長い竹竿にたくさんの提灯を吊るした竿燈を、差し手が力強く持ち上げます)。270年以上続く伝統行事で、提灯を米俵、竿燈全体を稲穂に見立て、五穀豊穣を祈願する夏祭り。各町内の演者たちが競い合う「竿燈妙技大会(昼竿燈)」と、お囃子や「ドッコイショー、ドッコイショ」の掛け声に合わせ自在に妙技を操る「夜本番」が行われます。
秋田市の一大イベントと言えば、毎年8月3日~6日に行われる東北三大祭りの一つ「秋田竿燈まつり」。暑さに負けず、演者が熱の込もった演技で観客の興奮を誘います。今回は、竿燈の魅力伝わるリフレッシュ旅をご案内。
長い竹竿にたくさんの提灯を吊るした竿燈を、差し手が力強く持ち上げます)。270年以上続く伝統行事で、提灯を米俵、竿燈全体を稲穂に見立て、五穀豊穣を祈願する夏祭り。各町内の演者たちが競い合う「竿燈妙技大会(昼竿燈)」と、お囃子や「ドッコイショー、ドッコイショ」の掛け声に合わせ自在に妙技を操る「夜本番」が行われます。
見どころはなんといっても差し手の妙技に尽きます。竿燈は「力四分に、技六分」と言われ、流し・平手・額・肩・腰の5つの絶妙な構えで竿の均衡をキープしたまま技を披露します。一番大きい竿燈である「大若(おおわか)」は重さ約50kg・提灯は46個あるので、技の繰り出しは容易ではないはず。美しい技の数々を目の当たりにしたら、拍手せずにはいられません!
秋田市には、竿燈を身近に感じられるスポットがあります。伝統文化の伝承を目的に平成4年に開設され、「ねぶり流し館」の愛称で親しまれる「秋田市民俗芸能伝承館」です。同市の民俗行事を展示しているほか、竿燈演技が気軽に体験できます。4月〜10月の土曜・日曜・祝日は竿燈の実演も行われる、人気の観光スポットです。
1Fの展示ホールで目に飛び込んでくるのは、ズラリと並ぶ提灯! 秋田市竿燈会38町内の紋章が色鮮やかに勢揃いします。「提灯屋は今や数軒ですが、祭り直後から翌年の注文が入り、1年を通じて提灯づくりに励んでいるんですよ」と話すのは、館長の秋山さん。竿燈の肝とも言える提灯は、見応えがあります。
同フロアでは、現役の差し手がスタッフとして竿燈を解説してくれます。展示されている中若・小若・幼若の中で体験できるのは約5kgの幼若です。「竿燈はバランスの競技。腰はほかの技とは違い、上体を横に傾けるので体幹がしっかりしていないと難しいです」と、秋山さんは話してくれました。
「祭りには差し手だけでなく、支えるたくさんの人がいます。そしてここは、テレビで竿燈を見たことがあるけれど…という人が祭りに来たくなるような橋渡し的存在。ぜひ竿燈を深く知って、本番のまつりを楽しんでもらえたら」と秋山さんは力強く話してくれました。
竿燈の魅力を余すところなく楽しめる「秋田市民俗芸能伝承館」の周辺には、気になる飲食店がいっぱい。地元のグルメもたっぷり楽しみたいですよね。世代を超え、地元民に長く愛され続ける飲食店2軒を紹介します。
秋田市の繁華街・川反から竿燈大通りを挟んだ通り沿い、喧騒を離れた静かな場所にひっそりと佇む「レストランかなや」。小さな庭園とテラスを構える一軒家の店舗は、隠れ家的で落ち着いた雰囲気が素敵なひとときを予感させます。
グラタンやパスタなどの洋食から洋風のおつまみまで、さまざまなメニューを揃え、カジュアルなのに本格的な味わいで幅広い世代から愛されているこちらのお店。営むのは、この道40年以上になるベテランシェフの金谷さん。10代で料理の世界に入り、長らく研鑽を積み、28年前に最初のお店「キッチン寓」で独立を果たします。その後移転などを経て、11年前に現在の店舗を開店しました。
店名や場所は変われど、“洋食一筋”で提供してきた料理は一つひとつにファンがつき、開業当初から通う人や世代を超えて訪れる家族連れなど常連も多いそう。「洋食は基本が大事。最初に習った基本に忠実に、気持ちを込めて作っています」と金谷さん。できる限り県産の肉や魚、野菜を使い、旬の味覚を盛り込みながら生まれる料理は、どれもシンプルながら丁寧な仕事ぶりが伺えます。
数あるメニューの中でも、やはり人気を集めるのは、オムライス、ハンバーグ、エビフライなど王道の洋食メニューたち。特に、オムライスは、キノコやゴボウなどを使った炊き込みご飯を使う、オリジナルな味わいで長年愛されています。「開業当初のお店は、お酒を飲みに来るお客さんが多くて、洋風のおつまみがメインだったんです。その時の〆で好評だったのがオムライス。それが気づけば看板メニューになっていましたね」と語ります。そのオムライスに勝るとも劣らぬ人気を誇るのが、写真の「ハンバーグステーキ」。粗く挽いた牛と豚の合挽き肉を使い、ジューシーで柔らかくもしっかりとお肉の食感も味わえ、継ぎ足しで作る濃厚なデミグラスソースが絶品です。
定番はもちろんですが、旬の食材を盛り込んだ季節ごとのメニューもオススメです。取材時は、男鹿産タイを使用したカルパッチョやじゃがいもの冷製スープと、夏ならではの味覚が登場。時季ごとにどんな料理が味わえるのかを想像すると、また訪れてみたくなりますよね。料理のほか、洋食に合うワインや日本酒、焼酎、カクテルなどドリンクも豊富で、どんな場面でも利用できる気軽さが、多くのファンに愛されている理由のひとつでしょう。
「秋田市民俗文化伝承館」から歩いて5分圏内、1967年開店の老舗ジャズ喫茶「ロンド」は、県外のファンも多い名店です。明治20年築の土蔵を改装した重厚な店構えは路地に面していながらも豊かな緑に囲まれ、初めて訪れる人にはドキドキするかもしれません。扉を開けると、日常の喧騒を忘れさせる空間が待っていました。
薄暗い空間に大音量で流れるジャズ…まさに大人の空間!音響効果に優れた土蔵が音を柔らかく吸収し、オーディオマニア垂涎のアルテックのスピーカーを通して心地良い音色を響鳴させます。大音量でも不思議と会話ができるのも納得です。かつて店を訪れたこともあるという米ピアニスト、ビル・エヴァンスの一曲が流れていました。
「いらっしゃい」と明るく迎えてくれるのは、オーナーの奥さん。素敵な笑顔で気さくに接するその姿は、女性一人でも通いやすい雰囲気を作り出しています。ジャズの話に花を咲かせながら、ママお手製の人気のパウンドケーキと、大仙市の湧水で丁寧に淹れるマンデリンコーヒーを楽しむ夜カフェ的な利用も楽しみの一つです。
メニュー表にある「チーズ厚切りステーキ」の文字…。有名シェフたちを魅了する入手困難な逸品、岡山県吉田牧場のカチョカバロチーズが焼いて提供されます。香ばしい匂いが漂い、もっちりとして中はとろ〜り食感。絶妙な塩味と甘く濃厚な味わいは、一度食べたら虜に!音楽も食も会話も思うがままに楽しめる、そんな場所です。
百聞は一見にしかず。何よりも五感で感じるのが竿燈の醍醐味です。秋田市を訪れた際は、「秋田市民俗文化伝承館」でその魅力にふれてみてください。周辺のグルメも堪能して、素敵な思い出の1ページにプラスを♪
記事作成:あきたタウン情報