縄文時代へタイムスリップ しゃこちゃんへ会いに行こう! つがる市・亀ヶ岡石器時代遺跡縄文時代へタイムスリップ しゃこちゃんへ会いに行こう! つがる市・亀ヶ岡石器時代遺跡

ユネスコ世界文化遺産登録「北海道・北東北の縄文遺跡群」の歴史を語る遮光器土偶とは…

2021年7月、ユネスコ世界文化遺産に登録となった「北海道・北東北の縄文遺跡群」。その中の一つに、青森県つがる市の「亀ヶ岡石器時代遺跡」があります。最寄り駅では遮光器土偶「しゃこちゃん」がみなさんを待っています。

JR木造駅で「しゃこちゃん」がお出迎え

木造駅
JR木造駅の外観
しゃこちゃん
大迫力の「しゃこちゃん」
しゃこちゃん
あきおあきお
しゃこちゃんの目の色が変わります。
顔出しパネル
顔出しパネル

JR木造駅では、「しゃこちゃん」(遮光器土偶)をかたどった巨大なオブジェがみなさんをお出迎えしてくれます。
オブジェと駅舎が一体となっていて、迫力満点です。
地元の方にとっては当たり前になっているこの風景も、青森県外にお住まいの方にとっては衝撃的なのではないでしょうか。地元の方は「『しゃこちゃん』の写真を撮るために、わざわざ木造駅を訪れる観光客もいるんですよ」と話します。
「しゃこちゃん」の魅力は、大きさだけではありません。列車の到着をお知らせする「しゃこちゃんビーム」も見どころです。
訪れた際には、目が七色に光る「しゃこちゃんビーム」をぜひお楽しみください!
JR木造駅には、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産登録を記念して作られた「meet the heart 」のキャラクターである「しゃこちゃん・かんちゃん」のかわいい顔出しパネルもありますので、ぜひ一緒に写真を撮ってみてくださいね!

縄文時代の生活に触れよう

堀内さん
学芸員の堀内さん

つがる市縄文住居展示資料館(カルコ)でつがる市教育委員会 社会教育文化課 学芸員 堀内和宏さんから縄文時代の生活についてお話を伺いました。
Q1亀ヶ岡石器時代遺跡は遮光器土偶のイメージが強いのですが、遺跡と遮光器土偶は深いかかわりがあるのですか?
遮光器土偶は青森でしか出ないというものではなく、東北地方一円や中部地方にも広がっています。その中で一番最初に有名になったのが、この亀ヶ岡石器時代遺跡から出土した遮光器土偶になります。必ず教科書に載っておりますし、現在保管されている形のまま出土されたのが亀ヶ岡石器時代遺跡です。

遮光器土器
遮光器土器(複製版)

Q2遮光器土偶の由来は何ですか?
約2,500年前の縄文時代晩期の中ごろに作られた土偶の一つで、目の部分が北極のイヌイットが雪中行動する際に着用するスノーゴーグルのような形をしていることからこの名称がつけられたようです。
遮光器を付けた姿の表現ではなく、目を強調していった結果、だんだん顔からはみ出すくらい目が大きくなってしまったと考えられています。
宇宙人をモチーフに作ったという説もあるみたいです。ほかの遺跡でも似たような形のものが出ていて、地域によっては流行りがあるようです。

しゃこちゃん広場
しゃこちゃん広場
発掘場所の様子(現在)
発掘場所の様子(現在)

Q3遮光器土偶はどこから出土されたのですか?
亀ヶ岡石器時代遺跡のしゃこちゃん広場の奥の方で、明治20年(西暦1987年)に出土しました。
今は草が茂っている低湿地が出土した地点になります。その後、この遺跡のあちこちで、多くの大学や研究機関、青森県教育委員会、つがる市教育委員会などにより発掘調査が継続的に行われており、その場所ごとに発掘状況を説明するパネルも設置してあります。

早期の土器
きりたんぽちゃんきりたんぽちゃん
早期の土器
前期の土器
前期の土器
中期の土器
中期の土器
後期の土器
後期の土器
晩期の土器
晩期の土器

Q4縄文土器の特徴は?
縄文時代は草創期、早期、前期、中期、後期、晩期と分かれており、各時代に応じて土器の特徴が異なっています。
前期の6,000年前からは、北東北のほうから北海道にかけては円筒土器という筒状の土器が主流でした。中期ころになると、縁の部分がだんだん出っ張ってきたり、粘土紐を貼り付けるなど、より複雑な形をするようになったりしています。中期は縄文時代で一番人口が多く、土器のデザインが華やかになった時期でした。後期になると、土器が薄くなって精密なデザインが増えています。特に晩期になると今でも使えるくらい立派で複雑な形になっていきました。薄く硬く作られており、非常に高度な技術が必要だったことが分かります。
土器は主に、お祭りの時の酒器や、ドングリやクリなどの煮炊き用の道具になっていたようです。時代に応じて土器の大きさも変わっていきました。縄文時代の中期は今よりも暖かく、南極、北極の氷が溶け、海水位も高かった時期なので人口も増えていました。晩期は寒冷の時期で日本列島に人が少なかった時期で、土器も小さく精緻なつくりになっています。
土器や出土遺構から、亀ヶ岡石器時代遺跡は人が住んでいた普通の集落、村ではないということが分かります。人を埋葬したと考えられる楕円形の土坑が多く、発掘調査等で低湿地の捨て場からは多様な土器が見つかっていることから、みんなが集まってくる集団墓地の隣に、お祭りを行う祭祀場があったと予測できます。

籃胎漆器(縄文時代晩期)
籃胎漆器(縄文時代晩期)

Q5土器以外にも当時作られていたものはありますか?
籠や木製の器も作られていました。カルコにも植物のスゲ、カヤ、竹などを細かく編んだ籠の上に、漆を塗って器のように見せた籃胎(らんたい)漆器が展示されています。焼き物に見えますが、籠なんです。

黒曜石
出土された黒曜石(北海道産)
黒曜石
出土された黒曜石(青森産)

Q6縄文時代の人たちには地域との交流があったのですか。
黒曜石を見ると当時の人の生活が見えてきます。
亀ヶ岡石器時代遺跡から出土した黒曜石のなかには、北海道から持ってきたものや青森県弘前市の岩木山の麓でとれたものなど様々なエリアから運ばれたものがあります。
当時の生活は特定のエリアで完結するものではなく、縄文時代にはもう全国から人が動いており、盛んな人々の交流がありました。
蛍光X線に当て成分分析をすると、地域ごとに成分が違っており、どこの地域から持ち込まれたものか確実に判断できます。

データ

  • 亀ヶ岡石器時代遺跡
  • 住所:青森県つがる市木造館岡
  • 閉鎖期間:12月~3月
  • 遺跡ガイド:ボランティアガイド(所要時間30~60分、無料、日本語)
    ▼個人向け:4~11月の土日祝日の10:00~15:00対応
    (縄文遺跡案内所(亀ヶ岡石器時代遺跡南側)に待機)事前予約不要
  • アクセス:JR五能線木造駅、つがる市縄文住居展示資料館(カルコ)から車で約20分
縄文住居展示資料館カルコ
  • 縄文住居展示資料館カルコ
  • 住所:青森県つがる市木造若緑59-1
  • 営業時間:9時~16時
  • 入館料:一般200円 高校・大学生100円 小・中学生50円
  • 休館日:毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)、祝日の翌日、年末年始(12月29日~1月3日)
  • TEL:0173-42-6490
  • アクセス:
    ●列車 JR五能線木造駅 下車徒歩約15分
    ●バス 弘南バス有楽町停留所またはつがる市役所前停留所 下車徒歩約5分
  • URL:https://www.city.tsugaru.aomori.jp/life/shisetsu/shiryokan/2826.html

亀ヶ岡石器時代遺跡が集落ではなく、集団墓地やお祭りの場として使われていたことを初めて知った方も多いのではないでしょうか。
遺跡で発掘された土器、漆器、黒曜石を調査すると、縄文人の文化や人々の交流が盛んに行われていたことを知ることができます。土器一つとってもデザインが多種多様です。
みなさんも縄文時代に触れ、先人たちの生活をのぞいてみてはいかがですか。
亀ヶ岡石器時代遺跡へぜひお越しください。「しゃこちゃん」も皆さんを待っています!

記事作成:JR東日本秋田支社

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