進化を続ける津軽塗!美しく、丈夫でかわいい製品多彩進化を続ける津軽塗!美しく、丈夫でかわいい製品多彩

現代の暮らしを意識した新たな製品、デザインが面白い

青森県の津軽地方で生産されている伝統漆器、津軽塗。その始まりは江戸時代中期とされ、300年以上の歴史があります。現在は弘前市を中心に受け継がれ、県を代表する伝統的工芸品として親しまれています。そんな由緒ある津軽塗が今、さらなる進化を遂げているとか!? 現代の暮らしを意識した新たな製品をさまざま発表している製造元「小林漆器」を訪ねました。

津軽塗の特徴とは?

小林漆器の舗兼ギャラリー
つがにゃんつがにゃん
小林漆器の店舗兼ギャラリー
隣接の工房
隣接の工房

津軽の地で百数十年、6代にわたって津軽塗一筋に技法を守り継いできた小林漆器。職人たちが作業する工房内に店舗兼ギャラリーがあります。店内に入ると、箸やお椀、カップ類、お盆、皿など、さまざまな製品が並んでいます。目に飛び込んでくるのは、津軽塗の鮮やかで多彩な色や紋様。伝統の黒や赤、緑以外に、ピンクや青、紺、金、アイボリーなど豊富なカラーバリエーションに驚かされます。

小林正知さん
6代目の小林正知さん

カラフルで美しい抽象紋様は、津軽塗の特徴である「研ぎ出し変わり塗り」から生み出されます。小林漆器の6代目、小林正知さんが詳しく教えてくれました。「研ぎ出し変わり塗りは、私たち津軽塗の職人にとって最も大切な技術です。何十回と塗り重ねた漆を、なめらかに研ぎ出して独特の紋様を作り出します。漆を塗っては一日乾かし、再び塗っては乾かし…と繰り返して、箸であれば34回、下地工程が必要な製品は50回近く漆を塗り重ねます。漆液の塗り・研ぎ・磨きを経て完成まで3~6カ月。津軽塗は、俗に“津軽の馬鹿塗”と言われるほど、気の遠くなるような手間と時間をかけて完成するんですよ」

津軽塗の箸
津軽塗の箸は丈夫で長く使えると好評

幾重にも漆を塗り重ねるので、津軽塗はとっても丈夫。箸を10年、15年と長く使っているお客さまも多くいます。箸先の漆がはげてしまっても再び漆を塗って修理可能。「母からの贈り物だから愛着がある。一生大事に使いたい」といった修理依頼もあるそうです。

色やデザイン、小物類が面白い

津軽塗
津軽塗の代表的な技法。漆の斑点模様をつけて色漆を重ね、研ぎ出して色彩豊かな抽象模様を作る
津軽塗
若いお客さまに人気の七々子塗。菜種の実を使って紋様を作る。小紋風の小さな丸の紋様が可愛らしい

また、津軽塗には、「唐塗(からぬり)」「七々子塗(ななこぬり)」「紋紗塗(もんしゃぬり)」「錦塗(にしきぬり)」と呼ばれる4つの代表的な塗りの技法があり、これらの技法や合わせる色漆の違いによってデザインは無限。そこが津軽塗の面白さ」と小林さんは話します。

リンゴ型の小物入れ
リンゴ型の小物入れ
ピンバッチ
カラフルなピンバッチ
アクセサリー
地元の人気ビーズ作家とコラボレーションしたアクセサリー
スマホカバー
あきたこまちちゃんあきたこまちちゃん
スマホカバー(受注生産)の一例

津軽塗は、伝統的な赤、黒、緑が主流でしたが、25年ほど前、小林漆器がピンクや青などを先駆けて取り入れて以来、さまざまな色の製品が生産されるようになりました。最近では、真空タンブラー、箸とお椀のセットが人気とか。リンゴ型の小物入れ、キーホルダー、アクセサリー、スマホカバーなど、日常使いのかわいい食器や小物として、暮らしに取り入れたくなるアイテムがいっぱいです。
最近では若いお客さまも増えている津軽塗。特に「七々子塗」は、小さな可愛らしい丸模様と鮮やかな色で人気があります。小林漆器が運営する七々子塗のサイト(https://nanakonuri.com)には、紋様の色と地の色を自由に組み合わせられる「七々子塗シュミレーター」があり、ウェブ上でお気に入りの配色を探せます。まずはウェブで好みのデザインを探してみましょう。
ビーズと組み合わせたアクセサリーやスマホカバーなど、基本的に店頭にある商品以外はオーダーでの注文になります。2〜3ヵ月前に電話またはメールなどで製品をオーダーし、弘前市を旅する際に小林漆器で受け取る。または旅の途中で小林漆器に立ち寄り、直接オーダーする、修理を依頼する(製品は後日発送)といった「津軽塗の旅」も面白そうですね。実際、観光の途中で立ち寄るお客さまもいらっしゃるようです。
製品を買って使って、それで「終わり」ではなく、欠けたり、割れたり、艶が落ちたりした場合は、再び塗り直してもらって新品同様の美しさに仕上げてもらえることも津軽塗の良さ。津軽塗を手に入れることは、職人との縁、青森との縁ができることでもあります。店頭で購入またはオーダーで、愛着のわく1点を見つけてみませんか。

データ

  • 小林漆器
  • 住所:〒036-8064 青森県弘前市東城北3-3-12
  • TEL:0172-34-5681
  • 時間:9:00~17:00(年中無休)
  • アクセス:お車・タクシーでお越しください。(JR弘前駅から約10分)
  • URL:https://kobayashishikki.com
  • https://小林漆器.com/
  • ※小林漆器の製品は、さくらの百貨店 弘前店、中三弘前店、つがる藩ねぷた村(以上、弘前市)、青森駅ビル ラビナ内「KISUKE」、さくらの百貨店 青森本店(以上、青森市)でも販売しています。

カラフルで美しく、丈夫。手作りならではの一点もののデザインや、修理して代々使えるエコな一面など、魅力にあふれる現代の津軽塗。小林漆器では今後も小物やアクセサリーの開発に力を入れていくそうで津軽塗から目が離せませんね。一生大切にできる製品を求めて、津軽の旅へ。十数年後、修理の依頼で再び津軽へ。塗りものから生まれる青森との縁、旅の思い出も素敵ですね。

記事作成:マゼンタ(株)

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