6チームの注目選手や共通点を持つ選手・スタッフが、競技の枠を越えて様々なテーマでトークを行う、『京葉線プラス』限定のスペシャル企画「KEIYO TEAM6 クロストーク」。
第7回は6月29日(土)にフクダ電子アリーナで開催されたジェフ千葉×町田ゼルビアの試合に、千葉ジェッツから原修太選手・藤永佳昭選手の両名が訪れ、ジェフ千葉の田坂祐介選手と試合観戦をしながらフリートーク。フクアリ訪問の様子、そして、なかなかない“他競技選手との交流”を楽しむ選手たちの様子をお届けします。
──過去にスタジアムでサッカーを観戦したことはありますか?
原:フクダ電子アリーナ(以下フクアリ)はもちろん、サッカーを生で観戦するのははじめてです。サッカーとの関わりといえば、ゲームのウイニングイレブンを楽しむ程度です。
藤永:神戸出身なので、小さいころにヴィッセル神戸の試合を観戦したことがあります。それ以来のサッカー観戦で、フクアリに来たのはもちろんはじめてです。
原:ボクは千葉出身なので、千葉銀行さんに馴染みがあります。たしか、ずっとジェフさんのスポンサーをしていますよね。店舗に行くと選手やマスコットの写真があったので、小さいころに千葉銀行さんを通じて『ジェフ』というチームがあることを知りました。
──KEIYO TEAM6の取り組みについて、どのような感想をお持ちですか?
原:京葉線沿線だけで6チームもトップスポーツチームがあるというのは特別な地域だと思います。今日はジェフとジェッツですが、6チームでなにかイベントができたらいいですね。それぞれのシーズンがあるのでなかなか難しいですが、選手同士が交流する場があってもいいのかなと思います。
藤永:そうですね。ジェッツだと富樫(勇樹)さんがロッテの清田(育宏)選手と仲がいいですね。ボクも内(竜也)選手と食事に行くことがあります。もっといろんな競技の選手と交流して、トレーニング方法、試合を迎えるマインドなどを聞いてみたいです。
原:TEAM6のラッピング電車が走ったときに、ボクも掲載されました。あのときは、中学校、高校が一緒だった友だちからけっこう連絡が来ました。わざわざ写真を撮って報告してくれましたね。照れくさい反面、うれしかったです。
フクアリではまず、ピッチに登場してスタジアムDJの酒井道代さんから本日のゲストであることがジェフサポーターに伝えられました。もちろん、2人の来訪は事前に告知済み。そのため、スタンドにはジェッツブースターの姿も多数ありました。
その後、メインスタンドのコンコースにてサイン会を実施。ジェッツカラーのTシャツにジェフカラーのマフラーをかけた男性がいれば、赤字に黄色で「JEF UNITED」と「CHIBA JETS」のチーム名がデザインされた昨シーズンのBリーグ会場で配布されたコラボTシャツを着ている女性の姿も。ジェフとジェッツ。どちらも応援しているという大勢の方々が列を作りました。そんな彼らにも感想を聞いてみました。
「ジェフは臨海競技場(現ゼットエーオリプリスタジアム)で試合をやっている頃から応援しています。ロッテもよく観に行きます。ちょうどシーズンオフにジェッツの試合があるので、観に行くようになりました。いまでは、バスケットの応援が一番多いかもしれません(笑) どれも楽しみたいので、今日のようなコラボ企画はありがたいです。もっと他競技ともコラボしてほしいです」(40代・男性)
「もともとジェフサポーターで、友だちに誘われて去年はじめてジェッツの試合に行きました。盛り上がりがすごくて、感動してハマりました! その後、サッカーのオフシーズンに何度か観に行きました。私が今日着ているのは、ジェッツとジェフのコラボTシャツです。職場が千葉市内なのですが、わりとみんなスポーツの話はしています。もっと盛り上がるといいですね」(40代・女性)
「昨年ジェッツの試合に行ったら目標に向かってチームがひとつになって戦っていて、そこに感銘を受けました。千葉県在住で会社も千葉県なので、地元のチームを応援したい気持ちがあります。ロッテ、ジェフ、バルドラール、シーガルズ、ゼルバ、それぞれ魅力がありますよね。京葉チーム6の観戦ラリーがあって、すべての競技を見たらプレゼント! みたいな企画があったら一度会場に行ってみようと思うかもしれません。」(40代・男性)
サイン会を終えると、いよいよキックオフが間近に。けがのためリハビリ中の田坂祐介選手も合流し、いよいよ2人のはじめてのサッカー観戦がはじまりました。
田坂:はじめまして! サッカーを観るのははじめてですか?
原:そうなんです。よろしくお願いします!
藤永:応援の雰囲気がやっぱりすごいですね。子どもが大きな旗を振っていて、びっくりしました。
田坂:お二人がいつも試合をやっている会場は、何名ぐらいお客さんが入るのですか?
原:船橋アリーナ、千葉ポートアリーナともに5000~6000名ぐらいですね。数年後に新しいアリーナができる予定があり、1万ぐらい入るようになります。ジェッツはいつも満員のなかプレーさせてもらっていて、昨シーズンは最高勝率を残しました。だけど、チャンピオンシップの決勝で負けてしまいました。
藤永:チャンピオンシップの準々決勝、準決勝は2戦先勝方式だったんですが、いずれも連勝できました。決勝は1試合のみの開催で、そこだけ負けてしまったんです。
田坂:そうなんですね。野球の日本シリーズやNBAのファイナルのように、7戦やるわけにはいかないのですね。
藤永:いま、Jリーグは何チームあるのですか? 昇格、降格のシステムはどのようになっているのですか?
田坂:J1が18チームで、J2が22チーム。さらに、3部となるJ3が18チームです。入れ替え戦は少しややこしくて、J1の下位2チームとJ2の上位2チームが自動的に入れ替わります。J2の3位~6位が昇格プレーオフを戦って、勝ち上がったチームがJ1の16位と入れ替え戦を戦うシステムになっています。
原:そこら辺のややこしさはバスケットと一緒ですね(笑)
田坂:今日は双子の佐藤兄弟がはじめて一緒にリーグ戦に出場するんですよ。2人ともジェフのアカデミー出身で、弟・寿人選手のほうはいろいろなクラブでプレーして今年戻ってきたんです。37歳にしてはじめての兄弟揃ってのプレーです。
藤永:双子ですか! ボクたちすごいタイミングで来たんですね。
試合はキックオフから一進一退の攻防でしたが、14分にジェフがCKから失点し、1点をリードされてしまいました。
藤永:やられてしまいましたね……。
田坂:今シーズン、セットプレーでの失点はあまりなかったのですが……。対戦相手の町田は激しくプレッシャーをかけてくるので、先制されると難しい部分があります。彼らは粘り強く守れるチームなので、リスクをかけて(点を)取りにいかないといけなくなりました。
原:サッカーのフォーメーションはチームによって違うんですよね? 役割や動き方の決まりはどこまで決まっているのですか?
田坂:それぞれのポジションについて、立ち位置があると言えばいいのかな。今日はジェフが3-4-3で町田は4-4-2です。そうすると、どこかにスペースができるのでそこをうまく突く感じです。ボールをまわしながらギャップを探して攻撃する。バスケットは攻撃のカタチがあったりするのですか?
原:ボールを持っているポイントガードがセンターラインを越えたときに、サインを出す感じです。
藤永:ちなみに、サッカー選手は上半身をどの程度鍛えるのですか?
田坂:ポジションによって違いますね。DFは競り合いが多いので、けっこう鍛えています。運動量やスピードに影響が出てしまうといけないので、人によります。ボクはそこまでやっていないです。
藤永:バスケットは接触が多いので、逆にやらないといけないです。鍛えておかないと、接触プレーに耐えられないです。
原:サッカーはずっと動いていないといけないから、身体が重くなると大変そうですね。
田坂:逆サイドにボールがあるときはけっこう休めますよ(笑)。バスケットこそ休めないのでは? みんながボールをもらえるポジションに動かないといけないから。
藤永:そういう意味では、長友(佑都)選手の走行距離ってすごいですよね?
田坂:走る距離も多いし、スプリント回数も多い。同じチームにいたら本当に頼もしいです。いまのプレー、ご覧になりましたか?
原:スローインがありました。
田坂:そうです。細かい部分ですが、ボールを胸に向かって投げたから一度トラップして足元に落とさないといけませんでした。あれで、一歩遅れるんです。最初から足元に出していれば、ダイレクトでパスを出せたのですが……。スローインのときに、バスケットでは決まったカタチがあるのですか?
藤永:攻撃しているエンドでのスローインでは、パターンがいくつかあります。だいたいマークがついているので、スクリーンの動きでマークのミスマッチやポジションのズレを誘ってフリーの選手を作り出します。
田坂:スクリーンというのは?
原:相手の動きを封じるというか、ボールを受ける味方が動いたときに、マークしている相手がついて来られないように他の選手が立ちふさがってそのコースを消したりします。あえて身体をぶつけることもあります。
田坂:CKなどセットプレーのときにサッカーでもある動きですね。ただ、世界的にVAR(Video Assistant Referee)が導入されたことで、いまはゴール前での接触プレーが厳しくチェックされるようになりました。
原:こうして試合を観ていると、ゴールキーパーは大変だなと思います。一瞬の判断ミスが失点になるので怖いですね。
田坂:お二人はそれぞれ、ポジションはどこなのですか?
藤永:ポイントガードです。サッカーだとボランチというポジションに当てはまると思います。
原:ボクはシューティングガードというパワーフォワードより後ろから得点を狙うポジションです。
田坂:そうなんですね。ゴールキーパーに関しては、以前のジェフでは、攻撃的な戦術として、最終ラインの後ろのスペースをゴールキーパーがカバーするやり方を取っていた時期がありましたが、反面、ゴールキーパーが前方に飛び出す回数が増え、頭上を越されて失点するリスクもありました。バスケットはスペースを使うという考え方はあるのですか?
原:カウンターのときに走っている選手の前方にパスを出しますが、追い付ける範囲、手を伸ばした少し先を狙う程度です。ひとつ気になったのですが、サッカーのディフェンスはどこまで攻撃参加していいのですか?
田坂:決まりはないです。ただ、守備を考えたときに、必ず相手よりも1人多く残っていないといけない。チームとしてそこがカバーできれば、最終ラインの選手が攻撃参加してもOKです。
試合は0-1で進み、ジェフはなかなかチャンスを作れず苦戦していました。すると、その理由を田坂選手が説明してくれました。
田坂:いまボールが向こうのサイドにありますよね。同時に、町田の選手がすべて向こう側に寄っているのがわかりますか?
原&藤永:そうですね。
田坂:これもひとつの戦術なんです。逆サイドにジェフの選手がフリーでいても、そこにマークはつけない。ボールがあるサイドでとにかくプレッシャーをかけて、逆サイドには展開させないというやり方です。だから、密集を抜け出して逆サイドに展開できればフリーの選手がいるので、チャンスになるんです。
その数分後、ジェフが左サイドから右サイドへ大きく展開し、フリーとなったゲリア選手がゴール前にクロスを入れて、走り込んだ船山貴之選手が押し込んで同点としました。まさに、田坂選手が言っていたカタチでのゴールとなりました。
田坂:いまの展開が狙っていたカタチで、逆サイドにボールを出せればチャンスになるんです。
原&藤永:オオ~ッ(という感嘆の声をあげる)。
しかし、終了間際に失点し、ジェフは1-2で敗戦となりました。
田坂:いままで他競技の選手とこうして交流を持つことがなかったので、とても新鮮でした。次はぜひ、ボクがジェッツの試合を観戦に行ってみたいです。そして、いろいろと質問したいですね。
藤永:そのときは、ボクが解説します。
原&田坂:いやいや、試合に出ないでどうする(笑)。
田坂:去年まで所属していた川崎フロンターレのときにブレイブサンダースを観に行きたかったのですが、行けませんでした。なので、ジェッツはぜひ行きたいです。KEIYO TEAM6のことも知りましたが、この地域はスポーツチームが多いですね。
原:全国的にみても珍しいと思います。
田坂:たしかに、これだけのスポーツチームがある地域はそうはないと思います。お互いを刺激しあえる素晴らしい環境だと思います。
原:はじめてのサッカー観戦が田坂さんの解説付きですごく贅沢でした。
藤永:相手の守備を崩すのは本当に難しいのだろうなと思いました。ここから観ている感覚と、ピッチでの感覚は絶対に違うと思います。また、サッカーは試合時間が長いので、選手たちは疲れるだろうなと感じました。今日は解説を聞けて良かったです。
田坂:やっぱり、スタジアムに来ないとわからない雰囲気があるので、お互いがスタジアムを行き来して交流するのはいいですね。Bリーグの新シーズンは9月開幕でしたよね?
原:10月です。ぜひ、観戦に来てください。今日は応援にすごくびっくりしました。90分間ずっと歌っている。バスケットは40分間ですが、ここまで続けてずっと声を出すことはあまりありません。ただ、室内で声が響くので、指示が聞こえないときもあったりします(笑)。
田坂:バスケットも臨場感がすごそうですね。ジェッツのブースターさんや他競技のチームを応援されている方々に伝えたいのですが、フクアリは雰囲気がすごく良いので、一度来てもらえたら臨場感があって楽しんでもらえると思います。いまはJ2ですが、J1を目指してみんなで一体感を持って戦っています。そこに共感を持ってもらえたら楽しんでいただけると思います。攻撃的な選手が多いのも魅力のひとつです。
藤永:ジェッツの試合にもぜひ多くの方々に来ていただきたいです。Bリーグのなかでも面白いプレーをしているチームだという自負があります。スピーディーですし、得点もいっぱい入ります。実際に試合会場に来て、楽しんでほしいです。
原:フクアリもそうですが、ボクたちの会場もコートとスタンドの距離が近く、選手とブースターが一体となって戦っています。間違いなく、Bリーグで一番スピード感のあるバスケットをしているので、絶対に楽しんでいただける自信があります。試合前の演出もいろいろと趣向を凝らしているので、そこも楽しんでいただけたらと思います。10月から船橋アリーナ、千葉ポートアリーナでやっているのでよろしくお願いします。
田坂:今日はありがとうございました。ぜひまた、お会いしましょう。
藤永:いろいろなお話をしていただき、ありがとうございました。
原:今度はバスケットを観に来てください。今日はありがとうございました。
取材・文/飯塚健司(フリーランスライター)