東北、意外と近い編
新幹線とローカル線だけで、
こんなに回れる
「東北って何となく遠そう」——そんな思い込みで旅先の候補から外していませんか?実は東京駅から福島駅まで新幹線で最速1時間18分、仙台駅まで最速1時間30分、盛岡駅でも最速2時間10分、新青森駅でも最速2時間58分。金曜の夜に新幹線に乗れば、その日のうちに東北の宿に入れる近さです。
しかも到着後も、在来線やローカルバスで十分周れるので車の免許は不要。「長期休暇がないと無理」と思っていた東北も、意外と週末旅の射程内。
この記事では、そんな東北旅のアクセス情報と旅の中身を、福島・宮城・青森を実際に周った3人のライターがレポートしていきます!
※大雨の影響でJR磐越西線の猪苗代~会津若松間は8月末まで運転を取り止め、代行バスを運行しています。
最新の運行情報はJR東日本ホームページでご確認ください。
特集1【宮城・仙台】思い立ったら行ける距離
仙台駅拠点で完結する
コンパクトな旅
東京から新幹線で最速1時間30分とかなり近い仙台。駅周辺に見どころやグルメがぎゅっと集まっているから、週末に気軽に行きやすい!
例えば、金曜日に仕事を終えて新幹線に乗り、夜は名物の牛たん、翌朝は市場で新鮮な朝ごはんを楽しむ――そんな気合いも準備もいらない、楽ちん旅が叶います。
仙台駅周辺を
散策するだけで旅になる
なぜ宮城県は、仙台を起点にこんなにも旅がしやすいのか。その理由のひとつが、仙台が伊達政宗によって築かれた城下町として、昔から東北の中心地として発展してきた歴史にあります。人や物が集まる場所だったからこそ、時代とともに交通網も整備され、今では宮城県内のさまざまな場所へ気軽に足を延ばせる街になりました。
仙台駅は、迷いにくくてコンパクト。エキナカや周辺、商店街にはずんだの名店も、牛たんの名店も、お土産屋さんも、気になるスポットが徒歩圏内にぎゅっと集まっています。短い時間でも気軽に回れるので、「次の目的地へ向かう前に、おいしいものを食べたい」というときにもぴったり。限られた時間でも、駅周辺で旅気分をしっかり満喫できます。
駅徒歩5分ほどで行ける
「仙台朝市」
驚いたのが、仙台駅から「仙台朝市」まで徒歩で5分ほどという近さ。駅前とは思えないほど、新鮮な海産物や地元の食材が並ぶ市場が広がっています。
地元の方に聞いてみると、仕事の合間にふらっと立ち寄って牡蠣を味わったり、仕事前におにぎりを買ったりすることもあるそうです。観光客だけでなく、地元の人にも愛され続ける仙台朝市。こんな場所が駅のすぐ近くにあるなんて、仙台の人がうらやましくなりました。ちなみに、こちらは日曜・祝日はお休みの店が多いのでご注意。朝市へ行くなら土曜の朝が確実です!
海の絶景を楽しみに
「松島海岸」へ
仙台駅から「松島海岸駅」へJR仙石線なら乗り換えなしで約40分。お目当ては、日本三景のひとつに数えられる松島の絶景。列車を降りると、すぐに磯の香りと潮風が迎えてくれます。
赤く美しい観光名所「福浦橋」へ駅から徒歩15分程度で向かう道には、海の幸を味わえるお店やスイーツ店が並び、食べ歩きを楽しむ人たちで賑わっています。
1日8便・約50分の遊覧船に乗れば、大小さまざまな島々も間近に見ることができます。長い年月をかけて自然がつくり出した美しい景色は、陸から眺めるのとはまた違った感動がありました。
鳴子温泉で
湯の街を散策
名湯・鳴子温泉へは、仙台駅から1時間ちょっと。東北新幹線で古川駅まで向かい、JR陸羽東線に乗り換えて鳴子温泉駅へ。車窓の景色を楽しんでいるうちに、湯けむりが漂う温泉街へ到着!
鳴子温泉郷は、日本にある11種類の泉質のうち8種類(ほとんど楽しめる!)がひとつのエリアに集まっている、全国でも珍しい温泉地。駅周辺に旅館や温泉施設、お土産屋さん、昔ながらのスナックなどを徒歩で巡れるのも魅力。浴衣に着替えて温泉街を歩きながら、どこか懐かしいレトロな街並みと湯めぐりを楽しんでみませんか?
ちなみに、鳴子温泉を通る列車は1日14本の運行なので、帰りの時刻を先に見ておくのがおすすめです(ライター・合志亜希子)
特集2【福島・会津】あっという間に東北の玄関
ローカル線やバスで
移動を楽しむ旅

東北のなかで東京からいちばん手前にあるのが福島。東北新幹線で郡山まで向かい、そこでJR磐越西線に乗り換えれば、ローカル線の起点になっている会津若松までは一本。乗り継ぎを入れても、東京から3時間ほどで着いてしまいます。そこから先は、ローカル線やレトロなバスで巡ることができ、レンタカー無しでも十分楽しめるのが福島・会津を旅する魅力。
また、会津は少し遠くても会ってみたくなる人のいる街。移動を楽しむだけでなく、そこで暮らす人に出会う旅が、会津にはあります。
乗ることが旅になる
「JR只見線」を利用する
「世界で最もロマンチックな鉄道」と言われているほど、美しい景色が楽しめるローカル線。この「只見線」に乗ること自体を目的とした旅プランがおすすめです。只見川に沿って走るので、鉄橋を渡る絶景シーンは車内からそのまま見られます。
もし時間を作り、腰を据えて絶景を味わいたい方は「会津宮下駅」で降りて、会津宮下駅から徒歩すぐの三島町観光交流館「からんころん」へ。ここでレンタサイクルを借りて、絶景スポットを探したり、少し走ったところにある道の駅に立ち寄っても!
バスで「大内宿」の
歴史を感じに行く
会津鉄道で「湯野上温泉駅」へ向かい、そこからレトロバス「猿游号」に乗り換えて向かった先には、茅葺き屋根の宿場町があります。幽玄の歴史を感じるここ「大内宿」は、昔ながらの景色が保護され、美しく現存していて、他のエリアにはない体験ができます。
SNSでも話題のねぎが刺さった「ねぎそば」もぜひ食べてみてほしいです。ねぎをお箸代わりにすることは、蕎麦屋「三澤屋」の初代店主の遊び心からはじまったものだそう。すくう難しさを味わうのも旅の非日常体験のひとつ。
「朝ラー」からの
蔵の街歩き
磐越西線で会津若松駅から20分ほどでたどり着く、喜多方エリアもおすすめ。蔵の並ぶ街並み探索や、朝にラーメンを食べる不思議な文化「朝ラー」を楽しめます。お腹を満たした後は、商業で栄えた歴史を感じる街並みの散策を。
旅の疲れを癒やしに、
東山温泉へ
バス「ハイカラさん」に乗車して会津若松駅から約30分で行ける、市街地から近い温泉地。古き良き旅館が立ち並んでいて、ここで1泊過ごすのも、無料の足湯や日帰り入浴などで湯の街を散歩するのに立ち寄ることも可能です(ライター・葵月みず)。
特集3【青森・八戸】意外と1泊で計画可能
地方ならではの温かさを味わう旅
東京から東北新幹線「はやぶさ」で最速2時間44分。青森県と聞くだけで遠いと感じてしまいがちですが、実は八戸までなら1泊のプチ観光だって十分視野に入る距離なんです。
朝早く新幹線に乗り込み、ふと気づけばもう八戸。「え、もう着いた…?」と思わず驚いてしまうくらい想像より近かったんです。新幹線を降りたら、あとは八戸線に乗り換えるだけ。天然芝が広がる絶景の海岸も、港町の朝市も、レトロな横丁も、ここでしか味わえない旅の体験が待っています。
“旅の始まり”になる
「本八戸駅」
新幹線を降りてJR八戸線に乗り換え、2駅8分で「本八戸駅」に到着です。八戸市の中心市街地に位置し、グルメや観光スポットへのアクセスも良好な、八戸観光の拠点となる駅。ここからが、八戸旅の始まりです。
駅を出ると、地元の人が行き交う穏やかな街並みが広がり、観光地とはひと味違う八戸エリアの日常を感じられます。「今日はどこへ行こう?」と考えながら歩くだけでも、旅のワクワク感がアップ。本八戸駅を拠点にすれば、市内各地へ無理なく足を延ばせるのも魅力。
潮風を感じる絶景
「種差海岸」でお散歩
本八戸駅からさらに6駅、2両編成の車両に揺られて着いたのが小さな無人駅「種差海岸駅」。芝生の上をのんびり歩いたり、海を眺めながら腰を下ろしたり。季節によってはキャンプを楽しむ人や愛犬と散策する人の姿も見られ、それぞれが思い思いの時間を過ごしています。私も波の音に耳を傾けながら、ただ景色を眺めているだけで十分幸せを感じられました。
種差海岸駅から徒歩圏内には、宿泊・レストラン・ショップが揃うおしゃれな複合施設「michill TANESASHI(ミチルたねさし)」があります。地元食材を使った料理で、ランチ・ディナーともにゆったりとした時間を過ごせます。私がいただいたのは、青森県産りんごを使ったアップルパイ。散策の合間にほっとひと息つけるおいしさでした!
「八戸市魚菜小売市場」で
朝から丼!
八戸線で本八戸駅から2駅先の「陸奥湊駅」から徒歩約1分。「八戸市魚菜小売市場」を歩いていると、「魚売りのお母さん」を意味する「イサバのカッチャ」たちの元気な方言があちこちから聞こえてきます。
場内の「朝めし処魚菜」で、ご飯と味噌汁を注文。あとは市場を歩きながら、イサバのカッチャたちと「いま旬の魚ってなんだろう?」など会話を楽しみながら、その日食べたいお刺身やおかずを選んで、自分だけの定食や海鮮丼を完成させます。このスタイルは、青森を代表する郷土グルメ「のっけ丼」として親しまれていて、気づけば器からこぼれそうなほど贅沢な一杯になっていました。自分で選んだからこそ、おいしさは格別!
徒歩すぐの
「長横町れんさ街」を歩く
日が暮れたら、本八戸駅から徒歩約15分の「長横町れんさ街」へお出かけ。細い路地には個性豊かな小さなお店が軒を連ねる飲み屋街で、本八戸駅の主要エリアに位置しています。
そんな横丁歩きの締めに立ち寄りたいのが、創業69年を迎える「洋酒喫茶プリンス」。柄シャツがトレードマークの名物マスターをはじめ、お店を運営されているご家族がとても気さく。
オリジナルカクテル氷都八戸(スケーター)が人気で、1杯500円の内100円が青森県スケート連盟に寄付されるという、八戸らしい温かな取り組みも印象的。気づけば、お酒を飲みに来たはずが、マスターと街や祭りの話で盛り上がっていました。「洋酒喫茶プリンス」は、お酒を楽しむだけでなく、八戸という街をもっと好きになれるバーです(ライター・五勝出ひかる)。
まとめ想像より近く速く、
東北の良さを味わえる
ここまでご紹介してきた通り、東京駅から福島駅まで最速1時間18分、仙台駅まで最速1時間30分。降りてからも、只見線や仙石線、八戸線などのローカル線が、有名スポットまで連れていってくれました。
「長期休みがないと合わなさそう」も「車がないと周るのが無理そう」も、経路案内を調べてみると意外と難しくないことが分かります。むしろ、新幹線を降りた後もローカル線を辿っていく行程自体が、東北旅の一番の魅力かもしれませんね。
意外と、東北って近い! 最初の旅では、どこ行きの新幹線から乗りますか?
着いてからの一日を、どんな順番で回ると気持ちいいか。続きは各県のモデルコース記事でどうぞ。
WRITER

- 合志亜希子[ライター]
静岡県生まれ、東京育ち。幼い頃から海外の文化や国際交流に興味を持ち、カメラを片手に旅をするように。カナダ留学、ニュージーランド移住を経て、日本の食や文化の豊かさを再認識。現在は全国各地を旅しながら、土地の風景や旅先での出会いを文章と写真で伝えている。近年は日本の離島巡りに夢中。フォトグラファー/字幕翻訳者としても活動。

- 菱月みず[ライター]
神奈川県生まれ。旅や地域をテーマに執筆するライター。地域に息づく文化や暮らし、人々の想いに関心を持ち、現地での取材をもとに記事を制作している。一つひとつの土地が持つ物語を丁寧にすくい上げ、読者へ届けることを大切にしている。

- 五勝出 ひかる[ライター]
旅先で出会った風景や人の想いを、文章と写真で届けるトラベルクリエイター。旅行会社勤務やマルタへの語学留学を経て、現在は全国各地の観光地を取材・発信。その土地ならではの魅力や背景を伝えるとともに、レスポンシブルツーリズムの普及にも取り組んでいる。
