薬物療法の種類

【ホルモン療法】・【分子標的薬(抗HER2)】・【化学療法(抗がん剤)】のイメージ

近年、乳がんは性質の異なるサブタイプに分類されることが遺伝子検査により判明してきました。これら3種類の薬物療法は乳がんのサブタイプによって、単独又は併用して行われます。
乳がんのサブタイプは、手術や針生検などによって得られた乳がん組織を使ってがん細胞に発現しているタンパク質を調べることでわかります。
タンパク質は主にホルモン受容体(エストロゲンレセプター:ER、プロゲステロンレセプター:PgR)、HER2(ハーツー)タンパク、核/組織グレードやがん細胞の増殖性の指標(Ki67)を調べます。

乳がんのサブタイプと薬物療法
(一般的な浸潤がんについて示しています)

乳がんのサブタイプと薬物療法のイメージ
サブタイプ/薬物療法 ホルモン療法 抗HER2療法 抗がん剤
ルミナルA-like乳がん    
ルミナルB-like(HER2陰性)乳がん   ±○
ルミナルB-like(HER2陽性)乳がん
HER2陽性乳がん  
トリプルネガティブ乳がん    
  • ルミナルA-like乳がんはホルモン療法が主体ですが、再発のリスクによっては抗がん剤を追加する場合もあります。
  • ルミナルB-like(HER2陰性)乳がんはホルモン療法が主体ですが、ホルモン療法の効果や再発リスク、全身状態によっては抗がん剤の追加を検討します。
  • ルミナルB-like(HER2陽性)乳がんはホルモン療法、抗HER2療法、抗がん剤のすべてが治療において選択肢となります。
  • HER2陽性乳がんは抗HER2療法と抗がん剤の組み合わせが治療の主体です。
  • トリプルネガティブ乳がんは抗がん剤が治療の主体です。

(以上 参考:インフォームドコンセントのための図説シリーズ 乳がん薬物療法 改訂版 医薬ジャーナル社、13th St.Gallen)