津軽半島のご当地グルメと歴史探訪を満喫しよう津軽半島のご当地グルメと歴史探訪を満喫しよう

津軽のいろいろ 「中泊町」

地図

十三湖の湖畔から内陸に広がる、中里エリアと日本海沿岸の小泊エリア。そんな魅力あふれる地域が離れて存在するのが、青森県北津軽郡中泊町です。同町が位置する津軽半島には文化財や史跡・遺跡が多く、その歴史や文化に触れられるスポットが点在。さらに近年は、農業と漁業を主産業にしてきた中泊町らしいグルメが注目を集めています。

歴史と文化を今に伝える 学びが深まる5つの体験ゾーン

パルナス
あいにゃんあいにゃん
パルナス
観光拠点としてはもちろん図書館や文化ホールを備え、地域になくてはならないスポット。
スバル360
館内1Fの博物館前に設置された、真っ赤なクラシックカー「スバル360」。
原始ゾーン
林業の町・中泊を象徴する森林鉄道の車両をエントランスに復元展示。
近世ゾーン
常設展示室は『原始ゾーン』からスタート。周辺の遺跡から発掘された土器が所せましと並ぶ。
津軽鉄道出札口の体験コーナー
見ごたえのある復元レプリカのほか、「中里神明宮」の拝殿に掲額されていた「百川学庵画奉納絵馬」(町有形文化財)などを展示する『近世ゾーン』。
津軽鉄道出札口の体験コーナー
津軽鉄道出札口の体験コーナー。入館時に渡される切符を改札鋏で切り、日付印字機(ダッチングマシン)で入館日を印字できる。

1998年、町役場などを構える中泊町の中心地・中里エリアに開館した「中泊町総合文化センター パルナス」は、図書館や文化ホールを備えた文化複合施設。奥津軽屈指の旧家「宮越家」の窓口やシャトルバスの発着地点として、観光拠点の役割も担っています。
開館当初から館内に構える「中泊町博物館」は、奥津軽の自然や歴史、民俗、産業など幅広い分野を網羅し、現代へ伝える貴重な施設。“てんとう虫”の愛称で知られる名車「スバル360」を目印にパルナスの奥へ進むと、博物館の入口にたどり着きます。
来館者を迎えるシンボリックなブルーの車両は、日本初の森林鉄道「津軽森林鉄道」を颯爽と駆けたディーゼル機関車の復元モデル。エントランスから特別展示室にかけては企画展を行うギャラリー、その先のスペースには津軽鉄道の終着駅「津軽中里」のある地域らしくストーブ列車の車内が再現され、この地で育まれてきた文化と人々の暮らしを垣間見ることができます。常設展示室は原始・古代・中世・近世・近現代の5つのゾーンに区切られ、それぞれにシアターやゲーム、パズルなど、体験型の仕掛けを配置。見て、触れて、楽しみながら、中泊町を含む奥津軽ひいては青森県の変遷をじっくり辿ることができます。津軽平野周辺の遺跡から出土した土器や歴史を紐解く貴重な資料、寄贈された仏像からレトロな暮らしの道具まで並ぶ展示は、見る者の探究心をそそります。
ぜひ注目してほしいのは、目線より高い位置に掲げられた年表。常設展示室をぐるりと囲むように、世界と日本そして青森の出来事が記されています。世界情勢やその時代ごとのトピックスと照らし合わせて、原始から近現代までの歩みを追うのは楽しいものです。
取材時は、春の一般公開の会期に合わせた企画展「宮越家文化遺産の魅力―奥津軽の至宝―」が行われていました。令和6年7月20日(土)〜9月22日(日)は、「小説『津軽』の旅80周年―旅人がみた中泊―」が開催されます。近現代の著名人たちの視点を通し、その時代背景などを紹介。町を訪れた作家たちが記録した紀行文・小説のほか、太宰治に関わる貴重な資料や小説「津軽」の世界を復元する展示が行われるそうです。

データ

  • 中泊町博物館
  • 住所:青森県北津軽郡中泊町大字中里字紅葉坂210(中泊町総合文化センター パルナス)
  • TEL:0173-69-1111(代)
  • 営業時間:9:00〜16:45(最終入場16:15)
  • 定休日:月曜・祝日・第4木曜・年末年始
  • 料金:一般200円、高校・大学生100円、小・中学生50円

古き良き時代に想いをはせて 格式ある空間と美しい庭園を散策

円窓の間
離れ「詩夢庵」の『円窓の間』。外光を受けて浮かび上がるステンドグラスの「十三潟」が目を引く。
涼み座敷の間
見学のメインとも言われる『涼み座敷の間』。春に爽やかな緑、秋は赤や黄に色づく庭木を借景にして、繊細なステンドグラスの意匠が際立つ。
ベテランガイドの加藤さん
現在は28名のガイドが在籍。「夜はこの水盤に月が映るんですよ。それを眺めて詩歌を詠んだのでしょうね」と、ベテランガイドの加藤さんは素敵な解説をしてくれた。
静川園
宮越家が所在する尾別(おっぺつ)のアイヌ語の解釈“静かに川の流れるところ”から、「静川園」と命名された庭園。
山蘭の間
あきおとつがにゃんあきおとつがにゃん
離れの中で最も格式高い正席の間『奥の間』。二の間に相当する『山蘭(やまあららぎ)の間』と襖を開けてつながる。
12代目・宮越さん
庭園が一望できる南縁に腰を下ろし、「苦しい時を乗り越えて維持してこられたのは、地域の方々の助けがあってこそ」としみじみ語る12代目・宮越さん。

中泊周辺地域を代表する豪農として知られる宮越家は、明治維新後に農林業のほか商業・金融業を拡張し、近代地主に成長した名家。現在も米穀集荷を生業とする「ヤマシチ宮越商店」を営む12代目が、150年前後の歴史を有する主屋を住居としています。2018年に始まった学術調査によって、敷地内に所在する「宮越家離れ」が町有形文化財(建造物)、「宮越家庭園」が町記念物(名勝)に指定されたこときっかけに、2020年秋から年2回ペースで離れと庭園を一般公開。さらに公開を始めた同年、敷地内の主屋や文庫蔵、米蔵も町有形文化財(建造物)に指定されました。地域の貴重な文化財として宮越家の住宅・資料保存計画が策定され、今も町をあげた保存活用整備が進められています。
1920年に宮越家9代当主・正治氏がイハ夫人33歳の誕生祝いと厄除けを兼ねて建立したと伝えられている離れは、夫妻が詩歌を詠む舞台として「詩夢庵(しむあん)」と命名されました。天井や壁などに高級建材や銘木を惜しげもなく使い、襖絵や欄間に至るまで趣向を凝らした空間はまさに圧巻。美しい意匠の中でも、大正から昭和初期に活躍したステンドグラス作家・小川三知による窓の装飾が訪れる人を魅了します。離れの玄関口にある薄暗がりの『円窓の間』は、かつて津軽平野に広がっていた「十三潟」の景観がステンドグラスで浮かび上がり、まるで来館者を歓迎するかのよう。『涼み座敷の間』へ歩みを進めると現れるのは、庭木を借景にして映えるステンドグラス「四季草花」。早春の訪れを思わせるモクレンにみずみずしいアジサイ、初秋に朱く色づき始めるハゼノキ、そして冬を表す余白によって表現された季節の移ろいに目を奪われます。
年2回の一般公開の期間中は、地元有志のボランティアが一緒に敷地内を巡ってナビゲート。贅を尽くした空間は眺めるだけでも面白さがありますが、歴史や背景を知ることで、その素晴らしさや魅力を一層強く感じることができます。公開以来、ガイドを務める加藤さんは、“町の宝物”に関わりたいと自ら志願したそうで「かつてこの地区にあった『尾別小学校』に通っていたんです。母校を宮越家が支援してくれていた縁を感じて、この機会に恩を返さずいつ返すんだと思ってね。生まれ育った地域が好きなんです」とにっこり。時折、地元愛をのぞかせる解説に耳を傾けながら、館内や離れに付随する「静川園(せいせんえん)」の庭前や池泉、達磨堂などを巡るとアッという間に約70分間のツアーは終了。日々の喧騒から離れて浪漫に浸るひとときは、心を潤してくれるようです。

データ

  • 宮越家 離れ・庭園
  • 住所:非公開(中泊町総合文化センター パルナスより1日8便のシャトルバスでのみ来場可能)
  • TEL:0173-57-9030(中泊町文化観光交流協会)
  • 一般公開期間:令和6年10月4日(金)〜11月10日(日)
  • 定休日:月曜(祝日の場合は翌日休)
  • 来場方法:予約制 1便10名
  • 料金:ガイド・シャトルバス送迎・中泊町博物館入館料込 1名1,500円
  • チケット販売:中泊町文化観光交流協会ホームページよりチケットサイトにて販売 ※発売期間限定

中泊町が誇る特産品を味わい尽くす ザ・ご当地グルメを堪能

のどかな風景の中にある店舗
津軽国定公園「十三湖」を臨む国道339号沿い。のどかな風景の中にある店舗。
中泊メバルの刺し身と煮付け膳
思わず歓声を上げずにはいられない、豪勢な「中泊メバルの刺し身と煮付け膳」1,800円。
奈良さん
刺身用のタレにも工夫があり、一つひとつのこだわりを説明してくれた奈良さん。味わう楽しさを創出してくれる。
中泊トマト海鮮ラーメン
「中泊トマト海鮮ラーメン」950円。地元民のリピーターも多く、その人気を受けて夏季(7月〜9月)は姉妹商品「中泊トマト冷やしつけ麺」950円が登場する。
活きシジミ
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「しじみ亭 奈良屋」で陳列されていた、十三湖産の新鮮な「活きシジミ」。全国発送も行っている。

市街地から津軽半島をやや北上した先にある、青森県で3番目に大きな湖・津軽国定公園「十三湖(じゅうさんこ)」。海水と淡水が混合した汽水湖で、日本有数のシジミの産地として知られています。店内から窓越しに湖畔を眺められる「はくちょう亭 奈良屋」は、地場の恵みをふんだんに取り入れた郷土料理を提供する食事処。同店の2代目である奈良さんは、「名物であるシジミの美味しさをたくさんの人に知ってもらいたいと昭和46年に義母が始めたお店です。その頃から変わらず、十三湖産のシジミや旬の魚、季節の山菜を使った料理を提供し続けています」と受け継いだ店を切り盛りしています。
中泊町は、高級魚メバルの水揚げが青森県ナンバーワン。近年、町をあげて開発・普及に励んでいるご当地グルメの主役食材に抜擢されました。漁業組合や飲食店などが一丸となってブラッシュアップを重ね、2015年から町内の5つの飲食店で「中泊メバルの刺し身と煮付け膳」の提供をスタート。お頭付きの贅沢な姿盛り、熱々の煮付け、味わい深い潮汁など、さまざまな調理法で「津軽海峡メバル」を堪能できます。遠浅の海で獲れるものよりも脂がのり、一度食べると得も言われぬ味わいに驚くことでしょう。
さらに2021年には、栽培が盛んなトマトを使ったご当地グルメも開発。真っ赤でインパクトのある「中泊トマト海鮮ラーメン」は、観光客はもちろん地元民にも好評だと言います。箸置きやレンゲといったカトラリーにまでこだわり、オリーブオイルと粉チーズで仕上げたラーメンは、まさに新感覚のイタリアンテイスト。鶏ガラと中泊産トマトのピューレで作る濃厚なスープが太めのちぢれ麺によく絡み、地魚やイカで作った特製かまぼこやソーセージがアクセントになっています。
敷地内に併設する「しじみ亭 奈良屋」では、十三湖で獲れた新鮮なシジミや佃煮などの加工品、なんとシジミのアイスクリームなどを販売。一度立ち寄って、ご当地グルメを味わい尽くしてみてはいかがでしょうか。

データ

  • しじみとメバルと郷土料理のお店 はくちょう亭 奈良屋
  • 住所:青森県北津軽郡中泊町大字今泉字唐崎255
  • TEL:0173-58-2816
  • 営業時間:10:00〜15:30
  • 定休日:火曜 ※変更の場合あり
    ※「しじみ亭 奈良屋」も営業時間・定休日は同じ

営業時間や定休日などは、2024年6月末時点の情報です。紹介施設の都合により、変更になる場合があります

記事作成:あきたタウン情報

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