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風光明媚な五能線を走る観光列車「リゾートしらかみ」。春夏秋冬それぞれの景色が楽しめる日本海や津軽平野を眺めながら秋田から津軽へ。快適な観光列車旅の魅力と、注目のグルメ&スポットを紹介します。
POINT1
1997年にデビューした観光列車「リゾートしらかみ」。白神山地に生息するクマゲラと五能線沿線の夕陽をイメージした「くまげら」、日本海の水平線と十二湖の青池をイメージした「青池」、そして今回乗車した世界自然遺産白神山地のブナ林をイメージした「橅」の3編成で運行されています。「橅」は、ボディにブナ林をデザイン。車内は、シンボルツリーの橅をはじめ、秋田スギや青森ヒバなど、沿線の木材を使った空間になっています。暖色をアクセントにした座席は、足元まで広々として快適です。
運転席のある1・4号車には展望室があり、青森や秋田で作られた木工品や椅子を配置。大きな窓から景色が眺められます。2号車はテーブル付きの4人掛けボックスシート。一部の座席はフルフラットできるので、子ども連れでも安心して列車旅を楽しめるでしょう。「リゾートしらかみ」は全席指定席のため、予約時に座席位置やタイプを選びます。一部区間では進行方向が変わりますが、日本海沿いの景色を眺めたいのなら海側のA席がオススメ。また、ボックスシートはすべて海側に設置されています。ただし、山側の席であっても十分に景色を楽しむことができるのでご安心を。乗車中は展望室の利用が自由にできるので、譲り合ってぜひ利用してください。
POINT2
移動中にグルメを楽しみたいという人はモバイルオーダーを利用してください。事前にスマートフォンから予約と決済を済ませて、「リゾートしらかみ」の停車駅でオーダーした商品を受け取ることができて便利。地場の食材を使ったお弁当からスイーツ、ドリンクまでラインアップしています。
【オーダー方法】
スマートフォンを使い、五能線モバイルオーダー「ごのたび」のオーダー画面から、事前に予約してください(日本語のみ対応)。
https://maas-portal.com/uketrip/tickets/3768別ウィンドウで開きます
POINT3
秋田駅を出発した「リゾートしらかみ」は、奥羽本線を北上。車内にモニターがあり、沿線の観光情報が乗客に提供されます。東能代駅へ到着すると進行方向が変わります。ここには、「くまげら」編成を模したホーム待合室があり、運転台の一部が展示されているので、停車中に見学するのも良いでしょう。能代市は、〈木都〉や〈バスケットの街〉として知られていて、続いて停車する能代駅のホームには、バスケットゴールが設置されています。シュートチャレンジしてみてください。
車両は世界自然遺産・白神山地へ。県境を超えて青森県深浦町に入ると、五能線ならではのオーシャンビューが続きます。岩館駅-大間越駅間では、景色をじっくりと眺められるように速度を落として運転。小さな漁港やゴツゴツとした岩の海岸が続いた先に、広々とした岩棚「千畳敷」や目を引く奇岩「兜岩」が現れました。
POINT4
日本海沿いの景色を眺めているうちに鰺ケ沢駅へ。列車は内陸の弘前方面へと進み、弦楽器のケースを担いだ人たちが乗り込み、展望室はステージへ早変わり。津軽三味線の生演奏が始まりました。五所川原駅までの約30分、「りんご節」や「津軽じょんがら節」など津軽の民謡3~4曲を演奏。演奏者の代表を務めるのは、滝栄会・会長の佐々木さんです。「揺れる電車の中で演奏できるはベテランだけ。皆、津軽三味線の大会で賞を獲るレベルの素晴らしい演奏者です」と教えてくれました。強弱をつけながら、独特のリズムでバチで弦を叩きつけるように演奏する津軽三味線。ふいに加速するテンポに圧倒され、力強い音色が身体に響きます。演奏が終わると自然と拍手が起こり、車内はたくさんの笑顔に包まれました。絶景に出会えることで知られている「リゾートしらかみ」ですが、この津軽三味線の生演奏を楽しみに乗車する観光客も多いのです。
弘前駅までの区間はリンゴ畑が多く、春はリンゴの花、秋にはたわわに実ったリンゴを車窓から見られます。見通しの良い平野の先にそびえる、雄大な岩木山を眺めることもできました。
また、「リゾートしらかみ」の車内には、編成ごとに異なる乗車記念スタンプを設置しています。
POINT5
弘前駅に到着し、2020年に開館した「弘前れんが倉庫美術館」へ。建築家の田根剛氏が再生を手掛けた美術館には、弘前や東北の歴史、文化に向き合う現代アート作品を展示しています。
この建物は、近代日本の始まりとともに建てられた吉野町煉瓦倉庫。明治・大正期に酒造工場として建設され、日本で初めてシードル製造が行われた場所で、シードル製造工場としての役目を終えてからは政府備蓄米倉庫として使用されていました。しかし2000年代に、弘前出身の現代美術家である奈良美智が展覧会を開催したことを機に話題を呼び、弘前市がこの建物を取得。芸術文化施設への整備が始まり、高度な耐震補強と既存の煉瓦壁を内外無傷で保存する設計により、美しい姿に生まれ変わったのです。
別棟では、「cafe & shop BRICK」が、青森県産の食材を使ったメニューや県産リンゴで造ったシードルを提供。ミュージアムショップを併設し、ガラス越しに「A-FACTORY 吉野町シードル工房」の酒蔵も見られます。美術館で鑑賞を楽しんだ後に立ち寄ってはいかがでしょうか。
POINT6
弘前市の中心部に位置する弘前公園は、岩木山と並ぶ弘前市民のシンボル。「弘前さくらまつり」で広く知られ、桜の時期になると園内には約50種の桜が次々と咲き誇り、開花から満開、そして花びらが散ってお濠を覆う花筏(はないかだ)と見頃が長く続きます。園内には、春から秋まで季節の花を楽しめる植物園があり、秋には「弘前城菊と紅葉まつり」を開催。冬は、日没から外濠をピンク色の明かりで照らす「冬に咲くさくらライトアップ」を実施しています。桜の枝に着雪があり、お濠が雪で覆われていると、まさに夜桜を見ているような不思議な感覚になれるのです。
POINT7
アートや建築、公園散策を楽しんだら、再び弘前駅へ。津軽の産物・地域文化を発信するコンセプトショップ「BRICK A-FACTORY」に向かいました。オススメは、弘前の老舗洋菓子店が監修したオリジナルの「アップルパイ」。仕上げにシードル入りのシロップをたっぷりと塗って、店内のオーブンで焼き上げているため、バターとリンゴの甘い香りが漂っています。
また、店内には種類豊富なシードルを陳列。先程訪れた「弘前れんが倉庫美術館」の別棟にある「A-FACTORY 弘前吉野町シードル工房」で造られた、天然発泡の生シードルを味わうこともできます。特産品のリンゴにまつわる商品も多く、楽しいショッピングタイムを過ごせます。
記事作成:あきたタウン情報