脊椎専門外来

特色

整形外科にて2022年4月より脊椎の専門診療を開始しました。脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、圧迫骨折などの背骨(せぼね)に関する治療を担います。首や腰の痛み、手や足のしびれでお困りであれば、是非ご相談ください。症状が軽度の方は一般の外来で投薬やブロック注射、装具治療などの積極的な保存治療を、症状が重い方は専門外来にて手術治療の相談や術後の経過観察をしていきます。

  • 身体診察に加えて画像検査を駆使して、正確な診断を目指します。
  • 投薬、注射、装具などを用いた、積極的な保存治療を優先します。
  • 症状が保存治療にもかかわらず遷延、進行する場合には、手術治療を検討します。
  • 高齢であったり治療中の疾患がある場合、手術リスクを多職種で相談し判断します。
  • 手術をする場合でも、可能な限り体への負担が少ない方法を目指します。
  • 神経モニタリングやナビゲーションを併用して安全で確実な手術を心がけます。

疾患と治療

対象となる疾患

  • 脊柱管狭窄症
  • 椎間板ヘルニア
  • 頚椎症
  • 腰痛症
  • 分離症
  • すべり症
  • 靭帯骨化症
  • 変形性脊椎症
  • 脊椎圧迫骨折
  • 脊椎破裂骨折
  • 脊椎側弯症
  • 脊椎後弯症
  • 脊椎腫瘍
  • 脊髄腫瘍(髄外)
  • 骨粗鬆症

施行している検査、処置、手術

検査

  • X線検査(レントゲン)
  • CT検査
  • MRI検査
  • 骨シンチグラム
  • 骨密度検査
  • 血液検査(骨代謝マーカー含めて)
  • 血圧脈波検査(ABI/PWV検査)

処置

  • 投薬(内服、外用、座薬)
  • ブロック注射(トリガーポイント、硬膜外ブロック、神経根ブロックなど)
  • 体幹装具処方(頚椎カラー、腰部固定帯、軟性装具、硬性装具、側彎矯正装具)
  • リハビリテーション(原則として入院治療の場合)

手術

  • 頚椎の手術 前方除圧固定術、椎弓形成術、後方除圧術、後方除圧固定術
  • 胸椎の手術 後方除圧術、後方除圧固定術、側弯症手術
  • 腰椎の手術 後方除圧術、後方除圧固定術、前方固定術、椎間板切除
負担の少ない脊椎手術を目指します

除圧手術は基本的に内視鏡を用いた低侵襲手術で対応しています(写真1)
固定手術でも症例に応じて、内視鏡を併用した低侵襲手術を応用します

写真1(Medtronic社 提供)

安全で確実な手術を目指します

全症例で術中脊髄神経モニタリングシステムを併用します(写真2)
難度の高い手術ではナビゲーションシステムを併用します(写真3)

写真2(NuVasive社 提供)

写真3(Medtronic社 提供)

施設認定が必要となる特殊な処置・手術も対応可能です

椎間板内酵素注入療法(写真4)
経皮的椎体形成術(写真5)
頚椎人工椎間板手術(写真6)
腰椎側方進入低侵襲固定術(写真7)

写真4 椎間板ヘルニアの新たな治療選択肢(科研製薬 提供)

写真5 圧迫骨折に対するセメント注入療法(Medtronic社 提供)

写真6 頚椎椎間板ヘルニアの新しい手術(Medtronic社 / Zimmer-Biomet社 提供)

写真7 胸腰椎低侵襲側方進入前方固定術(NuVasive社 / Medtronic社 提供)

スタッフ紹介

脊椎専門外来

毎週木曜日午後、月曜日午後

事前に電話予約センター(03-3320-2211 午前9時~午後4時30分 休診日を除く) にて電話予約を受け付けております。他院受診にてすでに検査や治療経過がある場合は、正確で迅速な診断・治療方針決定のために、担当医師からの紹介状や検査画像資料を持参ください。

スタッフ

馬場 聡史(ばば さとし) 整形外科医長

外来担当日:(月)(木) 木曜日午後は脊椎専門外来

日本整形外科学会認定整形外科専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本整形外科学会認定リウマチ医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本整形外科学会認定脊椎内視鏡下手術技術認定医
日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科専門医
日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医
日本脊椎脊髄病学会認定脊髄モニタリング認定医
日本臨床神経生理学会認定術中脳脊髄モニタリング分野認定医
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会終了
東京都トライアスロン連合メディカル委員

小木曽 左和子(おぎそ さわこ) 整形外科特任医師

外来担当日:(月)(火)

手術を受けられる
患者さまへ

せぼねの手術が決まったら…

医師より

  • 手術の説明
    外来で医師より説明を行います。聞き漏らした場合には入院してから、再度説明も可能です。
  • 既往症の確認
    今までに大きなご病気はないか、治療したことのあるご病気、治療中のご病気などを伺います。
  • 内服中のお薬の確認(お薬手帳があれば持参して下さい)
    手術に向けて中止するお薬がいくつかありますので確認させて頂きます。

看護師より

  • 術前検査(採血/心電図/レントゲン)のご案内をします。(B2階)
    採決・心電図・レントゲンの写真
  • 入院や手術で必要な物品の説明、その他必要な書類の説明があります。
  • 入院センターで入院の手続き
    個室か大部屋の希望を伺い、入院のしおり、必要な書類をお渡しします。

せぼねの手術のこと

手術前に

持病や内服薬の確認をさせて頂き、入院前検査(採血・採尿/心電図/胸部レントゲン)を行います。手術や麻酔に対するリスクを評価するために、必要な検査を追加し、他科医師へ相談を要する場合もあります。
治療中の虫歯、皮膚に潰瘍などがある場合は、術後感染予防の観点から医師又は看護師にお伝え下さい。

入院日

原則手術の前日となります。
ただし、病院の診療日(営業日)換算となりますので、月曜日手術の場合には前の週の金曜日(または営業土曜日)の入院となります。担当医にご確認ください。

入院期間

  • 除圧術:術後5-7日で退院となりますが、手術前の状況に応じてリハビリに時間をかけることもあります。
  • 固定術:術後7-14日で退院となりますが、手術前の状況に応じてリハビリに時間をかけることもあります。
  • その他、術式や病態によって異なります。主治医にご確認ください。

手術

麻酔科の専門医が、麻酔と全身管理を行います。手術は原則全身麻酔になります。手術時間は患者さんの病態により手術の内容が異なりますが、多くの場合は、通常1~2時間程度です。麻酔の時間などを含めると、全体の手術時間としては3~4時間ほどかかります。

リハビリ

手術後翌日より開始します。症状にもよりますが、初めは平行棒や歩行器を使った歩行訓練を行い、体力に応じて筋力強化訓練、日常生活動作の訓練を行い退院に備えます。理学療法士・作業療法士が、専門プログラムに基づいてリハビリを退院までご指導致します。最も効率的な筋力回復、日常生活への復帰を支援します。状況により、長期のリハビリが必要な場合には、地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟などに移り、リハビリをすることも検討します。

リハビリ風景の写真

入院費用

入院費用が高額になる場合、ご加入の健康保険組合等に事前に限度額適用認定証の交付申請を行い、認定証をご提示いただくことで、窓口負担が月単位で一定の額(自己負担限度額)にとどめられます。
詳しくは入院センターでご確認ください。

退院後に注意すること

定期的に熱や手術創部をチェックしてください

手術創部が落ち着くまでは、通常1週間程度かかります。退院時に問題がないことを確認しますが、退院後も定期的な手術創部の確認が重要です。退院後2~4週間の時点を目標に外来の予約を入れます。退院後に手術創部が腫れたり、染み出しがあったりした時には、診察日を待たずに必ず病院にご連絡ください。

コルセットがある場合は、しっかり着用してください

手術創部が落ち着いても、せぼね周囲の筋肉の回復には時間がかかります。椎間板ヘルニアの場合には手術後早期には再発のリスクもあり、症状が改善したとしても、無理をしすぎないために、コルセットの着用が重要になります。着用期間の目安は、原因の疾患や手術の方法によっても異なりますので、医師の指示をご確認ください。

入浴について

手術創部が落ち着いている場合には、積極的に立位でシャワー浴を行い、創部周囲を清潔に保つことが望ましいです。立位でバランスが保持しにくい場合には、座面の高いシャワーチェアをご利用ください。腰の手術後の場合には、湯船に入ることは深い中腰を矯正されるため、コルセット着用期間中は控えていただくことをお勧めしています。

スポーツなど

退院後は、痛みに応じて日常生活の範囲では大きな制限はありません。特に退院直後で体を動かしたい場合には、ウォーキングをお勧めしています。ジョギング、エアロバイク、水泳、ゴルフなどの運動については、術後3ヵ月を目安に再開を検討いただいています。より高度なスポーツを希望される場合は、担当医師にご相談下さい。

自転車、自動車の運転

退院直後は手術創部の痛みなどの影響で、至適な安全確認などに影響を及ぼす可能性があるため、公共の交通機関の利用を優先してください。自宅生活などに問題がなくなれば、通常は運転なども問題なく可能になることがほとんどですが、まずは、安全な状況で練習されてから公道に出られることをおすすめします。座る姿勢が長時間続くと、腰痛の悪化につながることがあり、適宜休憩をはさんでストレッチなどを行い、姿勢を変化させることも重要です。

疑問にお答えします

手術の何日前から入院が必要になりますか?

手術までに麻酔科、リハビリテーション科の受診やオリエンテーションなどがあるため、原則手術日の1日前となります。月曜日手術の場合には前の週の金曜日など1営業日前に入院になります。

手術の時間はいつわかりますか?

入院時にお知らせが可能です。予約の時点では手術時間は仮押さえの時間です。入院後に再度確認して下さい。

入院中はどんな服装で過ごしますか?

手術当日は浴衣(もしくはレンタルの病衣)で過ごしていただきますが、その後は傷の消毒やリハビリを行うため、せなかまでまくり易く、動きやすいものをあわせてご用意下さい。

入院中の付き添いは必要ですか?

感染予防対策の一環として、入院中の付き添いはご遠慮いただいております。手術当日も同様です(状況により病院全体の方針で変化することが予想されます)。外来にて担当医より手術の詳しい説明がありますので、その際は付き添いの方がいらっしゃることが望ましいです。未成年の場合には保護者の付き添いが必ず必要です。

生理不順です。生理中でも大丈夫か心配です。

手術は行えます。ピル等の内服やホルモン注射を行っている場合は、術前に休薬が必要な場合がありますので、医師または看護師へご相談ください。

せぼねの手術に必要なもの

  • 手術直後に使用するもの(手術後にベッド上安静が必要な方)
    • 手術用病衣
    • T字帯またはフリーパンツ

    手術用病衣

    T字帯

  • ベッド上安静が必要な場合にあると便利なもの
    • ティッシュペーパー(ウェットティッシュ)
    • 曲がるストロー
  • リハビリ開始時に使用します(術後1日目より使用)

    リハビリ用の靴

    • リハビリ用の靴(簡単に着脱ができる物)
    • リハビリ用の衣類
      (動きやすいもので袖口が狭くない物)

※手術用病衣などは、レンタルサービスがご利用いただけます。
各種入院時に必要な物は、病棟1階の売店で販売しています。