津軽のアップルパイのことは、専門コンシェルジュにお任せ。話題の「アップルパイタクシー」に乗車してみた津軽のアップルパイのことは、専門コンシェルジュにお任せ。話題の「アップルパイタクシー」に乗車してみた

50店舗以上あるお店から自分好みのアップルパイを探そう

りんごの生産量全国No.1を誇る津軽エリアには、アップルパイを取り扱うお店が50店舗以上あります。皆さんが思う「おいしいアップルパイ」の条件はなんでしょうか。バター感たっぷりのパイ生地であること?りんごの甘みが強いこと?一口にアップルパイと言っても、好みは人それぞれ。弘前市には自分好みのアップルパイを探してくれるタクシーがあります。その名も、「アップルパイタクシー」。りんご王国ならではのご当地タクシーの魅力を探ります。

「アップルパイタクシー」って?

アップルパイタクシー
30分あたり2810円から利用することができます
髙谷文さん
この日は待ち合わせ場所もりんご尽くしでした

アップルパイタクシーは、地元の老舗タクシー会社・北星交通株式会社が手掛けるガイド付きタクシー。アップルパイを知り尽くした専門のコンシェルジュと津軽エリアを巡ることができます。
「アップルパイコンシェルジュ」は厳しい筆記試験をクリアしたのち、お店ごとの甘味、酸味、シナモンの具合まで熟知した、いわばアップルパイのスペシャリスト。ざっくりとした要望から細かい要望までフレキシブルに応えてくれます。
実際にアップルパイタクシーを使ってお店を巡ってみました。この日は、JR弘前駅のりんごポスト前で待ち合わせ。「こんにちは!」と満面の笑みで迎えてくれたのはコンシェルジュ歴4年の髙谷文(たかや あや)さん。今回は、市内30店舗以上のお店を食べ歩いたことのある髙谷さんおすすめのお店を巡ることにしました。
「アップルパイタクシー」という名の通り、タクシーの見た目もアップルパイ尽くし。アップルパイ柄のラッピングと、アップルパイをまとったりんごの行灯が目を引きます。早速リュックを下ろして目的地へ出発。タクシーで巡るので、道中重い荷物を抱えたり、行き先を調べたりする手間がないのは助かります!

データ

「生のりんご」を半玉使ったフレッシュなアップルパイ

アップルパイ
あきたこまちちゃんあきたこまちちゃん
アップルパイ(430円 税込)
※GRAND MERCI提供
ヒロサキ・ポム
ヒロサキ・ポム(380円 税込)
※GRAND MERCI提供

最初に伺ったのは、JR弘前駅から車で5分ほどのところにある、洋菓子店「GRAND MERCI(グランメルシー)」。「アップルパイを語るならここは外せません!」と髙谷さんは声を大にして言います。
生のりんごを半玉使用したアップルパイは津軽エリアでも珍しく、一日に1500個売り上げた記録をもつほどの人気ぶり。りんごの品種はあえて決めず、その日に仕入れたりんごで一番状態のいいものを選んで使用しているんだそう。
薄くスライスされたりんごの、生食ならではのシャキシャキ食感がクセになります。パイ生地は、底面が砂糖を焦がしてキャラメリゼされているので、カリカリ食感も同時に楽しむことができます。店主の成田巧樹さんは、「一個で十分な満足感が得られるよう、表面にあんずのジャムを塗ったり、りんごのペーストやスポンジを塗り重ねたりしています」と教えてくれました。
アップルパイの賞味期限は当日ですが、お土産用に適した「ヒロサキ・ポム」という日持ちのするスイーツもあります。香ばしいフロランタンの上に、クッキー生地やりんごを乗せて焼いたオリジナル商品なので、こちらも要チェックです!

データ

  • 住所:青森県弘前野田一丁目3-16
  • TEL:0172-35-9894
  • 営業時間:9:30~18:00
  • 定休日:火曜、第2・第4水曜
  • URL:https://grandmerci-hirosaki.com/

コーヒーと共に味わいたい「手で食べる」アップルパイ

自家製あっぷるぱい
つがにゃんつがにゃん
自家製あっぷるぱい(450円 税込)、あいす可否(800円 税込)
宮本さん
店主の宮本さんとコーヒーカップ
外観
外観

続いて向かったのは、弘前城から歩いて数分のところにある喫茶店「可否屋 葡瑠満(かうひいや ぶるまん)」。お店に入ってまず目を引くのは、カウンター奥の棚に飾られた約200客ほどのコーヒーカップ。これは店主の宮本孝紀さんが開店当初から揃えた大倉陶園のコレクション。お客さんのイメージに合ったカップで一杯ずつ、ハンドドリップでコーヒーを提供してくれます。
「ここのアップルパイは手で食べるんです」と髙谷さん。「りんごとパイ生地を同時に味わってほしい」という思いがあり、初めからこのスタイルなんだそう。言われた通りに手で持ち頬張ってみると、りんごの上品な甘さとコクのあるパイ生地の味わいが口いっぱいに広がります。りんご本来のおいしさを活かすため、砂糖の甘さは必要最小限。パイ生地にニュージーランド産の上質なバターを使用することで、しつこすぎない上品なコクを実現しています。

データ

  • 住所:青森県弘前市下白銀町17-39
  • TEL:0172-35-9928
  • 営業時間:9:30~18:00
  • 定休日:月曜、第2・第4火曜
  • URL:http://cafe-buruman.cafe.coocan.jp/

りんごの味をまるごと詰め込んだアップルパイ

アップルパイ
アップルパイ(370円 税込)
外観
ちぃ、やぁ、かぁ、しぃちぃ、やぁ、かぁ、しぃ
外観

続いて訪れたのは、城東方面にある煉瓦造り風の外観が目を引く洋菓子店・「ボンジュール弘前城東店」。店内のガラスケースには、20種類ほどの彩り豊かなケーキが並びます。
なかでも人気は、「紅玉」の甘酸っぱさを活かしたアップルパイ。一日に300個売り切れる看板商品で、この日もアップルパイを買い求めるお客さんがひっきりなしに訪れていました。
ボンジュールのアップルパイは、小麦粉に発酵バターを重ねて折りたたんで焼き上げたミルフィーユ状のパイ生地が特徴。完熟りんごを頬張っているような果汁感は、「りんごを煮詰めたときにできた煮汁もシロップとして活用しているからです」と店主の関浩司さん。
地方発送にも対応しており、遠方でもカリカリとした食感を楽しんでもらえるよう、発送する当日に焼き上げて急速冷凍しているんだとか。遠方の方への贈り物にもいいかもしれませんね。

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初代チャンピオンに輝いた老舗のアップルパイ

アップルパイ
アップルパイ(400円 税込)

最後は弘前大学近くの道路沿いに佇む、老舗洋菓子店「ジャルダン」へ。ここはれんが倉庫美術館や、おしゃれな店が集う代官町エリアなど歩いていける距離にあるので、旅のついでに立ち寄りやすいスポットです。
「ジャルダンなしにアップルパイは語れません」と髙谷さんが言うように、ここはアップルパイコンテストで初代チャンピオンに輝いた名店。パティシエ歴70年の葛西清逸さんが作るアップルパイは、6cmほどの厚さがあり、表面がツヤツヤで見るからに美味しそう。思わずかぶりつくと、噛むほどにりんごの果肉がジュワッと溢れ出てきます。
りんごを煮込む時間はりんごの状態によって微妙に変えているようで、その見極めは長年の勘で決まるのだそうです。パイ生地は口当たりの軽いサクサク食感を出すために温度を変えて、数回に分けて焼き上げるというこだわりよう。アップルパイの選手権で東北1位に輝いたこともある、りんごの形をしたホールタイプのアップルパイも必見です!

データ

いかがでしたか?同じアップルパイといえど、お店によってこだわりはさまざま。コンシェルジュの方と一緒にお店を巡ってみることで、その奥深さに気づくことができます。津軽エリアに訪れる際は、ぜひアップルパイタクシーを利用してみてはいかがでしょうか。あなた好みのアップルパイがきっと見つかるはずです。

記事作成:苫米地結子

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