石田健太郎
(バルドラール浦安/フットサル)
&
羽富琉偉
(千葉ZELVA/バレーボール)
6チームの注目選手や共通点を持つ選手・スタッフが、競技の枠を越えて様々なテーマでトークを行う、『京葉線プラス』限定のスペシャル企画「KEIYO TEAM6 クロストーク」。
第16回はバルドラール浦安の石田健太郎選手、千葉ZELVAの羽富琉偉選手に、コロナ禍におけるチームの様子や試合に対する向き合い方、高いモチベーション維持の方法について、お話しいただきました。シーズン優勝への思いが伝わってくる、熱いトークとなりました。
──お2人とも今回が初対面とのことで、自己紹介もかねて、それぞれの競技やご自分のこれまでのキャリアなどを教えていただけますか?
羽富:僕は千葉ZELVAのミドルブロッカーとして、今年5月にトライアウトを受けて入団しました。まだ入団してまもない新人です(笑)。現在、試合では特にワンポイントブロッカーとして出場しています。試合の中でここぞという場面に登場し、相手のエースを止めるような試合の流れを変えるプレーをして、そこでとれた1点がそれ以上の価値を生み出し、チームを勝利に結びつけ、勢いをつけることができるようなプレーヤーを目指しています。
石田:それはすごいプレッシャーですね!僕はバルドラール浦安で、アラという、サッカーでいえばMFのようなポジションを担っています。フットサルはよくサッカーと比べられますが、共通点といえば足で蹴る競技ということぐらいで、サッカーとは似て非なる部分がほとんどですね。フィールドはサッカーの1/7くらいの大きさだし、選手の交代も自由です。試合運びなどはむしろバスケットボールなどに近い部分もあるかもしれません。羽富さんは、バレーボール歴自体は長いのですか?
羽富:もともと高校から大学まで部活等でバレーをやっていたのですが、その後芸能活動をしてバレーボールから離れていた期間があったんです。そんなとき、「ハイキュー!!」というバレーボールをテーマにした舞台のセッター役で出ることになり、改めて「バレーボールって面白いなあ」と熱量があがってきて。そこで一念発起してトライアウトを受けることにしました。今年はコロナウィルス感染症対策のため、1カ月半と長期でチームに帯同しながら行われました。練習はもちろんのこと、チームに関する細かな仕事のほか、チームメイトとのコミュニケーションなどもみられるので、なかなか大変でしたね。
石田:僕は高3までサッカーをやっていましたが、出身が新潟ということもあり、雪でサッカーの練習ができなかったんです。それで体育館でフットサルをやっているうちに、「これは面白いな」と(笑)。そこからフットサルに転向していきました。
──それぞれのチームのことや、競技の魅力についてもお聞かせください。
羽富:バレーボールは6人でプレーしますが、一人ひとりの「つながり」こそが魅力であり、見せどころです。それは例えば、相手の攻撃をブロックで止めたり、コースを絞らせたりしたボールを、レシーブし、トスを上げて、攻撃して、また相手の攻撃を止めて…という一連の流れの中で生まれてくるもの。全員が流れをつかみ、同じところをみて、ここでとりたい!という瞬間を見出したときに、点が取れるんです。うちのチームのレギュラーメンバーは長く所属している人が多く、そうした連携の取り方も絶妙で、自分にとって学ぶというか、あこがれる方が多いですね。
石田:高いスキルをもったチームメイトがいるというのは、モチベーションアップになりますね。僕も18歳で入団したころは長くチームにいた人もたくさんいて、フットサルを知り尽くしていたような感じがありました。ただ最近チームは監督が代わり、選手も入れ替わりがあって若返りましたね。なんというか、勢いがあります。もちろんただ勢いに任せているだけではなくて、今年は今までよりさらにディフェンスに重点を置くようにしています。ディフェンスを極めていけば、失点は限りなくゼロに近づいていきますよね。ゼロになれば少なくとも負けることはないわけです。まずはディフェンスをしっかりしていくこと。攻撃はもともとの勢いをもっているわけですから、そのバランスをチーム全員で保っていければと思っています。
これはフットサルのひとつの魅力であり特徴かもしれませんが、勝敗は「残り1秒まで分からない」ことにあります。実際に残り3秒で同点に追いつかれたこともありますし、コートは決して広いわけではないので、どこからでもシュートができ、キーパーでもシュートしてきます。
羽富:こうして聞く以上に、試合はかなりハードそうですね。試合時間はどのくらいなんですか?
石田:前半20分、後半20分ですが、ボールが外に出たときなど試合が中断したときはタイムも止まり、実際にはハーフ35分くらいある場合が多いです。ただ先ほどもお話ししたように、交代は自由なので、疲労が蓄積してきたらベンチに下がり、また出ます。先ほどフットサルの魅力について説明しましたが、もう一つ挙げられるのは、ベンチにいる全員が試合に出られる可能性が高いことです。試合にはキーパーと4人がフィールドに立ち、その5人が1セットですが、ベンチにはそれがあと2セットほどいます。試合によっては開始3分後にはその全員が入れ替わるくらい、激しく交代することもあります。それを管理する監督も大変だと思いますが(笑)
羽富:そうした試合運びも、お客さん側からすると魅力の一つなんでしょうね。僕はバレーボールを、やるのはもちろん、見るのも好きで、試合中の音も魅力に感じます。選手が踏み込むときの「キュッ」という音や、スパイクのときの「ドン」という音、ボールがたたかれ地面落ちる音…審判の「ピーッ」というホイッスルの音まで気持ちよく感じちゃうんですよね(笑)。
──2020年は新型コロナウイルスのために、あらゆるスポーツが影響を受けてしまいました。バレーボール、フットサルともに選手はどのように練習し、試合へと備えてきましたか?
羽富:どこもそうかと思いますが、荷物などにも消毒して周囲を清潔に保ち、毎日検温をして自己管理をより慎重にしています。少しでも何かあったらチームへ連絡するようにして、そういう意味では運営側とも、これまでにないほどコミュニケーションをとる関係になりました。練習確定日は週2回あり、それ以外は状況に応じて集まる形です。チームにはアナリストがいて、これまでの試合における様々なデータを管理しています。例えばスパイク決定率やサーブカット率、どこのコースにスパイクが打たれたかなどもわかります。それらを簡易的なものにまとめて各選手に提供してくれるので、自分なりに見比べてまた分析する。練習日にデータ上で見つけたその課題を持ち込んで、より具体的に作戦などへのヒントにしていきます。やはり具体的にやってみないと分からないことが多いですね。そうして普段のトレーニングを重ねつつ、課題を蓄積し、少ない練習日に効果的な実践を行って、1月からの開幕に備えています。
石田:バルドラール浦安でも検温などはあり、試合観戦はファンクラブ会員のみ可能にするなど試合運営も様々な管理をしています。一方で新型コロナウイルスの影響で前シーズンから今シーズンに入るまでのオフ期間が通常の1カ月半が3カ月と長くなってしまったので、筋トレやランニングなど、チームから与えられる個人トレーニングメニューを多めにしていました。ただ、やはりそれでも実際の試合に対する練習量不足は否めないもので、シーズン当初はすぐに疲れてしまっていましたね(笑)
──そうした中で、どのようにモチベーションをキープしてきたのですか?
石田:目標を常に明確に掲げて、気持ちを高く維持してきた感じですね。リーグ前なら開幕に照準を向けて気持ちを高めていました。延期になったアジアフットサル選手権のときも、日本代表としていつでも入っていけるようにしていましたし、明確な目標を心に強く持つようにしていけば、モチベーションは維持できたように感じます。
羽富:明確な目標に備えて準備し、モチベーションキープするという点は非常に共感できます。僕の場合はトライアウトで入団できたものの、これまでのレギュラー選手同士のコミュニケーションが深く、僕らトライアウト組はついていくだけで精一杯なところがあるんですが、そこは気持ちで負けず、誰がいつコートに入ってもいいようにと準備を重ねてきました。
バレーボールはこれからシーズンに入っていきますが、フットサルの応援や試合はどんな様子でしたか?
石田:ホームの浦安では先ほどの通りファンクラブ会員のみの観客で、声出しは禁止。手拍子のみの応援でしたから、最初は少し寂しい気もしました。観客は10分の1くらいだし、どんないいプレーをしても、スタンドはいつものように盛り上がらないですから…
ただその分ベンチの声や監督の指示はよく聞こえて、それはそれでプレーしやすい面もありました(笑)。あとは交代でベンチにいるときはフィールドにいるチームメイトを懸命に応援し、選手同士で互いが互いを盛り上げていきましたね。
羽富:そうなんですね。聞くと逆境の中でチームがよりまとまって、お互いに高め合っている様子が分かります。バレーボールは開幕前ですがまだコロナの状況が予断を許さない状況なこともあり、運営側も人数制限や無観客など、どのように開幕を迎えられるかギリギリまで悩んでいる様子が選手まで伝わってきています。もちろん僕らはどんな状況でも精一杯プレーするだけですが、千葉ZELVAもチームとしてまとまっていけるよう、見習いたいですね。
──それぞれシーズンのタイミングは異なりますが、千葉ZELVAはこれからのシーズンに向けて、バルドラール浦安はシーズン後半に向けての目標など、メッセージをお願いします。
羽富:チームは攻撃が多彩でブロックも高く、サーブで崩してブロックで仕留めるような、「攻めのバレー」を持ち味としています。この持ち味を生かしてもちろん優勝を目指します!個人としても引き続きチームからアクションが欲しいときにすぐにこたえられるようにコンディションを整え、リザーバーとしても一緒にゲームメイクをしていけるよう、自分の実力を発揮していきます。そして来年はチームをV2へと導くような存在になりたいですね。
石田:現在チームは6位であり、コロナの影響で試合数も減っていますが、目標の優勝は僕も同じです。僕はまだ22歳と若いほうなのかもしれないけど、チーム在籍5年目のシーズンで、これからは自分も先頭に立って引っ張っていく存在にならなきゃいけないと思うし、そうした姿勢がいい結果にもつながるんじゃないかと。個人的な目標としても、チームに結果を出せるようなプレーをしていくことが、日本代表入りにもつなげることができるのではないかと思います。
──競技の垣根を超えた優勝への熱量を感じました。本日は有難うございました。
191cm/79kg 茨城県出身
1996年6月13日生 24歳
ポジション/ミドルブロッカー
境高校-順天堂大学-千葉ZELVA
高校、大学とバレーボール部に在籍、大学の時にモデル・俳優業を始める。演劇「ハイキュー!!」に伊達工業 黄金川貫至役として出演し、バレーボールの魅力を再認識し、2020年 千葉ZELVAのセレクションを受け、入団となった。
175cm/69kg 新潟県出身
1998年1月1日生 22歳
ポジション/アラ
帝京長岡高等学校サッカー部-多摩大学フットサル部-バルドラール浦安
多摩大学フットサル部在籍中よりバルドラール浦安プリメーロに特別指定選手として登録され、チーム在籍4年目。正確で鋭いパスとシュートが持ち味。