2020年に開業した高輪ゲートウェイ駅。和をモチーフとしたモダンな駅舎が話題になりましたが、駅前はまだ開発途中で、開業以来訪れる機会がなかったという方が多いのかも。
駅周辺の見どころといえば泉岳寺が知られているようですが、地図をよーく見てみると、くねくねと曲がった道や史跡などが多いことがわかります。
これは、歴史さんぽが楽しめそうな予感!
お隣の品川駅までは最短で徒歩11分ほど。まっすぐ進まず、寄り道しながらおさんぽしてきました。
高輪ゲートウェイ駅
国際交流拠点の新しいゲートウェイ
高輪ゲートウェイ駅といえば、隈研吾氏が手掛けたことで知られるモダンな駅舎が話題になりました。折り紙をモチーフとした大屋根とガラス張りの壁面。明るく開放感のある駅舎です。
2階コンコースにあるベンチはトレインビュー特等席!駅の東側に隣接するJR東日本の車両基地「旧田町車両センター跡地」を見渡すことができます。
非接触型ディスプレイ案内AIやAI無人決済コンビニ「TOUCH TO GO」など、先端技術の導入も各所で見られます。
JR高輪ゲートウェイ駅
東京都港区港南2-1-220
桂坂・洞坂
東京屈指の名坂の宝庫
駅前の大通りから一本入ると、閑静な高級住宅街が広がっています。高輪エリアは高台にあり、坂道が多いのが特徴。ここではぜひ地図を見ながら、くねくね曲がりくねった道や坂道を探しながら歩いてみましょう。
そうして見つけたのが「桂坂」。この坂は東京屈指の名坂と言われ、両脇の高い石垣に沿って邸宅が林立しています。
【桂坂】“江戸時代以前、蔦葛(つたかずら・桂は当て字)がはびこっていたため、坂名の由来となったといわれる。また、かつらをかぶった僧が品川からの帰途急死したからともいう。”
「桂坂」の中腹から一本脇道へ入ると「洞坂(ほらざか)」があります。赤く滑り止め舗装された細い路地が、上がって下がって角を曲がったらさらに下がって……なかなかの急勾配。坂好きにはたまらない情感があります。
【洞坂】
法螺坂 ・ 鯔坂とも書く。 このへんの字(あざ)を洞村(ほらむら)と言った。 異称も多く、 文献は位置を東禅寺南方とする。
桂坂
東京都港区高輪2-12と3-19の間
JR高輪ゲートウェイ駅から徒歩5分
洞坂
東京都港区高輪3-16と3-19の間
JR高輪ゲートウェイ駅から徒歩9分
東禪寺
最初のイギリス公使宿館跡
東禪寺(東禅寺)は高輪の住宅街の中にひっそりと佇む臨済宗妙心寺派のお寺です。
山門のすぐそばに「最初のイギリス公使宿館跡」と書かれた柱が立っていますが、これは幕末の黎明期に英国公使宿館として使用されたということ。このため、2度攘夷派浪士に襲撃されましたが、奥書院と大玄関は当時のままなのだそう。
山門をくぐると、緑に包まれるような参道と境内に通じています。境内には本堂、庫裡、大玄関、書院、三重塔があり、優しい木漏れ日と小鳥のさえずりに癒されながらお参りができますよ。
東禪寺
東京都港区高輪3-16-16
JR高輪ゲートウェイ駅から徒歩9分
URL:https://takanawa-tozenji.com/
石榴坂・さくら坂
品川駅を見下ろす高台の坂道
ひと駅さんぽもそろそろ終盤。品川駅が近づいてきましたが、この周辺にも坂道が多くありました。
駅から第一京浜を渡ってすぐのところにある緩やかな坂が「石榴坂(ざくろざか)」。道沿いにはレストランが多く、グルメも楽しめそう。
道標にはこうあります。
【石榴坂】
“坂名の起源は伝わっていない。ざくろの木があったためか。江戸時代はカギ形に曲り、明治時代に直通して新坂と呼んだ。”
「さくら坂」は品川の高台にある有名ホテルへつながる坂道。こちらには道標が見当たりませんでしたが、その名の通り、春には桜が咲くようです。
坂上までのぼっていくと緑も多くなり、すぐそこに品川駅があるとは思えないほど閑静なエリア。現在グランドプリンスホテル高輪の貴賓館となっている旧竹田宮邸など、歴史的な建築物も見られます。
品川駅付近には、この他にもいくつか坂道があるのでぜひ周ってみて!
石榴坂
港区高輪4-10あたり
JR品川駅から徒歩2分
さくら坂
港区高輪3-23あたり
JR品川駅から徒歩3分
高輪大木戸跡
高輪は江戸のゲートウェイだった
品川駅に到着しましたが、道中ずっと気になっていたことがあって、高輪ゲートウェイ駅に戻ってきました。
高輪ゲートウェイ駅のガラス壁から見た、たくさんの線路。地図で見ても、他の駅とは比べものにならないほど広い幅を取っています。が、駅の出口は一か所だけ。だとすると、あの線路の向こう側へ行くにはどうしたら……?
不思議に思いながら駅周辺を探索しているときに見つけたのが「高輪大木戸跡」。1710年に東海道から江戸府内の入口として設けられた大木戸門の跡です。
このあたりは江戸時代から玄関口として賑わっていたのですね。
高輪大木戸跡
東京都港区高輪2-19
JR高輪ゲートウェイ駅から徒歩7分
高輪橋架道橋
東京一天井が低いトンネル
「高輪大木戸跡」のすぐ裏に「おばけトンネル」という妙な道案内を見つけました。その案内の方向に学生さん達、お買い物途中のお母さん、犬の散歩をしている人の姿が吸い込まれていきます。後に続いて歩いて行くと、その先にあったのが「高輪橋架道橋」。なんと、線路を越えた向こう側へとつながる長いトンネルなのでした。
入るには少し勇気が要りました。と言うのも、トンネルの天井があまりにも低く、頭がぶつかりそうです!(トンネルの高さは170cmだそうです)
このトンネルは通称「おばけトンネル」「首曲がりのトンネル」などと呼ばれ、以前は車両も通れましたが現在は徒歩でしか入ることができません。全長は230メートルもあるそうです。

高輪橋架道橋
東京都港区高輪2-22あたり
JR高輪ゲートウェイ駅から徒歩6分