秋田市・歓楽街「川反」の行きたいあの店!後編秋田市・歓楽街「川反」の行きたいあの店!後編

夜の秋田を愉しむ! 「川反」で行きたいオススメ店

JR秋田駅西口から徒歩20分ほど、川沿いに飲食店が立ち並ぶその場所が、秋田市最大の歓楽街・川反。夕方頃になると、店に明かりが灯り始め、お酒を酌み交わす人々でにぎわいます。今回は「川反」で長く愛される老舗や注目のお店を、前編・後編の2回にわたって紹介します。

秋田を代表するオーセンティックバー

BAR ル・ヴェール
BAR ル・ヴェール
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夜空に映える看板。通り沿いで異彩を放つ外観は、老舗ならではの重厚な雰囲気を感じさせます。

川反通りの一角にひっそりと佇む老舗「BAR ル・ヴェール」。黒のシックな装いにスポットライトが照らす木造りの重厚な扉は、何か物語が始まりそうな緊張感と期待を感じさせます。

創業は1997年、東京・銀座。帝国ホテルで長年従事して独立した、全国的にも伝説的なバーテンダー・佐藤謙一さんが開店しました。2009年に故郷・秋田に移転してからは、長きに渡って秋田のバー業界を牽引。後継者も育て上げ、2021年、弟子に店を譲り第一線を退きました。現在は、若き2代目オーナー・伊藤秀晃さんが引き継ぎ、新たな「ル・ヴェール」を展開しています。

ドレスコードは人と楽しむための嗜み

BAR ル・ヴェール

ダークブラウンを基調とした店内。マホガニー材を使った豪華なカウンター席は、マスターが腕をふるう姿を見られる特等席。

BAR ル・ヴェール

店舗奥には、旭川が一望できる4人掛けのテーブル席もあります。

扉を開けると、古き良き時代の雰囲気が漂う店内に、白いジャケットに身を包んだ2代目オーナー・伊藤さんがお出迎えしてくれます。時代が変わりゆく中でも、クラシックスタイルを大切にしている同店では、秋田県内では珍しくドレスコードがあるのも特徴。「ドレスコードと言うと敷居が高いイメージがあると思いますが、Tシャツやハーフパンツなど肌を露出しすぎるものでなければ問題ありません」と伊藤さん。「ほかのお客様もいる中で、お互いに気持ちの良い空間を作るための大人の嗜み、その緊張感もバーの楽しみのひとつだと思っていただけたらうれしいです」と、先代の教えを受け継ぎ、オーセンティック=伝統を重んじるバーの姿がそこにあります。

老舗の名を背負った若きオーナー

BAR ル・ヴェール
2代目オーナーとして看板を背負う、秋田県大仙市出身の伊藤秀晃さん。趣味は魚釣り。

歴史を持つ老舗の後を継いだ二代目・オーナー伊藤さんが、バーテンダーを志したのは23歳の時。それまで別の仕事をしていましたが、憧れだったバーテンダーになるため、秋田県内のさまざまなバーを巡り、修業の場所と決めたのがル・ヴェールでした。先代オーナーに頼み込み、25歳からアルバイトとして勤務。昔気質の職人であった先代から学ぶのは大変な面も多かったようで、最初は掃除・言葉遣いから叩き込まれ、ようやく常連に作らせてもらえたのが、ウイスキーの「水割り」。その時の一杯の評価は厳しく、カクテルそしてバーテンダーの奥深さを痛感したそう。数年後、兄弟弟子が銀座で営む「Bar 三石」で1年間修業し帰省。常連、先代にも認められ、2021年、晴れて先代がまとっていた白のスーツに袖を通すことができたのでした。伊藤さんは、「お店を継ぐ際、師匠からは同じ名前でなくても良いと言っていただけたんですが、長く愛されてきたこの店とスタイルを守っていきたいと思ったんです」と、重みのある老舗の看板を自ら背負った想いを語ります。それと同時に、変わりゆく時代にも柔軟に対応し、「ドレスコードは最低限で、厳しく求めるわけではありません。若い世代にも気軽に利用してみてほしいですし、まずは一度ご来店していただけたらうれしいです」。

「マンハッタン」と「ル・ヴェール」

BAR ル・ヴェール

カクテルを作る見事な手さばきは、ついつい見入ってしまうほどかっこいい。
どんな一杯が味わえるのか、ワクワクするこの瞬間がたまらない。

BAR ル・ヴェール

お店の代名詞「マンハッタン」。スタンダードなカクテルだからこそ、お店のこだわりや個性が感じられます。

BAR ル・ヴェール

オリジナルカクテル「ル・ヴェール」。エメラルドグリーンのような色合いに惹かれます。甘い口溶けは女性からも人気。

ル・ヴェールには、メニューはありません。スタンダードカクテルをベースに、来店した方の好みなどを聞いて、要望に合った一杯を提供してくれます。その中でも、行ったなら一度は味わいたいカクテルをご紹介します。
ル・ヴェールと言えば、「マンハッタン」。そう言われるほど、先代が作るマンハッタンは、同店の代名詞として愛されてきました。甘みは控えめに、ドライに仕上げる一杯は、ライ麦ウイスキーとベルモットの香りを存分に引き立て、口に含むと爽やかな味わいや豊かな芳香が広がります。2代目は、先代のその味わいに敬意を払いつつも、「レシピは引き継ぎましたが、まったく同じ味を再現することはできません。同じ人が作っても、その日の気温や湿度、飲む人の体調によっても味わいは変わるものです。その中で、私なりのやり方で、先代の味に恥じぬ一杯を提供できるように日々努力しています」と語ります。
そして、もう一つのオススメが、オリジナルカクテル「ル・ヴェール」。お店の名を冠した一杯は、先代が1991年に創作した代表作のひとつです。2種類のバナナリキュールをベースに、ミルク、隠し味にミントリキュールを加えた淡い緑色が美しいのが特徴。シェイクして作るため、ふわふわとした口当たりで、どこか懐かしい甘さにホッと癒やされます。「甘さがあり飲みやすく、お酒があまり得意でない方にもオススメですよ」と伊藤さん。


データ

  • BAR ル・ヴェール
  • 住所:秋田市大町4-1-5
  • TEL:018-874-7888
  • 営業時間:18:00~24:00
  • 定休日:日曜、第3月曜
  • 席数:12席
  • 駐車場:なし

秋田の飲みの〆と言えば

そば処 紀文

飲食店が連なる大町の通り沿いにあり、黄色に光る看板が目印。

そば処 紀文

昭和の雰囲気を残す居心地良い店内。テーブル席と座敷席があり、おひとり様からグループまで利用できます。

そば処 紀文

昔ながらのお品書きも、どこか懐かしくなんだかほっこりするポイント。

そば処 紀文

店主・長澤さん。サラリーマン生活を経て、祖父母が営む紀文に入り、飲食の道に。15年程前、店主として店を引き継ぎました。

川反の入り口に位置する五丁目橋沿いを、大町方向へ進むとある「そば処 紀文」。秋田の〆のラーメンと言ったら真っ先に名前が挙がるほどの名店で、地元の呑んべえの聖地となっています。創業は1966年。現在店主を務める長澤さんの祖父が創業し、家族で営み半世紀以上も続く老舗です。昔ながらの佇まいは実家に帰ってきたような安心感があり、日付をまたごうかという時間帯になると、決まっていたかのように続々と人が集まってきます。

蕎麦屋だけどラーメン!名物「千秋麺」

そば処 紀文
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名物「千秋麺」850円(税込)。麺は細めのちぢれ、トッピングには、チャーシュー、ゆで卵、なると、メンマ、海苔、刻みネギと、「こういうのでいいんだよ〜」と思わず言いたくなる装い。

そば処 紀文

毎日じっくり時間をかけて炊いたスープが、千秋麺の源。美しい金色のスープは何度も飲みたくなる味わい深さがあります。

そば処 紀文

〆は米派と言う人には、「カレーライス」670円(税込)も人気。毎日煮込んだポークカレーで、ホッとする味わい。ガッツリ食べたい人は「カツカレー」1,100円もぜひどうぞ。

メニューは、店名に掲げる通り蕎麦が中心で、ざるそばやとろろ・山菜・天ぷらなどトッピングを変えた一杯を取り揃えています。麺類以外にも、カツ重やカレーなどもあり、お昼は、麺とご飯物を合わせた週替わりのお得なセットが人気です。
しかし、さまざまなメニューが揃う中でも、昼夜問わず多くの人の目当ては「千秋麺」。これぞ王道の〈中華そば〉といった一杯は、創業当時から変わらぬレシピで作られる名物です。鶏ガラや豚ガラ、香味野菜などから毎日炊いてとった黄金色のスープに、チャーシューの煮汁を使った醤油ダレの返しを合わせた、シンプルな製法で生まれる「千秋麺」。すっきりとした飲み口の中にも旨みが感じられ、スープともよく絡む細めのちぢれ麺の喉越しがたまりません。シンプルなだけに毎日食べても飽きが来ないような親しみやすさと、また食べたくなる味わい深さを持っていて、老若男女を問わず愛される理由がわかります。飲みの帰りはもちろん、お昼にささっと一杯、ぜひ食べてみてくださいね。

データ

  • そば処 紀文
  • 住所:秋田市大町6-2-4
  • TEL:018-823-8766
  • 営業時間:11:00~14:00、18:00~翌1:00
  • 定休日:日曜 ※祝日は不定休
  • 席数:44席
  • 駐車場:あり

2回にわたり、秋田市〈川反〉のオススメ3店舗をご紹介しました。みなさんは、行ってみたいお店はありましたか。〈川反〉には、今回ご紹介したお店以外にもたくさんのお店が軒を連ね、県内客や観光客でにぎわっています。お酒が好きな人もそうでない人も、ぜひ一度は訪れて、秋田の美酒と美食に酔いしれてみませんか。

記事作成:あきたタウン情報

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