サーキュラーエコノミー
資源循環の推進
各事業の特性に応じた資源循環目標を策定し、グループ内での再資源化や循環利用を推進することで、廃棄物の発生抑制とリサイクル率の向上を図っていきます。さらに、資源循環コンセプト「UPCYCLING CIRCULAR」のもと、事業活動から生じる廃棄物を新技術や外部連携を活用しながら再資源化し、グループ内で利活用することで、持続可能なサーキュラーエコノミーのさらなる推進を図っています。具体的には、グループから発生する食品廃棄物のメタン発酵による処理と発電・肥料生産する取組みや、使用済みプラスチックを、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルによりグループ内で再利用する取組みを行っています。
さらに、駅や車両で使用された資材を家具や内装材として再活用するほか、建設プロジェクトで発生した端材や廃材を地域の公共施設や教育機関での什器として再利用するなど、用途の幅を広げています。これらの取組みは、廃棄物の削減と再資源化率の向上に寄与するだけでなく、地域との連携や社会的価値の創出にもつながっています。
「UPCYCLING CIRCULAR」がめざす姿

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食品廃棄物削減の取組み
バイオガス発電による食品リサイクル
(株)JR東日本環境アクセス・JFEグループとの共同出資により、(株)Jバイオフードリサイクルを設立し、2018年から同社横浜工場で食品廃棄物のバイオガス化による発電事業を展開しています。リサイクルの流れは、駅ビルやエキナカをはじめ、市中から一日あたり最大80トンの食品廃棄物を受け入れ、メタン発酵処理で発生するバイオガスを利用して、発電を行います。


グループ一体となった3R
廃棄物排出量・リサイクル量・リサイクル率(2024年度実績)
JR東日本の廃棄物排出量・リサイクル量・リサイクル率※1
( )内は2023年度

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グループ会社の廃棄物排出量・リサイクル量・リサイクル率※1
( )内は2023年度

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清掃工場等で処理される一般廃棄物や、中間処理として焼却される産業廃棄物の中で、サーマルリサイクル※されている場合は、リサイクルとして扱っています。
- ※サーマルリサイクル:廃棄物を燃やしたときの排熱を回収して蒸気や温水をつくり、発電や給湯等に利用するリサイクル手法のこと
- ※1廃棄物には「有価物」を含みます。
- ※22023年度分計上漏れ・過剰計上のため訂正
- ※3その他現業区:設備のメンテナンス等を行う技術センターや乗務員区所等です。
- ※4JR東日本の設備工事:法律上は工事の請負会社が排出事業者となる工事廃棄物も産業廃棄物に含んで把握しています。
「リサイクルステーション」の設置拡大

廃棄物の分別を推進し資源化することを目的とし、従来の駅ゴミ箱より分別を細分化した「リサイクルステーション」を、東京・大崎・恵比寿・池袋・川崎の5駅に設置し、グループ会社である㈱JR東日本環境アクセスと有効性を検証してきました。分別率の向上など有効性が認められたため、2025年3月の横浜駅への設置を皮切りに、登戸駅、高輪ゲートウェイ駅にも設置しました。引き続き、お客さまのご利用の多い首都圏駅や駅構内店舗のご利用状況等を踏まえて約80駅に順次設置を進め、グループ内の資源循環の取組みを推進します。
国内最大級のプラスチックリサイクル施設「Jサーキュラーシステム」本格稼働開始

資源循環型社会の実現に向けた取組みとして、2025年4月に川崎市にてJサーキュラーシステム川崎スーパーソーティングセンターが本格稼働しました。本施設は、国内最大級となる1日200トンの使用済みプラスチックを処理可能な能力を有しており、JR東日本グループ内外から排出されたプラスチックを回収しています。
駅・列車等で発生するゴミの回収と再生
JR東日本の駅や列車から排出される資源ゴミは、JR東日本東京資源循環センター(事業運営:(株)JR東日本環境アクセス)等で人・機械によって徹底した分別を実施することにより、高いリサイクル率を実現しています。また、雑誌・新聞紙等は事務用紙等へ再生、使用済の切符はすべてトイレットペーパー等に100%リサイクルしています。
駅・列車・総合車両センター・設備工事からの廃棄物の推移

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廃棄物を、価値ある資源へ。現場からつなぐ“ダブルリサイクルループ”
私は、JR東日本グループの一員として、食品廃棄物の再資源化に取り組んでいます。
この取組みは、グループ内で発生する食品廃棄物を、「電力」と「農業」でリサイクルする「ダブルリサイクルループ」の実現をめざすものです。
私たちの役割は、(株)Jバイオフードリサイクル(以下、「Jバイオ」)が提供する処理サービスを安定的かつ適正価格で運用できるよう、収集運搬体制を整えることでした。荷下ろし先の変更に伴い、排出事業者との契約調整や食品リサイクルの理解促進、効率的なルート設計など、課題は山積みでした。
それでも、JR東日本マーケティング本部の協力を得ながら、関係各所と粘り強く対話を重ね、許認可の取得や新たな拠点の整備を進めたことで、ようやく安定した運用体制を築くことができました。
この仕組みにより、(株)JR東日本クロスステーションでは(株)JR東日本商事を通じて、バイオガス発電で生まれた電力を活用し、さらにJバイオの発酵残渣由来の肥料で育成した野菜を提供するという、資源循環モデルの「ダブルリサイクルループ」が実現しました。
この「ダブルリサイクルループ」は、単なる廃棄物処理ではなく、資源を未来へつなぐ挑戦です。今後も、2025年4月に本格稼働した(株)Jサーキュラーシステムでの使用済みプラスチックリサイクル事業をはじめ、取組みを拡げることにより、グループ全体での「UPCYCLING CIRCULAR」の推進に貢献していきたいと考えています。

『ダブルリサイクルループ』の実現
廃棄物を「電力」と「農業」でリサイクルすることにより実現する「ダブルリサイクルループ」

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ワインパミス(ぶどうの搾りかす)を活用した建築材料・ベンチの製作

山梨県小淵沢駅において、ベンチの老朽取替を行う際に、県の名産であるワインに着目し、ワインの製造過程で産出されるパミス(ぶどうの搾りかす)と廃プラを活用してベンチを製作、安全性や耐久性を確認したうえで設置しました。地域特産品の製造工程で発生する廃棄物を再利用することで、地域の特色を反映した駅舎づくりと再資源化を実現しています。
駅舎の屋根改良工事により発生する廃材の利活用

新潟県燕三条駅における屋根改良工事にて廃材として大量に発生した杉板を、学校や地域企業へ譲渡・売却したり、駅・事業所のベンチのリノベーションに使用するなど、さまざまな用途で再利用を行いました。工事廃材のリサイクルを実現するとともに、地域貢献とコストダウンにも寄与しています。
廃食油を原料とした軽油代替のバイオ燃料の導入

㈱JR東日本商事が中心となり、JR東日本グループ内の施設等から排出される植物由来の廃食油を回収し、軽油代替のバイオ燃料として再資源化する実証実験を実施しています。本バイオ燃料は、除雪用軌道モータカー(訓練用)をはじめとする鉄道関連車両に供給されており、CO2排出量の削減にも貢献しています。
グループ会社が保有する重機等にもバイオ燃料の活用を拡大することで、グループ全体としての資源循環型社会の構築と温室効果ガス排出削減に貢献します。
グループ全体の水使用量
地球上に存在する水のうち、人が利用しやすい状態で存在する水はわずか0.01%であり、水資源は非常に貴重な資源であると認識しています。
事業活動では、上水、工業用水、地下水のほか、中水※1の利用を積極的に進めており、雨水や手洗い水をトイレの洗浄水として再利用しています。具体的には、車両センターでは車体洗浄で工業用水を利用しているほか、駅のトイレや事務所で上水、雨水、地下水、中水等を利用し、排水しています。また、ご利用のお客さまにも節水のご協力をいただき、上水の使用量の低減にも取り組んでいます。JR東日本では法令や条例、自治体との協定に基づき、水質管理を適切に行っており、水資源の節約にも取り組んでいます。
- ※1中水:上水と下水の中間に位置づけられる水の用途。水をリサイクルして限定した用途に利用するもの。
2024年度 水使用量実績※2
- ※2水使用量は、上水、工業用水及び地下水使用量の合計値です。
-
JR東日本の使用量
2022年度 2023年度 2024年度 1,127万m³ ※3
1,047万m³
1,090万m³ ☆
-
グループ会社の使用量
2022年度 2023年度 2024年度 801万m³ ※3
850万m³ ☆
876万m³
- ※32022年度分水使用量計上漏れのため訂正
水使用削減の取組み
車両センターでは、車体洗浄で工業用水を利用しているほか、駅のトイレや事務所等で上水、雨水、地下水・中水等を利用し、排水しています。
また、駅などの施設では定期的な管理清掃時の節水、巡回時の洗面所・トイレの水漏れチェック等を行い、節水にも努めています。
資源循環社会形成へ向けた2030年度までの目標

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目標の進捗は統合報告書にて公開しております
OA用紙使用量
-
JR東日本の使用量
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項目 2022年度 2023年度 2024年度 使用量 736t
703t
597t
うち再生紙 94%
96%
94%
-
グループ会社の使用量
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項目 2022年度 2023年度 2024年度 使用量 787t
655t
622t
うち再生紙 85%
82%
86%