「八峰白神ジオパーク」を楽しみ尽くそう「八峰白神ジオパーク」を楽しみ尽くそう

全身で感じる大地のパワー

「ジオパーク」とは、“地球・大地(Geo)”と“公園(パーク)”を組み合わせて「大地の公園」を意味する言葉。“地球・大地(Geo)”を学び、楽しむことができる場所を指します。現在、日本には認定地域が44か所(2021年9月時点)あり、日本海が形成される太古から現在までの大地の変化に触れて、歴史や文化を学ぶことができます。

山と海の深いつながりを体感

八峰白神ジオパークのまち並み
あきおあきお
白神山地は、約300万年前から少しずつ大地が盛り上がって現在のような山となった。国道101号線沿いにある「鹿の浦展望台」からは、白神山地を背に日本海を眺められる。夕陽が沈む瞬間は、みとれるほどの絶景!

「八峰白神ジオパーク」は、日本ジオパーク委員会から2012年にジオパーク認定された地域です。世界自然遺産・白神山地と、広大な日本海にはさまれたジオパーク内には、ジオサイトが20か所。ビューポイントが4か所あり、人の手がほとんど加えられていないありのままの大地の姿を目の当たりにすることができます。地域の人々によって守り継がれてきた里山や変化に富んだ地層、海岸沿いの岩石など、大地のパワーを感じる様々な景色が見る者を圧倒します。

大地の魅力を伝える案内人たち

西出さんと狩山さん
「八峰白神ジオパークガイドの会」の会長を務める西出さん(左)と狩山さん(右)。同地域ならではの地形や地質の面白さを、身振り手振りで丁寧に教えてくれる。

2021年、「八峰白神ジオパーク」の魅力をより広く伝えようと、協議会認定のガイドが誕生し、「八峰白神ジオパークガイドの会」が発足しました。地球活動が生み出した地形や地質だけでなく、それらと関わりのある歴史や文化、そこに住む人々の暮らしまで、地域の様々なすばらしさを伝える活動をしています。見どころとなる「ジオサイト」を巡り、ガイドさんたちに話を聞くことで学びが深まり、「八峰白神ジオパーク」の魅力により楽しく迫ることができます。

ブナが茂る里山は豊かな水源

留山
留山
新緑の季節、太陽を浴びていきいきと枝葉を広げるブナ。地域の水源として守られてきた留山の奥へ歩みを進めると、里山の歴史を物語るような巨木にも出会える。

ジオサイトの一つである「留山」は、地域の人々が大切に守り続けているブナの里山。広葉樹のブナが葉を落とすと、土壌動物や微生物の働きにより、長い時間を掛けて養分をたっぷり含んだ土壌になります。そのため、ブナの茂る山々は雨水を蓄える保水力が高く、古くから洪水や渇水を防いできました。この里山を源とする清らかな水を守るため、伐採を止めて木を山に“留めた”と言われています。

地上に盛り上がってきた海底火山の溶岩流

柱状節理群
なまはげくんなまはげくん
柱状節理群
火山岩の一種である安山岩から成り、溶岩が流れた様子を物語っている。ここで見られるのは、藤里町から八峰町にかけて分布する素波里安山岩。

秋田県天然記念物に指定されている「椿海岸の柱状節理群」は、正に大地のパワーが感じられるジオサイト。長さ約94m、幅約16mの細長い地形で、半島状に海に突き出ています。柱状節理とは、溶岩が冷えて固まる際に、体積が縮まることで柱のような形が岩石に表れる規則正しい割れ目のことです。およそ500万年前、海底火山の溶岩流が固まってできたものと言われています。

太古の岩石が創り出す風景美

三十釜の紅葉
遊歩道の散策ルートがあり、子供や体力に自信のない人にもオススメ。新緑はもちろん、紅葉シーズンはその美しさが一層増す。

硬い岩が削られてできた狭い谷に、小さな滝やごつごつとした岩が続く「三十釜」は、白神山地を源にする真瀬渓谷の名所。この景色を形づくる岩石は、2,000〜3,000万年前に火山灰が硬く固まった凝灰岩であると推測されています。長い年月を掛けて、水流と川を流れる石によって川底が削られて作られた円形の穴・ポットホールが多くあることでも知られています。

土地の特徴をいかした農作物

梨狩り
収穫体験を行う農家もあり、実りの秋を待ちわびるリピーターが訪れる。様々な品種が出荷されるので、好みの味わいを探すのもオススメ。

峰浜地区にあるレジャースポット・ポンポコ山公園。この一帯には能代砂丘が広がっていますが、砂丘の内部には黒い土の層(腐植土層)が挟まれていて、3度の大きな砂嵐があったことが分かっています。現在は砂地ならではの水はけの良さを利用して、この周辺で梨の栽培が盛んに行われています。甘くてジューシーな「峰浜梨」の収穫最盛期には直売所が開かれ、多くのファンでにぎわいを見せます。

大地の恵みを目で舌で味わおう、楽しもう

ジオっとランチ
自家製のフルーツもろみに漬けて香ばしく焼いたハタハタや、みずみずしいナシの甘さを引き出したソースに彩られたランチが好評。

「八峰白神ジオパーク」内には、いくつも飲食店が点在しています。〈美味しいワケはここにある〉をテーマに、地産食材をいかした自慢のメニューを提供中。2022年は更に力を入れて、食べて学ぶジオパークの楽しみ方を提案していくそうです。
100年以上もナシとブドウの栽培を続けている、「笠原果樹園」が営むレストラン。自家栽培のナシを使ったメニューが豊富! ジャムやソースまで自家製にこだわり、ナシの新たな味わい方に出会えます。
提供店/果樹農家のレストラン しらかみカフェ
メニュー名/ジオっとランチ ※予約制

ちそうソフト
八峰町産の小豆と日本海の塩の、甘じょっぱいコンビネーションがやみつきになる味わい。スプーンで削りながら食べると、チョコやコンフレークが現れ、断面が地層のように見えるのだそう♪

国道101号沿いの道の駅みねはまに隣接する産直施設では、新鮮な農産物や加工品のほか、砂丘で育ったラベンダーのポプリなどを販売中。ドライブのおともにテイクアウトメニューが人気です。
提供店/産直施設おらほの館
メニュー名/ちそうソフト

この土地で育まれた幸をお土産に

はたはたずし
八峰町産あきたこまちを100%使用。伝統を継承しつつも、独自の製法を加えた「はたはたずし」は、老若男女を問わず支持されている。

豊かな自然の中で育まれた海産物や農産物は、様々な加工品になって販売されています。八峰町は、長く愛されてきた秋田名物・ハタハタの漁業地としてはもちろん、近年はカミツレやキキョウの根など、ハーブの栽培地として広く知られるようになりました。
食料が不足する厳寒の冬、古の民が〈神の使い〉とあがめていたハタハタ。鈴木水産の「はたはたずし」は、昔ながらの手間暇掛ける丁寧な製造を守りつつも低温熟成発酵で作られているため、その味わいは格別です。
販売店/鈴木水産
商品名/はたはたずし

白神癒楽里麦酒
とうじくんとうじくん
上品で華やかなカミツレの香りと、コクのある味わいがクセになる。現在は売店での販売のほか、施設の夕食会場で提供中。

八峰町で栽培された薬用植物カミツレ(カモミール)の新たな魅力をクラフトビールで是非。白神山地を源にし、地元で広く知られる湧き水「名水・お殿水」を使って醸造しています。
販売店/八森いさりび温泉ハタハタ館
商品名/白神癒楽里麦酒

より楽しくジオパークへの学びを深めよう

無料ガイド、三十釜案内
無料ガイド、三十釜案内
「八森ぶなっこランド(森林科学館)」で迎えてくれる、ガイドさんたち。

「八峰白神ジオパーク」にまつわる展示施設「八森ぶなっこランド(森林科学館)」では、様々な展示を通して、白神山地の成り立ちやブナの一生について学ぶことができ、二ツ森の山頂からのパノラマ写真も館内の見どころの一つになっています。また、土曜・日曜は「八峰白神ジオパークガイドの会」のスタッフが常駐し、ジオサイトへ足を延ばしたい来館者へ期間限定で無料ガイドを行っています。

データ

  • 八峰白神ジオパーク
  • TEL:0185-76-4605(八峰町産業振興課ジオパーク推進係)

太古から現在までの大地の成り立ちから、そこで育まれてきた人々の暮らしまで学ぶことができる「八峰白神ジオパーク」。見どころを教えてくれたガイドの西出さんは「案内したお客様が感動したり驚く場面に出会えることがなにより楽しい」と、狩山さんは「この土地が形成されてきた過程を説明して、『なるほど!』と合点いただけるとやりがいを感じます」と話してくれました。八峰町産業振興課ジオパーク推進係では、ガイドさんの依頼を随時受付しています。訪れたいジオサイトや所要時間などの要望にも対応しているので、案内人たちの話に耳を傾けながら、大地のパワーを存分に体感してはいかがでしょうか。

写真提供:八峰白神ジオパーク推進協議会

記事作成:あきたタウン情報

※本記事はブナの学校運営協議会の企画で制作しております。

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