石孫本店の醤油・味噌は、すべて秋田県産の米・大豆・麦を使用した天然醸造。創業からほとんど変わらない製法を継承し、当時の道具が今も現役で使用されていることに、同業者からも驚かれているのだとか。そんな全国でも稀有な存在である石孫本店では、「醸造蔵の内部見学・作業見学」(1,000円、お土産付き・要予約)を行っており、仕込みの工程に沿って蔵の中を見学することができるんです。今回は、蔵の作業の様子を見学し、石孫本店が人々に愛される秘密を知りました。
醤油と味噌の醸造で最も重要とされる「麹づくり」において、石孫本店のこだわりは顕著に見られます。現代は、機械制御によって生産の安定化を図る製法が一般的となっていますが、石孫本店では、昔ながらの「麹蓋」を使用。「麹蓋」とは、木製の四角いお盆のような形の容器で、これに材料となる種麹を混ぜた蒸米、または種麹を混ぜた炒り麦と蒸し大豆を入れ、醤油麴室では木炭と稲わらで温度調整しながら世話をし、麹を成長させます。一度の仕込みで数百枚、蔵人が一枚ずつ仕込んでいるというから驚きです。