大町和幸
(千葉ZELVA/バレーボール)
&
高田晋作
(千葉ZELVA/バレーボール)
6チームの注目選手や共通点を持つ選手・スタッフが、競技の枠を越えて様々なテーマでトークを行う、『京葉線プラス』限定のスペシャル企画「KEIYO TEAM6 クロストーク」。
第17回は千葉ZELVAの大町和幸選手と高田(たかた)晋作選手に、千葉ZELVAの魅力やこれからについて、お話をうかがいます。バレーボールへの熱い想いを語りながらも、笑いの絶えない対談になりました。
千葉ZELVAは2012年5月に結成。2015年からの3シーズンはV・チャレンジリーグⅡ(現V3)に参戦しましたが、リーグ変革時にVリーグ加盟申請をするもライセンスが発行されず、2シーズンは参戦ができませんでした。努力と苦労を重ねてようやく今季からVリーグに復帰。大町選手は千葉ZELVAの歴史を知り尽くす初期からのメンバー、そして今シーズン新規参入したのが高田選手です。
──まずはお二人がどのような選手なのか、お互いに紹介をお願いします。
大町:高田選手は身長が184cmと、アウトサイドヒッター(サイドからのアタッカー)の中では大きいほうですが、実はサーブレシーブが上手い選手です。レシーブをして、レフトからのスパイクに持って行く、これが素晴らしいですね。特にクロスはパワーが乗っていて、とても切れ味のいいスパイクを放ちます。
高田:大町選手はすべてのプレーにおいて総合力が高くて、対戦する側にとっては非常に嫌なプレーヤーです。対戦相手にはしたくないですね。相手が嫌がるところをしっかりと見て突いていく、そういうプレーヤーです。
大町:バレーボール選手にしては身長が小さいほうなので、いかに相手の欠点をつくか、身長の高い選手にいかにして勝つか、それをいつも考えながら、ずっとバレーボールをやってきました。
高田:それに加えて……。
大町:まだあるの?(笑)
高田:一緒に試合に出たときに思ったのは、チームのみんなを活かすような声かけをします。大町さんは今年36歳で、経験豊富なベテランです。6人の中に1人はいないといけない存在です。ポジションは同じなのですが、僕に足りないところはそこじゃないかと思っています。大町さんの言葉はまっすぐ心に入ってきて、影響力があります。
大町:千葉ZELVAは、23~4歳から自分のような35歳の選手まで、10歳以上離れている人たちが一緒にコートに入って、仲間としてプレーしなければいけません。いかにチームが一つの輪になるか、融合できるかということを心がけながらコートに入っています。
──それは言うのは簡単でも、実行するのは難しいのではないでしょうか。
大町:そうですね。でもそれを実行しなければ、私の価値がない。私がこのチームにいる意味がなくなってしまいます。プレーももちろんですが、プレー以外のコミュニケーションとして、どうやったらチームがうまく回るかを日々考えながらチームメイトと接しています。
──クラブの初期メンバーであり、激動の期間を経験していることも影響していますか?
大町:はい、この8年の間には辛いことも楽しいこともありましたが、いまのメンバーには辛い想いをさせたくないなというのが一番の気持ちです。この8年間で私が経験してきたことを、高田選手みたいに新入団した選手に伝えていかなければいけないと思っています。
高田:僕たちにとっては、そういう話を聞くのはとてもいい機会になっていますよ。
大町:今はお酒飲みながらっていう訳にもいかないけどね。今までとは違うコミュニケーションが求められるよね。
高田:僕は大学を卒業して5年間、バレーボールができなかったんです。転勤で長野にいて、住宅営業マンとして5年間過ごしてきました。休みが火・水曜だから大会にも出られず、2年くらいボールを一度も触らなかった。自分の心を落ち着かせるのはバレーボールだろうとクラブに入ったときに、やっぱり本気でやりたいと思いました。東京の土・日曜が休みの部署に異動になって、これはチャンスだとトライアウトを受けて千葉ZELVAに入団させてもらいました。だからデビュー戦となったVリーグの試合というのは、僕にとっては5年越しの想いがありました。その結果…一人ではしゃいでいましたね(笑)。
大町:はしゃいでたね(笑)。とても楽しそうにやってくれて、私としてはよかったです。もっと緊張するのではないかと思っていたけど、チームに馴染んでいたし、いいプレーもいい声も出ていたので100点満点をあげたい!
高田:ありがとうございます!!緊急事態宣言で練習はできなかったけど、ランニング等していたので、身体は動きました。練習を含めても、今までで一番いいプレーができたと思います。
──みなさん、お仕事のあとに練習をして、週末に試合というサイクルですか?
大町:そうです。みんな別々に、各々の仕事をしています。私は父の会社である自動車の修理工場で働いています。
高田:僕はハウスメーカーの総務部で働いております。チームのメンバーに会えるのは練習のときだけですが、仲のいい選手が一緒に筋トレをすることもありますね。
大町:チーム練習がないときは、個別で時間を合わせて練習するよね。今日もこれから村松選手とオンラインでトレーニング。高田選手は今シーズンから加入したばかりだから、まだ壁がある(笑)。
高田:一番いじるじゃないですか(笑)。
復帰を望み続けた2シーズン、そして待ち焦がれたVリーグ参戦。しかしその開幕戦は、新型コロナウイルス感染拡大により、中止になってしまいました。
──大町選手はコーチ兼任とのことですが、コーチのお仕事はどのようなことですか?
大町:練習のメニューを考えること、対戦するチームごとに作戦を練ること、それに選手のモチベーションをあげてあげるという気持ちの部分のサポートですね。
──コロナ禍で、アスリートとしてはコンディションを整えるのが大変なのでは?
大町:とても大変です。トレーニングをしっかりとやらないと、試合で怪我もしますし、チームにも迷惑をかけてしまうので怠らないようにしています。
高田:いま怪我っておっしゃいましたけど、僕は夏から2回ほど大きな捻挫をしまして、そこでわかったのは「もう若くないんだな」ってことです。コンディションを整えて最高のパフォーマンスを試合に持って行くという意味が、今までの大学のバレーなどとはだいぶ違うと痛感しました。
──チーム練習以外の体幹や筋力トレーニングは個人で行っているのですか?
高田:個人個人ですね。みんなで集まれる時間が少ない分、集まったときはボールをさわる練習メニューが多いので、個人のバイタリティをあげる部分は個々人にゆだねられています。
大町:なので、自覚がない選手はどんどん下手になっているし、ちゃんとやっている選手はしっかりと結果が出ます。
──そういう意味でも、コーチとして選手のモチベーションをあげることが大切なのですね。
大町:そういうことです。
──最初の試合は中止になってしまって、非常に残念でした。
大町:でも時期が時期なので、私たちはやることをやるだけです。試合がなければ、次の試合に向けてどうするかをチーム一丸となって考える。コロナ禍においては、仕事の都合で試合に来られない選手も出てきます。だからこそ、来られない選手のためにも頑張ろうよというキャッチフレーズみたいなものは、言葉にしなくとも各選手が持っていると思います。
──無観客でのリモート開催もありました。
大町:やはり私たちはファンの方の前で試合をするからこそ、パワーが出ます。高田選手のように初めての場合は緊張してしまうかもしれませんが、観客の前でプレーする素晴らしさを知ってほしいですね。
高田:今まで自分のプレーを人に見せることを意識してこなかったので、人に見られているという環境が初めてです。歓声が力になる状況で試合をして、それを感じたいですね。ただ声援がプレッシャーになりかねないので、その中で一番高いパフォーマンスが出せるだろうかと、不安に思う部分もあります。
大町:初めて観客のいないリモートという試合をやって、ちょっと物足りないような感じはありました。ただ選手の声は通りやすい、そこの面白さがあるのかなと思ったりもします。タイムアウトでも、普通なら声は届かないけど、リモートで観客がいないと声が響きます。なので、それぞれに楽しさがあると思いました。
──確かに、無観客だから聞こえる音はありますね。お二人は試合の中で好きな音はありますか?
大町:私がサーブを打つタイミングで相手チームがタイムをとる確率が高いので、そのタイムを告げる音が好きですね。自分のサーブを怖がっているなと。次はどういうサーブ打とうかと、逆にテンションがあがります。
高田:僕はサーブを打つときの静寂ですね。サーブを打つときにホイッスルが吹かれ、それから8秒間が与えられ、静かな時間が訪れます。バレーボールの中でサーブだけは個人プレーであり、自分の世界に入れる唯一の瞬間だと思います。
大町:そこでくしゃみとかしたら面白いよね(笑)。
高田:たまには、そういうスパイスがあってもいいのではないでしょうか(笑)。
──おふたりが感じる千葉ZELVAの魅力は?
大町:仲がいいことです。古家康隆(ふるいえやすたか)監督も気さくに若手に接するし、古参も新しい選手も和気あいあいと、楽しくバレーをする明るい雰囲気です。
高田:その通りだと思います。Vリーグのリモート配信を見たときに思ったのは、タイムアウトのときに声掛けの雰囲気が、ほかのチームと全然違うことです。他のチームは厳しい面持ちで喋ったりしているのに、うちのチームは笑い声が聞こえていて、それはいいことだと思います。
──なぜ明るい雰囲気が作れるのでしょうか?
大町:先輩が優しいからじゃないですか?(笑)
高田:おっしゃる通りです!それにバレーボールを好きな人が集まっているからですね。
大町:練習していても、ああしたい、こうしたいと言ってくれるので、みんなで作り上げているという感じですよね。それで千葉ZELVAというチームは、いい空気になっているのかなと思います。だからまだ試合を見たことがない方にも、ぜひ一度見ていただきたいですね。
──バレーボールを通じて伝えたいことはありますか?
大町:コミュニケーションが難しい時代になっている中で、若手から年長者まで目を合わせながらコートを走り回っている姿を見ていただければ、バレーっていいな、チームっていいなと勇気付けられるのではないかと思います。
高田:そうですよね。人と人が面と向かって話すことができない中で、人と人とが近い距離でコミュニケーションをとることを、僕はバレーボールから教わりました。コロナ禍で人と人が接するコミュニケーションが難しい時代ですけど、仲間を作ることを教えてくれる種目が、少しでも普及していくと嬉しいですね。
──まして拠点となる千葉市の方にはいっぱい元気を届けたいですね。
大町・高田:本当にそうですね。
大町:今まで、バレーボール教室などを通じて地域貢献をしてきました。小学生からママさんバレーまで、教えてあげたいという気持ちがあります。
高田:小学生にバレーボール教室を開いた後に、子どもたちと触れ合う機会があって、とても楽しかったですね。子どもが好きなので、そういう機会を増やして参加したいと思っています。
──そんな千葉ZELVAの試合を見るときの、注目選手はどなたでしょうか。
大町:ミドルブロッカー(前衛のセンターポジション)の橋本大海(ひろみ)選手ですね。関西出身で、チームを明るくしてくれるムードメーカーです。サーブがよくて、ブロックもよくて、彼が決めるとチームが盛り上がります。だからこそ、彼が決めたときに、まわりをいかに盛り上げるかが大切です。
高田:大町さんと非常に仲のいい村松俊輔選手が僕のイチオシです。爆発力が尋常じゃない!決まるときは何をしても決まる。決まらないときは何してもダメかもしれない(笑)。何と言うか……。
──メリハリがあるということですか?
大町・高田:そうです!メリハリ!
高田:メリハリのある選手ですね。調子がいいときは、レシーブを拾って村松さんにつなげたいという想いがあります。調子が悪いと、せっかくつないだのにってなりますけどね(笑)。
大町:メリハリだね(笑)。橋本・村松に注目して見てもらえば、千葉ZELVAのことがよくわかると思います。
──お話の流れからすると、村松選手の調子が気になって仕方ありません。
大町:うちのチームの見方は、それで合っていますよ。「あれ、昨日の村松はどこいった?」っていうことがあって、はまります。試合前の練習を見ればだいたいわかります。
高田:ええ、練習からメリハリがございます。
大町:でも村松は、お互いに高め合うという意味で、私にとってすごくいいパートナーだと思います。お互いに高め合わないと勝てないよって言いながら、リモートで一緒に筋トレをしています。
──最後に、ファンの方や読者のみなさんにメッセージをお願いします。
大町:残り全勝目指して頑張りますので、応援よろしくお願いします!
高田:試合を見に行くというのが厳しい時代ですけど、観客が入れるようになったときにその気持ちを爆発して応援してもらえるように、Webでの観戦も可能なのでぜひ見てください。見に来ていただける機会は少ないですが、ぜひ足を運んでいただけるとうれしいです!
──楽しいお話をありがとうございました。
2月27日・28日にJFE体育館で開催されるホームゲームは、席数を抑えて観客を入れることを予定しています。Vリーグの舞台に立つ千葉ZELVAをようやくファンの方に披露できる……そんな待ちに待った瞬間。ここから新たな歴史が幕を開けます。千葉ZELVAの第二章に、ぜひご注目ください。
背番号/12
ポジション/アウトサイドヒッター
シャツネーム/OMACHI
生年月日/1985年3月2日
出身地/東京都葛飾区
ニックネーム/オオマチ
身長/180cm
体重/74kg
指高/230cm
最高到達点/310cm
サージャントジャンプ/60cm
出身校/東海大附属浦安高校→東海大学
背番号/18
ポジション/アウトサイドヒッター
シャツネーム/SHINSAKU
生年月日/1993年2月28日
出身地/富山県南砺市
ニックネーム/タカタ
身長/184cm
体重/80kg
指高/240cm
最高到達点/325cm
サージャントジャンプ/75cm
出身校/南砺福野高校→日本大学
取材・文/元盛恵(まいぷれ)