細胞診・組織診

細胞診とは…

細胞診(穿刺吸引細胞診)は、まず、乳房のしこりなどの病変部分に、採血で使うのと同じくらいの細い針を刺して、注射器で吸引することによって細胞を採取します。体への負担が比較的少ない検査です。検査は超音波でしこりの位置を確認しながら行います。検査時間はおおよそ15分です。取られた細胞はスライドガラスに吹き付けたのち、染色したプレパラートになります。顕微鏡で観察することによって、病変の推定診断をする方法です。

穿刺する針のイメージ

穿刺する針。大げさに見えますが針は採血針と同じくらいの太さです。

針から細胞を吹き出して、スライドガラスに吹き付けるイメージ

針から細胞を吹き出して、スライドガラスに吹き付けます。

作製されたプレパラートのイメージ

作製されたプレパラート

細胞検査士のイメージ

当院では6名の細胞検査士(うち、国際細胞検査士5名)と病気の診断を専門にしている病理医が診断しています。

正常あるいは良性:線維腺腫の細胞像のイメージ

正常あるいは良性:線維腺腫の細胞像

悪性:乳がんの細胞像のイメージ

悪性:乳がんの細胞像

細胞の顔つきを観察し、様々な所見を組み合わせて、良悪性の鑑別をします。通常、「正常あるいは良性」、「鑑別困難」、「悪性疑い」、「悪性」の4つの段階に評価しています。また、細胞の顔つきによって、がんなどの病変のタイプ分けもしています。
「悪性」と診断された場合でも細胞診はあくまでも推定病変ですので100%確実なものではありません。最終的な確定診断をするためには病理組織診が必要になります。
一方、病変をこすって採取した細胞や乳頭からの分泌物も細胞診の対象になります。

針生検(core needle biopsy:CNB)とは…

CNB針生検はしこりなどの部分に太い針を刺して、病変部分を切り取ってくる方法です。前述の細胞診とは異なり、数個~数万個の細胞ではなく、乳腺のごく一部を採取することができます。手術などで摘出した標本に比べて乳腺組織の量は少ないのですが、同じ条件での観察ができるので、より確実な診断が可能です。しこりの位置を超音波で確認し、局所麻酔後に針を刺して乳腺組織を採取します。検査時間はおおよそ15~20分です。術前薬物療法をする場合には針生検標本での診断が最終診断となります。また、針生検標本でもバイオマーカー(ER、PgR、HER2、Ki-67)の検索を行うこともできます。

組織を採取する針のイメージ

組織を採取する針

採取された細い乳腺組織はホルマリンで固定されます。様々な過程を経て、約4µmの厚さにスライスされます。その後染色を施し、病理医が顕微鏡で観察し、診断します。

スライスと染色が施され、完成したプレパラートのイメージ

スライスと染色が施され、完成したプレパラート

顕微鏡で観察すると…のイメージ

顕微鏡で観察すると…

針生検では時に良悪性の判定ができないことがあります。
一つの理由として、がんであると思われる病変があるのですが、病変がほんの少ししか採取されなかった場合やつぶれてしまい、きれいな形で観察できない場合には、「がんの疑い」、「異型病変」というような曖昧な診断になる事もあります。このような場合には追加の検査が必要になります。
また、針生検は病変の一部(代表部分)を見ているので、針生検の診断と手術材料の診断が少し異なる場合があります。