備になりがちでしたが、DS−ATCでは車上側に勾配や曲線等の線路条件に応じた多数のブレーキパターンを保有するなど、車上と地上の役割分担を抜本的に見直して、両者で最適な速度制御を行う仕組みとしました。
2. 特徴

個々の列車性能に応じた最適なブレーキ制御を行うことにより、ブレーキロスが少なくなり到達時分の短縮と乗り心地の改善が図られます。

運転速度を連続的に指示できるため、先行列車との間隔をリアルタイムに最適な状態に保つことができ時隔短縮が可能となります。

列車運転速度の設定を列車自体が行うことにより、列車種別ごとの性能に応じた最高速度で運転が可能となり、将来速度向上を行った場合でも、システムの大きな変更を行わなくても良いような拡張性を持ったものとしています。

地上設備が簡素化され、工事費が削減されるほか工期の短縮が図られます。
3. スケジュール

 現在建設中の東北新幹線盛岡〜八戸間に本方式のATCを導入することとし、合わせて東北・上越新幹線のATC取替時にもDS−ATCを導入することを計画しています。
 2002年末に東北新幹線盛岡〜八戸間で使用開始予定


追加資料:現在のATCと新しいATC