JR東日本羽越本線から分かれ、矢島駅まで延びるローカル線「由利高原鉄道」。 その終点にあるのが由利本荘市矢島地域です。春から秋のグリーンシーズンはキャンプや紅葉狩りが楽しめるほか、冬にはスキー大会が開催されるなど、季節に合わせた楽しみ方ができる地域です。
秋田県の南に位置する由利本荘市。山形県との県境にそびえる鳥海山の麓にある矢島地域は、豊富な湧き水に支えられて発展し、古くは城下町として栄えました。今回はそんな矢島地域を歩いて出会った、地元のお酒や名菓、そして城下町の面影を残すイベントをご紹介します!
JR東日本羽越本線から分かれ、矢島駅まで延びるローカル線「由利高原鉄道」。 その終点にあるのが由利本荘市矢島地域です。春から秋のグリーンシーズンはキャンプや紅葉狩りが楽しめるほか、冬にはスキー大会が開催されるなど、季節に合わせた楽しみ方ができる地域です。
豊富な湧水を誇る鳥海山の麓に位置する矢島地域には、2つの酒蔵があります。
そのうちのひとつが、矢島駅から徒歩2分ほどの場所にある天寿酒造です。
1830年(文政13年)に創業した歴史ある酒蔵で、「美酒 天寿」の文字が映える店舗に入ると、品質にこだわった自慢のお酒が並んでいます。
大井常務に酒造りのこだわりを伺いました。「天寿自慢の仕込み水は、秋田で初のミネラルウォーターとして発売された鳥海山の伏流水『鳥海山自然水』を使用し、柔らかな水の良さを生かした酒造りを行っております。また、原料米は『酒造りは米作りから』の考えから、昭和58年に蔵人を中心とした酒米の契約栽培会『天寿酒米研究会』を組織し、お酒に合った米作りに取り組むなど、この地で出来る最高の酒を目指しています。」
大井さんおすすめのお酒は、地元の人に親しまれる鳥海山の名を冠した「純米大吟醸 鳥海山」だそうです。
杜氏と蔵人が米と対話し伝統の技で醸し上げてつくられるお酒からは、果物のような華やかな香りを楽しむことができるほか、料理とも相性がよく、米の旨味を味わえる一品だそうです。
・純米大吟醸「鳥海山」720ml 1,980円(税込)
また天寿酒造では、コロナ禍の現在も酒蔵見学を受け入れています。事前予約が必要ですので、興味のある方はぜひお問い合わせください!
もうひとつの酒蔵が佐藤酒造店です。矢島駅から5分ほど歩くと「銘酒 出羽の冨士」の看板が目印の建物が見えてきます。1907年(明治40年)に創業した酒蔵で、鳥海山の豊富な湧水に支えられ、地元の矢島地域に根付いたお酒づくりを続けています。佐藤酒造店のお酒は、お祭りなどの機会に沢山飲んでいただけるよう、きめ細やかな口当たりの良い甘口酒がメインなんだそうです。
佐藤社長にお話しを伺いました。
「雑な作業をすると、酒はそれだけの質にしかなりません。吟醸クラス以上の酒は、どの蔵も精力を注いで大切に仕込みます。しかし、弊社では、吟醸クラスに至らない酒でも、吟醸並みの手間を掛けて造ります。高級酒であってもそうでないお酒であっても、弊社はお客様の期待を裏切らぬよう、丹精込めて造っています。」
佐藤酒造店のメインブランドは「出羽の冨士」です。かつて「出羽の国」と呼ばれたこの地域のシンボルである鳥海山は、その秀麗な姿から「出羽冨士」とも呼ばれてきました。
その名を冠したこのお酒は、まろやかな味わいと芳醇な香り、すっきりとした風味で飲み飽きないお酒で、秋田の郷土料理・山菜料理にもよく合うそうです。
・「出羽の冨士 70%純米酒」720ml 1,375円 (税込)
佐藤酒造店のお酒は地元を中心に販売されていて、他の地域では手に入りにくいものになっています。由利本荘市に訪れた際にはぜひ矢島地域に足を運び、地域の人に親しまれる佐藤酒造店のお酒を体験してみてください。
矢島地域には地域の菓子店で製造・販売される名物のお菓子「虎の子まんじゅう」があります。黒糖を練りこんだ生地でこし餡を包んだ饅頭で、皮の表面にトラの縞模様のような柄があるのが特徴です。
矢島駅から徒歩10分ほどにある山口菓子店の「虎の子まんじゅう」は、大正6年に創業した地域の老舗の看板商品です。
4代目店主の山口晃治さんは「生地は、季節ごとの温度や湿度に合わせて水加減を調整しています。父の代から、沖縄・波照間島産の黒糖を練りこんでいます。練りこむために黒糖を砕く手間もかかりますが、味とコクが全然違うんです。一つひとつ丁寧に作っているので、ぜひ一度食べていただきたいですね。」と話していました。
出来立てを提供したいという強い思いから、山口菓子店の虎の子まんじゅうは、受注生産のみとなっています。
こだわりの味を確かめたい方は、前日までに電話連絡をお忘れなく!
「虎の子まんじゅう(小)」1個 100円(税込)
「虎の子まんじゅう(中)」1個 150円(税込)
「虎の子まんじゅう(大)」1個 200円(税込)
※受注生産のみとなっています
由利本荘市には矢島地域のほか、本荘地域、亀田地域で城下町が栄え、様々な物資と人が行き交っていました。そのため、当時の武家、商家に伝えられた享保雛、古今雛、芥子雛などのおひな様が、今も数多く残されています。
そんな歴史あるおひな様や、各家庭で大切にされてきたおひな様など約1,000体を資料館や美術館、家々などで展示する『由利本荘ひな街道』を例年2月~3月頃に開催しています。
また同じく例年2月に、天寿酒造と佐藤酒造店は、蔵開き(酒蔵開放)を開催し、限定品の販売や試飲などを行っています。蔵開きの日は地域のお祭り「やしま冬まつり」も開催され、地元特産品の販売などが行われています。
冬のまちを散策して歴史ある雛人形と一緒にお酒や地元の名菓を味わってみるのも良いかもしれませんね!
※各イベント情報は由利本荘市観光協会HPなどでご確認ください。
→https://yurihonjo-kanko.jp/
日本百名山に数えられる鳥海山がつくる四季折々の景色と、様々なイベントを楽しむことができる由利本荘市矢島地域。新酒のほか、歴史あるお雛様をみることができるイベントなど、冬だからこそ体験できる地域ならではの魅力を感じてみてください。
記事作成:JR東日本秋田支社
写真提供:天寿酒造株式会社、株式会社佐藤酒造店、由利本荘市