ノスタルジーにじっくり浸る 夏の弘前の楽しみ方ノスタルジーにじっくり浸る 夏の弘前の楽しみ方

津軽のいろいろ 「弘前市」

青森県の最高峰・岩木山の麓に広がる青森県弘前市。桜まつりで有名な弘前公園の弘前城を囲むように神社や仏閣が建てられ、今も重要な文化財が残る城下町です。文明開化の波に乗って建てられた洋館も多く、当時の面影を残すレトロな建築物からロマンを感じます。美しい古都の文化に触れながら、街をのんびり散策しませんか。

四季折々の風景が迎える 異なる趣の2つの庭園

藤田記念庭園
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弘前公園側の庭園出入り口。総面積が約6,600坪もあり、東北地方において有数の大規模な庭園として知られている。
藤田記念庭園
天気が良い日は岩木山が眺められる借景式の高台部。春には弘前市保存樹木に指定されているシダレザクラが咲き誇り、夏は青々とした芝生が青空の下に映える。
藤田記念庭園
赤い反橋と滝が眺められる低地部は、池を中心にした回遊式の庭園。梅やツツジ、花菖蒲など季節の花々が来園者を迎えてくれる。

弘前公園からほど近くにある「藤田記念庭園」。大正10年、弘前出身の事業家・藤田謙一が別邸を構える際、東京から庭師を招いて江戸風な景趣の庭園をつくらせました。みちのく銀行の管理所有を経て、市制施行100周年事業として弘前市が整備を進め、平成3年7月に一般へ向けて開園。園内は崖地をはさんで高台部と低地部に分かれ、登録有形文化財に指定された貴重な建築物も。四季折々に表情を変える美しい庭園をひと目眺めようと、国内外から多くの観光客が訪れています。

データ

  • 藤田記念庭園
  • 住所:青森県弘前市大字上白銀町8-1(藤田記念庭園管理事務所)
  • TEL:0172-37-5525
  • 営業時間:9:00〜17:00(最終入園16:30)
  • 定休日:無休
  • 料金:大人320円、小・中学生100円

大正時代の情趣に富んだ洋館 庭園を眺めてくつろぐひととき

サンルームを活用した席
当時のサンルームを活用した席。レトロな板ガラスと格子の窓越しに、手入れの行き届いた美しい庭園を臨む。
藤田謙一の資料室
東京商工会議所会頭を経て、日本商工会議所初代会頭に就任した藤田謙一の資料室。日本屈指の財界人として活躍し、多くの育英事業や寄付でも社会に貢献した。
アップルパイドリンクセット
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「アップルパイドリンクセット」各アップルパイ990円(一部770円)。紅色のフィリングが目を引く「タムラファーム」の商品は、リンゴの程よい甘さと爽やかな酸味がたまらない。

藤田記念庭園敷地内の、赤いとんがり屋根の洋館内にある「大正浪漫喫茶」。弘前市における代表的な近代建築の担い手・堀江佐吉の子孫が設計・施工にあたった同建築物は、国の登録有形文化財に指定され、館内には施主である藤田謙一資料室を備えています。陽の光を通して輝くステンドグラス、暖炉やランプなど、大正時代を彷彿とさせるインテリアの数々を眺めていると、なんだか懐かしい気持ちがこみあげてきます。
喫茶では、ガレットやシードルなど県産食材を使ったメニューを提供し、とりわけ人気を集めているのがアップルパイ。市内の協力店が毎朝配達してくれる作りたてのアップルパイを常時6種類以上ラインアップし、これを目当てに訪れる観光客でにぎわっています。窓際の特等席で高台部の庭園を眺めながら、ホッと一息ついてみませんか。

データ

  • 大正浪漫喫茶室
  • 住所:青森県弘前市大字上白銀町8-1(藤田記念庭園 洋館内)
  • TEL:0172-37-5690
  • 営業時間:9:30〜16:30(LO16:00) ※席利用は60分制
  • 定休日:無休
  • 料金:入館無料

手仕事のぬくもりが息づく メイド・イン・津軽に溢れた喫茶

工芸品の展示・販売スペース
陶器や染め物、木工品など、津軽が誇る手仕事の作品が並ぶ、工芸品の展示・販売スペース。これまでさまざまな企画展が行われてきた。
喫茶スペース
存在感のある大きなテーブル席を中央に構える喫茶スペース。暖色の照明と木の温もりが和やかなムードを生み出している。
夏いちごみるく氷
果肉感たっぷりの「夏いちごみるく氷」1,320円(〜8月中旬頃)は、注文を受けてから生イチゴをブレンダーでシロップに。特産のカシスや嶽きみを使ったかき氷にも注目。

当別邸建築と同時に現在地に建てられた、岩木山麓開発事業の事務所倉庫。かつては「考古館」として弘前市内から出土した旧石器〜江戸時代までの遺物などを展示していましたが、平成29年に〈和〉をテーマにしたカフェとしてリニューアルしました。こぎん刺しや津軽塗などの工芸品が一同に揃う展示・販売スペースを備え、津軽で古くから紡がれてきたものづくりに関わる情報発信の拠点にもなっています。
地場で採れた野菜や果物をふんだんに取り入れ、仕入れによって献立が変わる「おばんざい定食」を提供。甘味に使うみつやシロップ、白玉まで自家製にこだわり、素材を生かしたやさしい甘さと素朴な味わいが話題を呼んでいます。また、テーブルやチェア、使用する食器のほとんどが手工芸品のため、手仕事のぬくもりが随所に感じられます。

データ

  • クラフト&和カフェ 匠館
  • 住所:青森県弘前市大字上白銀町8-1(藤田記念庭園 旧考古館内)
  • TEL:0172-36-6505
  • 営業時間:9:30〜16:30
  • 定休日:無休 ※年末年始は休み
  • 料金:入館無料

例大祭の前夜に心が弾む 津軽ならでは夏の風物詩

宵宮の様子
写真提供:青森県「古津軽」発信強化検討会
「弘前天満宮」で2024年6月24日に開かれた宵宮の様子。薄暮が迫る風景の中に約30軒の露店の明かりが灯り、例大祭の前夜を彩った。
夕暮れの社殿
写真提供:青森県「古津軽」発信強化検討会
どこか幻想的なムードが漂う夕暮れの社殿。老若男女が参拝のために列を作った。

短い夏の訪れとともに各地の神社や寺院で催される宵宮(よみや)。明治頃から続くこの風習は津軽地方ならではの文化です。本来、神社仏閣で行われる例大祭に参列できるのは氏子などに限られますが、前夜祭である宵宮は誰もが楽しめるもの。開催当日に打ち上げられる花火の音が聞こえると人々の心は浮き立ち、自ずとその日行われる宵宮へと足を向けます。日が暮れる頃に神社や寺院周辺の沿道に出店がずらりと並び、境内では催しが行われることも。ひっきりなしに参拝客が訪れ、夜遅くまでにぎわいを見せます。

データ

  • 開催:弘前周辺の市町村は毎年5月〜10月 ※神社仏閣により異なる

きもの専門店で粋な装いを 浴衣で愉しむ宵宮のすゝめ

きもの専門店 夢や
市街地にある路面店。季節ごとに装いを変える店舗のショーウィンドウが目を引く。
浴衣
5歳くらいから着られるサイズの浴衣もレンタル可能。子どもならではの兵児帯が愛らしい。
浴衣
リーズナブルなレンタル料金ながら、揃える浴衣は上質なもの。あれこれ悩んで理想の1枚を探す時間も楽しい。
帯や帯留め
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帯や帯留めといった小物の種類も豊富。着付け歴30年以上の奥さんが、丁寧な手結びで本格的な着付けをしてくれる。
店主の小林さん
「着物は日本が誇る民族衣装。浴衣を着ることが、着物に興味を持つきっかけになればうれしいね」と目を細める店主の小林さん。

創業40年を迎えた「きもの専門店 夢や」。これまで1,000名以上の採寸、5,000枚以上の仕立てを行った実績が裏打ちする技術と経験で、一人ひとりの要望に寄り添った仕立てやお直し、コーディネートを行う呉服店です。店主の小林さんは、「一人でも多くの人に、一度でも笑顔で着物を着てほしい」と創業から変わらぬ想いで店舗を運営。誰でも気軽に和服に親しめるようにと、8年前にレンタルサービスを開始しました。
観光や冠婚葬祭のための着物はもちろんのこと、花火やまつりが続くシーズンには浴衣を提供(6月中旬〜8月末まで)※「期間以外のレンタルはご利用いただけません」と店主。日本人が和服に袖を通す機会が減ってきたと言われる中で、「せっかくの機会に浴衣が着たい」と訪れる人々の願いを叶えてきました。100着以上を揃える浴衣の中からチョイスした自分好みの1枚に、小物を合わせてトータルコーディネート。「花火やまつりの会場で着崩れることがないように」と心配りが行き届いた着付けで送り出してくれる、店主夫妻のあたたかな人柄も同店の魅力のひとつです。

データ

  • きもの専門店 夢や
  • 住所:青森県弘前市元大工町1-1
  • TEL:0172-32-8111
  • 営業時間:10:00〜18:00 ※まつり期間は返却対応のため〜21:00頃
  • 定休日:日曜 ※ほか不定休あり
  • 料金::浴衣レンタル 5,000円〜(料金はサイズにより異なる) ※夏季(6月中旬〜8月末まで)限定。着付け、一式(浴衣・帯・飾り紐・下駄・巾着)を含む。ヘアメイク要望の場合は提携美容院にて別途
    着物レンタル 15,000円〜 ※通年(夏季を除く)。着付け、一式(着物、襦袢、帯、帯揚げ、帯締め、足袋、草履、和鞄)を含む。ヘアメイク要望の場合は提携美容院にて別途

岩木山を臨む景勝地 〈学問の神〉を祀る地元民の拠り所

境内から眺める岩木山
境内から岩木山を眺める絶好のタイミングは朝。「朝日の中で見る姿が特に素晴らしい!」と宮司さん。
津軽神楽
緑が深まる境内で存在感を放つ社殿。2024年6月25日に行われた例大祭では、県無形民俗文化財である「津軽神楽」や詩吟が奉納された。
15代目宮司・宇庭さん
弘前天満宮の15代目宮司・宇庭さん。同社のほか、弘前市内外にある16の神社を兼務している。
卯年一代様の石像
鳥居をくぐり社殿へ続く参道。守護神である卯年一代様の石像が参拝者を迎える。
ウサギをモチーフにした御守り
敷地内の社務所で御朱印や御神札を受けられる。同社ならではのウサギをモチーフにした御守りが人気。

青森県の最高峰・岩木山を臨む景勝地に鎮座する「弘前天満宮」。この場所には、かつて領内修験の蝕頭(ふれがしら)を勤めてきた大行院がありましたが、明治4年の修験道の廃止によって「神道天満宮」に。移建や合祀を経て、現在は茂森町一帯の鎮守「弘前天満宮」となり地域に根付いています。岩木山と対峙するような高台の境内には社殿や社務所のほか、津軽ダム建設の際に合祀した稲荷神社、推定樹齢500年を超える県天然記念物のシダレザクラや天満宮児童公園があり、地元民の拠り所として親しまれています。
守り本尊は文殊菩薩、そして御祭神は菅原道真朝臣命(すがわらのみちざねあそみのみこと)。平安時代前期に学者・政治家として活躍し〈学問の神〉として崇められていることから、「学業成就や合格祈願のために訪れる方が多い」と15代目宮司の宇庭(うにわ)さんが教えてくれました。受験シーズンや新学期を迎える季節には、御神徳をいただきたいと多くの参拝者でにぎわうそうです。

データ

  • 弘前天満宮
  • 住所:青森県弘前市大字西茂森1-1-34
  • TEL:0172-32-5796
  • 開所時間:社務所8:30〜16:30
  • 定休日:無休

※営業時間や定休日などは、2024年7月末時点の情報です。紹介施設の都合により、変更になる場合があります。

記事作成:あきたタウン情報

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