「津軽せんべい」は青森県津軽エリアにある黒石市で誕生しました。津軽せんべいを製造しているのは大正12年創業の老舗「渋川製菓」。初代社長が、「せんべいを色々な方に食べていただきたい」という思いで、手焼きせんべいを売り始めたところからスタートしました。創業当時は各家庭に手焼きの型がある時代で、せんべいは家庭で作るものとして親しまれていたそうです。「初代の思いは現在まで引き継がれているんです」と4代目の渋川麗子社長は話します。津軽せんべいは今でこそ青森県内のスーパーやデパート、道の駅などで広く売られていますが、販路拡大に至るまでには様々な苦労があったようです。
「初代が立ち上げ、2代目が技術を継承し、3代目が全自動の機械を導入して販路を開拓してきました」と社長は話します。機械の導入と聞くと、同じ品質の商品が簡単に製造できると思われがちですが、長年にわたり職人が紡いできた技術を機械で再現することは並大抵のことではありませんでした。納得するまで何度も試行錯誤を繰り返し、手作りと変わらない品質の津軽せんべいが製造できる、専用の機械を造り上げました。
津軽せんべい作りの機械化を進める一方で、厚焼胡麻・厚焼豆せんべいは一枚一枚手作りの作業にするなど、職人によるこだわりの製造方法もしっかりと紡がれているそうです。