中央線が好きだ

わたしの中央線が好きだ。│様々な分野で活躍し、地元に貢献されている中央線沿線の方々をご紹介していきます。

小金井市「江戸東京野菜プロジェクト」メンバー

2014.3.25

小金井を愛する人々が集う 昔懐かしい日本家屋のたち寄り処

昔ながらの味わいが評価され、ここ数年、注目を集めている江戸東京野菜。小金井でも古くから栽培がおこなわれてきた「のらぼう菜」やクセがなくサラダにも適している「しんとり菜」、細長い「亀戸大根」、約50cmもある大きな「伝統大蔵大根」など、個性的で独特の味わいが楽しめる野菜ばかり。都内各所で再び栽培されるようになってきていて、今回取材に訪れた小金井では、市や農業者、NPO団体、飲食店などが連携を取りつつ、地元の名産品として江戸東京野菜を盛り上げています。小金井市で江戸東京野菜を取り上げ るようになったきっかけは、2006年に東京都の支援を受けて始まった小金井市と三鷹市共同の『水湧く(みわく)プロジェクト構想』だったそうです。江戸東京野菜を活用したまちおこしを進めるために、2007年には市内の4軒の農家の方々に栽培に協力をしてもらい、江戸東京たてもの園内のイベントで、江戸東京野菜を使った料理をふるまうことが始まりました。このイベントは定例化されて、江戸東京野菜の認知度も高まりました。今では、江戸東京野菜を目当てに足を運ぶファンもいるほどです。
プロジェクトの初期から参加して、積極的に江戸東京野菜を広めてきた酒井文子さんにお話しを伺いました。酒井さんは、小金井市「江戸東京野菜プロジェクト」メンバーであり、NPO法人ミュゼダグリ理事、料理研究家、食育・野菜コーディネーターなど、多数の肩書を持って活躍をしています。
「私は長年、食育に携わる仕事をしていますが、30年以上住む地元の小金井で活動をしてみたいと考えていたときに江戸東京野菜と出会ったんです
酒井さんは、すぐに「江戸東京野菜プロジェクト」のメンバーに加わり、江戸東京野菜のPR活動に奔走することになりました。
「どんなことをすれば江戸東京野菜を知っていただけるのか、メンバーの皆さんと企画を出し合うところからやっています。フェアの前には、武蔵小金井駅の駅前でチラシ配りをすることもありますよ」
酒井先生は、春に行われる「春の黄金弁当フェア」や「秋の黄金丼フェア」などでレシピの考案などを行っています。また、最近は江戸東京野菜を使った料理教室も開催し、評判を呼んでいます。
「私の行っている講座では、生の江戸東京野菜を食べてもらうようにしています。のらぼう菜など葉物の野菜を生で食べる機会はないですから、皆さん、興味津々で召し上がっていますよ。江戸東京野菜を使った料理というと難しく考えがちですが、いつものお料理と同じように使ってみてくださいと言っています。独特の味や食感を持つものは、それを活かした調理方法を提案しています」
酒井さんのライフワークのひとつが食育です。食育とは、「食」を通じて経験や知識を取得する教育のことで、小金井市内外の小学校で江戸東京野菜に関するやゲストティーチャーや保護者向けの食育講座などを開いています。実際に味わいながら話を聞くので、野菜嫌いの子どももついつい引き込まれるようです。
「先日、こんなことがありました。ゴーヤの花の写真を見せて、子どもたちに『何の花だと思う?』と聞いてみたんです。子どもたちからは、いろいろな野菜の名前が出てきて一気に盛り上がりました。でも次に『ゴーヤが好きな人?』とたずねると、少人数になるんですよ。多くの子は『苦いから好きじゃない』っていうんですね。今は、小学校などで夏のグリーンカーテンとしてゴーヤを育てているところが多くなりました。自分たちで黄色く完熟するまで育てて食べてみると、苦いと思っていたゴーヤも種の周りは甘いことがわかるんです。そこで『どうしてこうなるんだと思う?』と聞くと、子どもたちはいろいろと想像をして答えてくれます。『ゴーヤが黄色く目立つようになると、動物が食べてくれるでしょう。動物が食べた種は、遠くまで運ばれていきます。だから、本当は黄色くなってから食べてもらいたいんだよ。私たちが普段、青いまま食べているのは、ゴーヤにとっては早すぎるんだよ』と話すと、ほとんどの子が『へぇ』といって納得してくれます。私は野菜の話をしながら、子どもたちに『命のサイクル』に気がついてほしいと思って食育の授業をしています。江戸東京野菜が取れる時期ならば、それに絡めて食育の授業を行なっています。身近な場所で作られる野菜だと、さらに子どもたちの関心が高まるようです」

江戸東京野菜をまずは気軽に味わってみたいという方には、通年で江戸東京野菜のメニューを出している飲食店もおすすめです。数年前までは、フェア以外では江戸東京野菜を食べることができませんでしたが、酒井先生など多くの方々の尽力により認知度も高まって、小金井市内では数軒のお店で通年のメニューが誕生しています。そのうちの一軒が『江戸東京野菜料理 くりやぶね』です。商店街の真ん中にあるくりやぶねは、近所の方々にとって、もうひとつの台所のような存在のお店で、ゆっくりとランチを食べ、夕食のお惣菜を買うお客様でにぎわっています。初めて江戸東京野菜を食べる方には、『江戸東京野菜弁当』(850円)がおすすめ。その時期にとれる江戸東京野菜のお惣菜が入ったお弁当は、テイクアウトにして近隣を散策しながら食べるのにもぴったりです。
「江戸東京野菜に関わるようになって、早いものでもう8年ほどになります。以前は何も知らずにフェアや講座に訪れる方がほとんどでしたが、最近は『江戸東京野菜をもっと知りたい』と言って参加くださる方も増えてきました」
そういって、嬉しそうに笑う酒井先生の笑顔が印象的でした。少しずつ人気が高まり、身近な存在となってきた小金井の江戸東京野菜。地域を愛する人々が、地元の特産品として大切に育てていることが伝わってきました。

2014年3月現在

DATA

江戸東京野菜料理 くりやぶね
東京都小金井市本町1-12-6
JR中央線「武蔵小金井駅」から徒歩約5分
TEL:042-388-3027
営業時間:平日10:00~17:00
休日:土曜、日曜、祝日