#003
秋田-津軽の魅力を探す列車旅の復路。「リゾートしらかみ」に乗って、岩木山や世界自然遺産・白神山地を眺めながら津軽の各地を巡りました。美しい景色や津軽の文化を伝える人々に出会える列車旅をリポートします。
POINT1
「リゾートしらかみ」の発着地点になっている青森駅周辺には、徒歩圏内に観光スポットが点在しています。青森と聞いて、多くの人が「ねぶた」を思い浮かべるでしょう。ねぶたは、青森の各地域で行われている伝統行事。「弘前ねぷたまつり」、「五所川原立佞武多(たちねぷた)」、「青森ねぶた祭」は、青森三大祭りと呼ばれている有名なイベントです。
青森駅の海側に位置するのは、国の重要無形民俗文化財「青森ねぶた祭」の歴史や魅力を体感できる「ねぶたの家 ワ・ラッセ」。館内には、実際に青森の街をにぎわせた大型ねぶたを複数展示しています。間近で見上げるねぶたは迫力満点! 祭りの熱気が伝わってくるようです。「青森ねぶた祭」の様子を大型スクリーンで鑑賞したり、スタッフによるねぶた囃子の演奏を楽しめます。また、運行するねぶたのまわりで「ラッセラー!」の掛け声と踊りで祭りを盛り上げる“ハネト”の体験をすることもできます。
POINT2
青森駅東口から近くのウォーターフロントエリアにある「A-FACTORY」は、マルシェのような複合施設。青森県産のリンゴを使用したシードルを醸造する工房と、青森ならではの食材やお土産品を扱うショップ、個性豊かな飲食テナントがあります。館内には、青森全域から集められたグルメやスナック、地元に根ざした加工品など“青森の美味しい”を陳列。 工芸品や民芸品などのクラフトアイテムも並んでいます。
館内の中心にあるのは、ガラス張りのシードル工房。タイミングが合えば、搾汁作業などの醸造工程の一部を見ることができます。醸造するのは、100%青森県産のリンゴを原料にしたシードルとアップルソーダ。繊細な泡立ちとリンゴならではの爽やかな甘みが楽しめます。
シードル工房の間にある階段をのぼると、青森県産の蕎麦粉を使ったガレットが味わえるレストランとシードルのテイスティングバーがあります。ここで醸造されたシードルに限らず、県内で造られた銘柄を複数ラインアップ。テイスティングは有料ですが、試飲をして好みの味わいを見つけられます。気に入ったシードルとおつまみをチョイスして、旅のお土産にするのも良いでしょう。
POINT3
津軽から秋田へ向かう復路は、日本海の水平線と十二湖の青池をイメージしたハイブリットシステム車両「青池」に乗車。「橅」と同様に車窓が大きく、先頭車両に展望室を完備しています。車内があたたかいムードの「橅」と比べるとスタイリッシュな内装です。こちらも4両編成で、2号車がボックス席。ほかの車両はゆったり座席を配した指定席になっています。山側の席を選んで、津軽平野の山並みを眺めるのもオススメです。
「リゾートしらかみ」の車内には、「乗車証明書」が備えてあります。対象施設でこのチケットを提示すると、入館料の割引やドリンクの提供など、お得なサービスが受けられます。また、板柳駅から「板柳ふるさとセンター」までの移動に活躍する「無料送迎タクシーサービス券」もあります。旅の途中に立ち寄る際は活用してくださいね。
POINT4
列車のほぼ真ん中、3号車の先頭にも展望室のような空間があり、ここが「青池」のイベントスペースです。乗車する「リゾートしらかみ」によって、走行中に津軽三味線以外のイベントも楽しめます。
その1つは、青森県中泊町に伝わる「金多豆蔵(きんたまめじょ)人形芝居」。現在は金多豆蔵人形一座の代表である木村さんが、サポートの手を借りながらほぼ一人で演じています。津軽地方に伝わる伝説を「金多」と「豆蔵」のコミカルな掛け合いで伝えるこの人形芝居は、伯父から継承した無形民俗文化財。「何度か新たに人形を作りましたが、やっぱり昔ながらの味のあるこの人形がいいんです」。人形の衣装は木村さんのお手製で、「細部までこだわっているので、そこにも注目して楽しんでもらえたらうれしい」と話してくれました。
そしてもう1つが、古くから伝わる津軽の昔話を聞かせてくれる「語りべ」。津軽語りべの会を取りまとめている菊地さんが、100話ほどの津軽の昔話を独自に調査し、読み聞かせのためにストーリーを書き出しています。実演の際は2名の語りべが乗車。それぞれ6分ほどのショートストーリーを聞かせてくれます。「天気の良い日は岩木山と八甲田山のどちらも眺めることができます。車窓から景色を眺めながら聞く昔話は、忘れられない思い出になるでしょう」。観光客が聞いてもわかりやすいよう、やさしい津軽弁で昔話を伝えてくれます。(日本語のみ)
記事作成:あきたタウン情報