いい汗かいたら、海辺のホテルでリラックス

館山は房総半島南端の陽光きらめく海辺のリゾート。
海水浴やサーフィン、魚介グルメと、ここでできる体験はさまざまありますが、今回体験したのはホーストレッキングと海辺のホテルで過ごすリラックスタイム。館山の新たな魅力を探る旅をご紹介します。
房総半島の南部に位置する館山は、潮風の吹く海辺のリゾート。白とオレンジ色を基調とした館山駅の駅舎は南欧の風情を漂わせ、駅前のロータリーにすっくと立つヤシの木もまた、ヴァカンス気分を盛り上げます。ここからホーストレッキングパーク館山は、送迎車に乗って20分程の距離です。

ホーストレッキングパーク館山は、季節の花々が咲き乱れる「房総フラワーライン」の中でも白砂青松で知られる平砂浦(へいさうら)海岸の起点となる藤原地区にあります。乗馬と言えば、敷居が高いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ホーストレッキングパーク館山は、1回乗り切りタイプの非会員制施設だから、入会金や年会費は不要。乗馬初めての方から上級者まで、美しい海岸線を眺めながらゆったり乗馬体験ができるんです!。


この日は、120分の上級者コースのお客様に同行させていただきました。まずはクラブハウスで受付を済ませ、案内動画を見て、インストラクターの方から乗馬の注意事項を聞いてから、必要な装備を身につけます。服装はジーパンやスニーカーなどの動きやすく汚れてもよい服装ならなんでもOK。ふくらはぎにチャップスというすね当てを巻くため、パンツはくるぶしまであるものがおすすめです。詳しくは、ホーストレッキングパークのホームページへどうぞ。予約はWebやLINEがおトクです。


5頭いる馬たちはすべて中間種と呼ばれる比較的性格が穏やかな5歳前後の乗用馬。インストラクターのお話によると、馬の視界は、350°にも及び、周囲のものを敏感に察知する分、唯一見えない真後ろに回ると、本能が働いて蹴られてしまうこともあるそう。こちらではよく調教されているため、滅多なことでは暴れたりしないそうですが、馬の習性は理解しておくのが肝心です。


馬と触れ合うコツは、まず鼻先で手の匂いをかがせてからなでること。「臆病な性格なので、決して馬の目線より手を上げないでくださいね」とのアドバイスのもと、手の甲を鼻先に近づけてみると、馬はフンフンとこちらの手の匂いをしきりに嗅いで確かめています。そのまま手をスライドさせると、頬をなでさせてくれました。毛並みはビロードのようになめらか。馬の体温が伝わって来て、一気に愛着が湧きます。
馬との挨拶もすんだところで、いよいよ馬に乗ります。踏み台に上がり、自転車に乗る時のように、左側から乗ります。またがると、視線の高さが2m以上になり、視界がぐっと開ける感じ。鞍越しに馬の鼓動が伝わってくるのは不思議な感覚です。


発進の合図は足で馬のお腹をやさしく圧迫すること。この日は、上級者コースのため、インストラクターも馬に乗り、先導役と後方役、さらにもう一人スクーターで補助のスタッフがついての出発です。ちなみに初心者コースでは、インストラクターがリードを持って乗り方を教えてくれるので、初めてでも安心して馬に乗れます。

一行は隊列を組んでまずはフラワーラインをゆっくりとした常歩(なみあし)で進みます。馬の足取りに合わせて常に上半身は揺れますが、下半身は鞍と鐙で固定されているためそれほど不安な感じはありません。さらに言えば、腰周りがよく動くため、体幹を鍛えるにもよさそう。かつて一世を風靡した乗馬エクササイズマシーンがありましたが、本物の乗馬がもたらす健康効果や気持ちよさはそれ以上だとも。


さらに小川の脇を通り抜け、両側に草木の生い茂る小径へ。常歩で進むこれらの区間は、まさに「馬散歩」。蹄が路面にあたるカポッカポッというリズミカルな響きが、なんとも言えずのどかな気分を誘います。



住宅街を通り抜け、再びフラワーラインへ。海岸へと続く小径の入口には先回りしたスタッフが待機し、誘導してくれます。車の入らない砂丘の浜辺は、海風で砂が煽られて形が刻々と変化するため、人の足では思うように歩けません。しかし、そんな変化に富んだ地形でも馬の脚なら楽々と進めるのが、乗馬の醍醐味でも。潮風を浴びながら、しばしワイルドな風景を楽しみます。



この日は、海岸線沿いの直線コースを少し駆足で。常歩で馬とのコミュニケーションもしっかりとれているため、ここは思いっきり駆け抜ける爽快感を味わいたいところ。波打ち際をジャブジャブと駆け抜ける爽快感は、他では得られない体験です。


折り返し地点の浜辺では、馬から下りて馬とのお散歩を楽しみます。スタッフの方が用意してくれたお茶を飲みながら、乗っているとわからない馬の表情を見たり、きれいな瞳に感動したり、温かい体に触れたり。館山での乗馬の魅力についてお客様に尋ねると、こんな答えが。「馬に乗ると、なぜか気力が湧いてくるんです。だから、仕事に疲れると、ここに乗りに来ます」。ひとりで気ままに馬に乗りにくるなんて何だか格好いい!



美しくも雄大な太平洋に抱かれたホーストレッキング。この日は空に霞がかかって見えませんでしたが、空気の澄んだ日は海の向こうに大島や富士山が見えるのだとか。もし、乗馬を体験するなら、海という特別な舞台を自分へのご褒美として用意してもよいのかもしれません。
ホーストレッキングパーク館山では、春先にはカフェで日替わりケーキを楽しめる海岸乗馬&カフェプランや、夏には館山名物の夕陽の時間に合わせた「サンセットライド」など、好みに応じたプランもたくさん。ぜひ、ホームページをチェックしてみてください。
海で乗馬を楽しんだあとは、ゆっくり身体を休めましょう。館山の人気スポットである沖ノ島公園にもほど近いファミリーオ館山は、JR 東日本ホテルズが運営する2階建てのリゾートホテルです。ホテルに連絡すれば、9:00~17:00の間で館山駅まで送迎車が迎えに来てくれます。

館内は、館山の空のように明るいパステルカラーを基調としたモダンなインテリア。すくすくと屋根を越すほどの高さに育った中庭のヤシの木が、ここに降り注ぐ太陽の豊かさを証明しています。アクティビティも充実しており、カヤックや本格的なスポーツバイクを貸出ししているほか、テニスコートやビーチバレーのサンドコート、ヨガスタジオなども完備しているので、2泊、3泊と連泊していかれるお客様も多いのだとか。




この日は、グリーンがアクセントのスタイリッシュなコンセプトルームに宿泊。靴を脱いでくつろげる広々とした室内は、ゆったりとした応接スペースのほか、マットレスベッドを配したフローリングの小上がりがあり、家で過ごすようにのびのびとくつろぐことができます。
窓の外にはプライベートデッキがついており、部屋から芝生のテラスに降りることも可能。窓を開け放し、海風を感じながら、しばし開放感に浸ります。

夕食までまだ時間があるため、周辺を散策してみることにしました。部屋のデッキから芝生に降り、裏門から外で出ると、小さな入り江がありました。ホテルの方に聞くと、ここは地元の人しか来ない砂浜で夏でも空いているため、水遊びに最適の穴場なのだそう。ここは早朝の散歩にもよさそうですね。


お待ちかねの夕食は、17:30から1階のイタリアンレストランBuono!へ。
気取らないカジュアルな内装が、肩の力を抜いて料理と向き合える居心地の良さを作り出しています。当然ながら、料理は房総産の素材を生かしたメニュ―構成。2つあるコースの中から、金目鯛のアクアパッツァをメインにした海の恵みコースを堪能しました。ちなみに、イタリアンが苦手な人は、和食のコースもあるため、どうぞご安心を。



部屋に戻り、食後のお茶を楽しもうと、備え付けの棚を開けると、そこにJR東日本の新幹線で読める「トランヴェール」を発見。読み物にもありつけて、最後まで楽しめた極上のヴァカンスとなりました。


