秋田県沿岸部の南端に位置する「にかほ市」。山形県との県境には鳥海山がそびえ、西には季節や時間帯で表情を変える日本海が眺められます。小さな島々が田んぼの中に点在するにかほ市象潟町・九十九島(くじゅうくしま)の一角にある蚶満寺(かんまんじ)は、「おくのほそ道」最北の地。境内には芭蕉像や句碑が建てられています。
日本海と鳥海山に囲まれたにかほ市。その豊かな自然は「おくのほそ道」の紀行で訪れた俳聖・松尾芭蕉をも魅了しました。海と山に抱かれた雄大な自然とその土地ならではの食を楽しむ、にかほ市のおすすめスポットを前編・後編の2回にわたって紹介します。
秋田県沿岸部の南端に位置する「にかほ市」。山形県との県境には鳥海山がそびえ、西には季節や時間帯で表情を変える日本海が眺められます。小さな島々が田んぼの中に点在するにかほ市象潟町・九十九島(くじゅうくしま)の一角にある蚶満寺(かんまんじ)は、「おくのほそ道」最北の地。境内には芭蕉像や句碑が建てられています。
1804年の大地震で地盤が隆起した九十九島。芭蕉が訪れた当時は、潟湖に島が点在し、「東の松島、西の象潟」と並び称される景勝地でした。
象潟や雨に西施がねぶの花
芭蕉によるこの俳句は、太平洋側の晴れた宮城県・松島と比較して、雨が降った象潟の様子を詠っています。雨に濡れた合歓(ねぶ)の花を、中国の悲劇の美女・西施が憂いにふけって眠っている様子に重ねた俳句です。
にかほ市の魅力は、なんと言ってもその雄大な自然。今回は、にかほ市観光課の齋藤瞭汰さんに、滝や伏流水、高原の展望台など、気軽に絶景が楽しめるスポットを教えてもらいました。
「鳥海山の麓に位置するにかほ市には、滝や伏流水、湧き水、湿原など、涼が感じられるスポットがたくさんあります。子どもや年配者と一緒に楽しむなら、元滝伏流水がオススメです」。鳥海山に染み込んだ雪解け水などが、長い歳月をかけて湧き出す元滝伏流水。高さ5m、幅30mほどの岩肌一帯から、伏流水が勢い良く吹き出します。駐車場からは徒歩約10分で、歩道が整備されているため家族でのお出かけにもピッタリです。齋藤さんのオススメは紅葉シーズン。川に紅葉が広がり、一段と美しい風景が見られるそう。
元滝伏流水から車で約5分のところにあるのが、奈曽の白滝。鳥海山を御神体とする金峰神社から石段を下りたところに位置します。「長い石段がありちょっぴり大変ですが、水量が豊富で迫力のある滝は、一見の価値ありです!」と齋藤さん。鳥海山の雪解け水が高さ26m・幅11mで流れ落ちる名瀑で、国の名勝に指定されています。石伝いに滝壺の近くまで行けて、ごうごうと音を立てて水が流れ落ちるダイナミックな様子は圧巻です。
奈曽の白滝で自然のパワーを感じた後は、金峰神社の境内にあるお店「甘味処 金峰園」へぜひ。石段の往復で疲れた身体を休めるのにピッタリです。長年利用されていなかった建物をリノベーションし、2023年4月にオープン。店主の斉藤さんが、「地元・小滝の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい」との思いで営みます。
店内は、斉藤さんのセンスが光る昭和レトロな雰囲気。奥の小上がりにあるテレビや照明、人形など、昔懐かしい小物は、眺めるだけでワクワクします。提供するのは、種類豊富な和スイーツです。中でも人気なのは「和風パフェ」! 竹筒風の可愛らしい器には、自家製のわらび餅や抹茶ババロア、抹茶アイス、マスカルポーネクリームなどがギュッと詰まっています。お好みで黒蜜をかけると、さらに濃厚な味わいになりますよ。
松尾芭蕉も訪れたにかほ市には、鳥海山の恵みを受けた涼が感じられるスポットがたくさんありました。後編では、雄大な景色が望める場所や、一度は訪れたい名店を紹介します。お楽しみに。
記事作成:あきたタウン情報