リンパ浮腫

リンパの働きとは

人体のリンパ節のイメージ

体の中には動脈と静脈の他に「リンパ管」と呼ばれる管があります。
リンパ管には全身の皮膚のすぐ下に網目状に張り巡らせ、このリンパ管の中には「リンパ液」が流れています。リンパ液には不要な物質(たんぱく質や水分)を運搬する働きがあります。
リンパ管の中には所々に「リンパ節」があり、不要な物質が血液に入れないようにブロックする働きがあります。

リンパ浮腫とは

リンパ液の流れ・新しく発達したリンパ管のイメージ

乳がんの手術でリンパ節を切除したり、リンパ管の流れを障害することでリンパ液が流れにくくなります。その結果たんぱく質を含むリンパ液が皮下組織に一部たまります。たんぱく質は水分を引きつける性質があるため“むくみ”ます。この状態をリンパ浮腫といいます。

切除したリンパ節の範囲・数や手術の方法によって浮腫の発現や程度はそれぞれ異なります。同じような手術を受けてもむくみが出る方と出ない方がいます。また、同じ手術を受けても改善の程度は個人により大きな差があります。

リンパ浮腫の最初に出現しやすい部位

リンパ浮腫の最初に出現しやすい部位のイメージ

(手術した側の)脇の下(ブラジャーのライン)腕の内側

リンパ浮腫の見つけ方のポイント

1)静脈の見え方

リンパ浮腫を発症し皮膚の厚みが増すと血管が見えにくくなります。

2)皮膚の厚み

皮膚のしわがよりにくくなります。また皮膚を指でつまむと左右で厚さが違ったり、下着のゴムの後が残ったりします。

3)皮膚の乾燥

皮膚が乾燥しやすくなったり、毛深くなることがあります。

4)自覚症状

重い、だるい、つかれやすい、違和感などの症状があります。 手術した側の肩凝りが酷くなった、肩がはるといった症状が出ることもあります。

リンパ浮腫は、早期発見・早期治療により悪化させないための自己管理が大切です。その為当院では術後パンフレットを用い、リンパ浮腫についてや日常生活の注意点など一緒に勉強していきます。

これから治療を受けられる方へパンフレットのイメージ

リンパ浮腫の治療

複合的理学療法と呼ばれるものが最も基本的な治療です。
下記の4つの治療の組み合わせを毎日続けることにより、リンパ浮腫をコントロールしていきます。

リンパ浮腫の治療の内容(1スキンケア、2圧迫療法、3リンパドレナージ、4運動療法の複合的理学療法)のイメージ

1)スキンケア

毎日の清潔・保湿が基本です。乾燥や日焼けに注意してください。

2)バンテージ(多層包帯法)・スリーブによる圧迫療法

伸縮性のある包帯や着衣を患肢に装着し圧迫することでリンパの流れを促します。

右腕を圧迫しているイメージ
右足を圧迫しているイメージ

3)徒手的リンパドレナージ

リンパ液の流れに合わせて、マッサージを行います。

太腿をマッサージしているイメージ

4)圧迫療法下での運動療法

弾性包帯や弾性着衣を装着したままで動くことで、リンパ液の流れを促進させます。